第30話 若葉以外の女に告白された

 昨日の夕食、今日の朝食を何も食べなかった。それゆえ、体内エネルギーは通常時の十分の一まで減少していた。


 ご飯を食べられなかった要因を作ったのは浮気女。あいつは心だけでなく、体をも殺そうとしている。

 

 げっそりとした男のところに、白筋都がやってくる。彼女はラブレターの中に含まれていた一人に含まれる。


 都は身長160センチで、中肉中背といったところ。度の低そうな眼鏡をかけている。


「勝君にお話があるんだけど・・・・・・」


 直感ではあるものの、告白をする展開が頭に浮かぶ。


「白筋さん、どうしたの?」


 都は緊張しているのか、体はぶるぶると震えていた。


「○○君のことが好きです。おつきあいしていただけないでしょうか」


 告白を終えた女性は、視線を斜め右にずらす。返事を聞くのが怖くて、正面を向けないらしい。


 心の整理をしたあと、率直な返事をする。


「ごめん、恋人は募集していない」


 都はがっくりしたのか、ピンと立っていた背中が曲がった。


「そっか。若葉に浮気をされたことを、引きずったままなんだね」


 浮気だけできついのに、ストーカー呼ばわりされた。あれだけのことをされれば、忘れるのは無理だ。


「ああ。女は信用できない」 


 都は背筋を少しだけ伸ばす。


「一度目はダメだったとしても、二度目はうまくいくかもしれないでしょう。勇気を振り絞って、おつきあいしてみようよ」


 前半は浮気女と全く同じフレーズ。告白をしてきた女も、過去に二股をかけたことがあるのかなと思えてしまった


「恋愛解禁するまでは、誰とのおつきあいも×。現時点における率直な心境だ」


 都は鼻で空気を吸った。


「おつきあいをしたくなったら、いつでもいってね。高校を卒業するまでは、待とうと思っているの」


「好きな人ができたら、遠慮なく交際すればいい。一人にこだわり続けていると、大切なものを見失うことになるよ」


 都は鼻で小さく息を吸った。


「融通の利かない性格だから、好きな人を想い続けると思う」

 

 好きな異性がころころ変わるのもよくないけど、一人をずっと思い続けるのもNG。恋愛のバランスを保つのは難しいと思った。 

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