第18話 裸を見られてしまった(若葉編)

 勝に裸を見られたことで、恥ずかしい思いに駆られていた。 


 最大のコンプレックスはAカップの胸。いろいろと試したけど、膨らませるためのヒントは発見できずじまい。高校生からの一発逆転にすべてをかけたい。


 ○○○の毛の濃さについても、マイナス材料だと思っている。大切な人に見られたくなくて、剃刀で二週間に一度くらい丁寧に剃っていく。剃刀はひりひりするけど、邪魔な毛を処理するためにはやむを得なかった。


 不可抗力とはいえ、裸を見たのはれっきとした事実。これをネタに、ゆすっていくのはあり。どんな手段を用いても、よりを戻して見せるんだから。


 体温計で、体温を確認する。先ほどは36℃を示していた熱は、38度手前まで上昇。40度の熱を1日で治すのは不可能ということか。


「今日も休むしかなさそうね・・・・・・」


 若葉の部屋がノックされる。勝かなと思っていると、おかあさんだった。


「若葉、熱は治ったの?」


「一時的に下がったけど、またあがったみたい。今日の学校はお休みにする」


「一人で病院にいけそう?」


「なんとかいけると思う・・・・・・」


「おかあさんは仕事があるから、一人で病院に行ってくれる」


「わ、わかった・・・・・・」


 高熱からか、体はふらふらとしている。一人ぼっちで病院までたどり着けるのか不安だ。路頭に倒れてしまったら、たくさんの人の前で恥をかく。


 二人で話をしていると、学校に出発したはずの男が戻ってくる。


「勝、どうしたの?」


「数学の教科書を忘れた・・・・・・」


 勝はすぐさま自室に入ると、数学の教科書を探し始めた。こちらにかまっている猶予はなさそうだ。


「仕事があるから、私は出発するね。耐えられないくらいに苦しかったら、すぐに連絡をちょうだい」


 おかあさんは仕事に向かう。彼女の背中姿を、静かに見守ることしかできなかった。 


 勝は大急ぎで、階段を下りていく。学校までの距離を考えると、間に合うのかは五分五分といったところ。手を合わせながら、遅刻しないことを祈るのみだ。

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