第17話 若葉の裸を見てしまった

 若葉の看病をしたからか、夜の9時に寝てしまった。こんなに早く眠るのは、幼稚園のときまで遡る。


 病気の回復度合いをチェックするために、若葉の部屋の扉を開ける。


「あ・・・・・・」


 扉を開けた直後、若葉の全裸が目に飛び込んできた。やばすぎる状況に、思考回路はフリーズすることとなった。


「部屋に入るんだったら、ノックくらいはしなさいよ。急に入ってくるなんて、デリカシーなさすぎだよ」


「あの、その・・・・・・すまん」


 暴言を吐かれる展開を予想していたのに、そういう雰囲気をまったく感じなかった。義理の母の出勤前だから、大人しくしているらしい。義理の母がいなくなったとき、とんでもない野次が飛んでくると思われる。


「私に何か用なの?」


 扉を閉めてから、質問に答える。


「熱は下がったのかを確認するためにやってきた。昨日は苦しそうにしていたからな」


「あんたのおかげで、36℃まで下がったよ。あ、ありがとう・・・・・・」


 40度の熱を一日で下げる。若葉の体に存在する抗体は、相当なレベルに達している。40度の高熱にかかれば、平熱に戻すまで2~3日くらいかかる。


「学校があるから、先に行くからな。調子が悪くなったときは、静かに寝ているんだぞ」


「き、昨日はありがとう・・・・・・」


 お礼の言葉を聞いたことで、体からむずがゆくなっていく。あいつは世界で一番、感謝が似合わない女。若葉=常に他人を罵っているイメージがしっくりくる。


 現在の時刻は7時45分。学校までの距離を考えると、すぐに出発する必要がある。若葉の相手をしている余裕はなかった。

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