第9話 勝と若葉の破局シーン(勝の回想)

*勝の記憶にある破局時の回想シーンです。一部については勝の記憶補正が入っているかもしれません。


※破局するとき


 浮気をしているのかを確認するため、若葉を人気のいないところに呼び出す。

 

「若葉、他の男と付き合っているのか」


 若葉はふんぞりがえっていた。悪いことをしたという認識は、一ミリもないらしい。


「ああ。そうよ。あんたといても、楽しいと思えることがないからね。ゴキブリと過ごしたほうがマシと思えるほど、つまらない日々の連続だったわ。あんたと交際したことは人生の汚点といってもいい」


 ゴキブリ以下、人生の汚点といわれたことで、全身の血管がプチプチといっているのが聞こえる。

 

「浮気するような女はごめんだ。すぐに別れろ・・・・・・」


 別れ話を切り出された女は、満面の笑みを作る。浮気をしたんだから、ちょっとくらいは反省しろよ。


「別れる手間を省いてくれてありがとう。こちらから話をするのは面倒だったからね」


 二人のいるところに、一人の男がやってくる。イケメンではあるものの、チャラい印象を受ける。女を遊び道具として扱っている確率は極めて高い。


「若葉、この男と知り合いか」


 若葉は首を横に振った。


「ううん、知らないよ。私のことが気になったから、ストーカーをしようと思ったのじゃないの」


 元カレをストーカーと表現するとは。こいつの頭の中から、常識の2文字は消滅している。

 

 彼女をストーカーされていると思ったのか、チャラ男はこちらを強烈に睨みつけてきた。


「ストーカーは殺人予備群のすることだ。おまえはいつか、世間をにぎわす犯罪者になるんじゃないか」


 別れ話をしただけで、殺人者予備軍といわれるとは。血の気が失せると同時に、頭も真っ白になった。


 若葉は甘えるような言葉で、チャラ男に助けを乞うていた。


「この男から離れないと、殺されちゃう。○○、私のことを守ってね」


 チャラ男、若葉は体を合わせる。こちらとは手もつながなかったから、差は一目瞭然である。


「当然だ。おまえは唯一無二の女だからな」


「○○、ありがとう」


 いろいろとやりきれなくなって、猛スピードで走りだす。どこに行こうとしているのかは、本人にもわからなかった。


 


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