第11話 【らゆとえる】 享年20歳 その参

俺の初の本指名として最初に来てくれたのはやっぱり【らゆ】だったことについ、駆け寄って抱きしめてしまった。


そこでそれを見た翔くんは俺が場内で入っていた姫の元にいち早く戻って俺の誕生日のシャンパンを入れてくれたことをものすごく嬉しいとその姫の手の指にキスをして、視線を逸らしてくれた。


【らゆ】は嬉しさ半分、水商売としてこれはNG行動って気持ち半分で、


「こーら、ちゃんと今ついていたお客様にご挨拶してから席を離れなきゃダメでしょっ!行ってらっしゃい待ってるから」とニコニコしながらほっぺたをつねられた。


俺はすぐに場内を入れてくれた姫の元に戻り、ジュースを入れたシャンパングラスを持ち


「失礼いたしました・・・・・・初日から指名ないの不安だったんでお姉ちゃん呼んでて、お姉ちゃんに会うのが本当に久しぶりでつい身体が勝手に動いてしまいまして・・・・・・大変失礼いたしました。本当に今日はなんて幸せな日なんでしょう姫に祝っていただけて本当に僕・・・・・・ホストになっていいんだって思えました。


ありがとうございます姫この後もどうぞごゆっくりしていってください。ご馳走様でした」と当然嘘だけど、嘘を付くことがこの仕事には必要だ。


姫は


「最初から家族でも指名が呼べるなんてこの子大きくなるんじゃない?ねぇ、翔・・・・・・今日はアフター翔いくわよね・・・・・・。えるくん、君がもう少しお行儀覚えたらあたしの友達連れてくるから気に入ってもらえたらその子とこれからは相判でくるかもねっ・・・・・・そうしたらもっとここに来る頻度が上がっちゃうかしら」と翔くんにもメリットがあるような言い方をして


「優子・・・・・・俺にもっと会いに来るのに俺だけじゃ飽きるのか?」と聞き返す翔くんに


「だって・・・・・・翔・・・・・・まだあたしとエレチューしてくれないんだもん」と突然少女のような事を頬を染めて照れながら言う姫。


そこで翔くんはその優子姫に耳打ちをしていた。


そう、翔くんはあと少ししたら20歳の誕生日が来るお酒が解禁されるのだ。


よく考えたらお酒なしでよく店を持たせてもらえている翔くん・・・・・・本当に凄すぎるよ。


優子姫とどんな話をしたかも気になるけど、今はここからが本指名のホストとしての初仕事だ!


【らゆ】はいつもは酔いつぶれている姿かえっろい姿しか家で見ないから知らなかったけど、水商売の女らしい髪形をしていつにも増してエロかわいい。


【らゆ】の前で膝をたてて座り、


「会いに来てくれて嬉しい俺の姫」と言うと


【らゆ】は、座っている席の隣をトントンと叩いてそこに座れと促していた。


「で、らゆが居ない間らゆが教えた事ちゃんと役に立った?」という


「それが効果絶大でさモエいきなりゴメシャンとかで入れてくれたんだよね」


それを聞いた【らゆ】は


「ゴメシャン?ははーんもしかしてーえっろいこと誘われちゃったりしたんでしょう」と盗聴器でもつけていたかのようにズバリと当ててくる・・・・・・女の勘こわっ・・・・・・。


「でも、見る限り翔くんにベッタリみたいだから弄ばれてのゴメシャンか、それじゃえるのお誕生日を純粋に祝うシャンパンタワーを入れるのはあたしってことよねっ」と優越感に浸り始めた【らゆ】は手を挙げて


「えるのお誕生日にアルマンドのシャンパンタワーいっちゃって~」と聞き覚えのあまりないお酒は見た目ごつごつなかっこいい瓶一体いくらするんだろうと思っていたけど、すぐに始まった本格的なシャンパンコールのスタートだ。


「お姫さまから王子さまへの愛のアルマンドを贅沢にシャンパンタワーでいただきましたー!」賑やかなシャンパンコールのあと僕はまだお酒は飲めないからいつか飲んでみたい・・・・・・と思いながらいつも以上にエロかわいい【らゆ】と楽しく飲んで居た頃、


またもやご来店、そして三人の新聞時代のお姉さんたちが仲良くご来店でも、同じ席じゃ指名は1しかつかない。


他の先輩に他の二人取られたら損しないか?俺、なんて考えていたら、


「お姫様少しの間だけ、えるをお借りしてもよろしいですか?すぐヘルプをおつけいたしますから」という翔くんに


「ヘルプはあなたならいいわよそれ以外は帰るわ」とおいおい、翔くんにわがままいうんじゃありません。


翔くんは目くばせして【らゆ】のとなりについた。


「きゃー外見しっかりホストしちゃってるじゃん!今日はねぇみんなで、えるくんになったんだっけ?」


「はい、【らゆとえる】という名前になりました」と答えると


「そのえるくんにみんなで祝いに行きたいーってなってさ、


とりあえずあたしが本指名入れたけど他の子は送りしか選ばないから安心してねぇ~


一人ずつだとささすがにおねぇさんたちもタワー何杯も飲んでいられないのよ~あたし以外もちゃんと楽しませたら損しないかもよ~」


と言うのでいきなりハードルは上がったけど、俺は初日から翔くんには勝てないかもしれないけど百万くらい売り上げを出すことが出来た。


【らゆ】にはあとで必ず帰るからと言って翔くんの真似をして手の指にキスをして、三人の姫たちと翔くんともう一人の先輩鷹さんとアフターに行くことにした。


【らゆ】もアフターは早めに経験しとくといいと言ってくれて一人帰って行った。


時間はもう昼を回っているこんな時間に一体どこにアフターなんていくんだ?もしかしてこれは乱交なんだろうか?と思っていたら


連れていかれた場所は新宿二丁目まだ俺の知らない世界だった。


店のドアを開け姫たちから店内に入ると


「あら、やだブスたちお揃いで何しに来たのよ」とゲイの方が声をかける。


「うっさいブス!今日はイケメン連れてきたんだから感謝しなさいよね」と返す姫


「あんたたちねぇ~あたしたちがそんなことで喜ぶとでも・・・・・・あらやだかわいい二人ともどう見てもお酒のめそうにないわねぇ~ジュースかお茶でいいかしら?それともあたしの母乳でも飲むかしら?さあどれにする?」


とハードな選択を迫られた。


姫たちはいつものことって感じでカラオケを歌い始めていた。


翔くんは


「オネェさんたち初めまして、歌舞伎町で『club‐chapter』の看板やらせてもらってます御前乃翔といいます、僕お母さんいなかったから母乳飲んでみたいんですが、いきなり甘えん坊な姿見せるの恥ずかしいから牛乳で」とオネェたちの心を掴んでいた。


俺も頑張らないとなとにかく夢のホストに一歩足を踏み入れた!


それからというもの、あれよあれよと翔くんのサポートもあってか相判でも途切れず本指名の姫が来てくれるようになった。


それに【らゆ】は休みの日はオープン前から同伴と言う名のいつものえっろいことを


「アフターで誘われてもムラムラしちゃわないように今のうちに全部らゆが出させておかないとね」とペロリと口の周りを舐めまわして上機嫌で一人目の姫として来店してくれる。


あれからしばらく経ってついに翔くんの20歳のバースデーがやってきた。


今日はありとあらゆるお酒が平気でポンポン注文されるだろう・・・・・・本指名の子たちの相手よりもシャンパンコールのマイクパフォーマンスの方が忙しいくらいだろう。


翔くんから


「えるお前すげえよやっぱりいいホストになってるし、SNSまで始めたんだって?フォロワー数すげぇじゃんやっぱり地頭いいよなお前呼んでホント正解だったわ」と褒めてもらえた。


そしてその日は自分の事よりも翔くんのお酒解禁に全力のサポートをしてすごした。


グデングデンになった翔くんを奥で寝かせて、俺もそんな20歳の誕生祭をやって貰いたいなぁと思っていた。






ーーー月日は流れもうすぐ俺もついに20歳のバースデーが来る。この一年半ほどで実は変わったことがあった。


俺は入って一年半で翔くんをも超すナンバーワンホストになっていた。


入口直ぐの写真たちの一番上は俺の顔になっていた。


翔くんはすっかり女帝からこの店を買い取ってオーナー兼ホストとして相変わらずNo.2をキープしている。


あと変わったことと言えば、色営や病み営を覚えたせいか、【らゆ】以外の姫との枕も増えてきた。


【らゆ】は青いラブレターと呼ばれる青伝票で売掛を覚えたせいで仕事を変えた。


今はすっかりデリで働いている。


もちろん家に帰れば、痛客の愚痴やら話し始めると止まらないけど、押し倒されていた俺が逆に押し倒して耳元で


「俺のらゆを汚したやつらのことなんか俺が今全部忘れさせてやるよ」と言うだけで簡単にご機嫌が直るからありがたい。


しかもなんか色んなテクニック仕込まれてきてもう、【らゆ】なしじゃ気持ちよくもなれない体にされてしまった。


だから他の枕なんて本当に義務でしかなくて、こころに【らゆ】を思い浮かべて何とか果てている。だからたまに「らゆ・・・・・・」と呼んでしまったりして他の姫が不安になることがしばしば。


そこは「お前はさ俺に抱かれている時えるじゃなくて、らゆとって呼んでくれない?えるだと仕事って感じがしちゃうんだよね」と言えば事が収まる。


そして、ついに訪れた20歳の俺の誕生祭の日が来た。


準備は万端、次々と姫が来店して満卓になった。


もちろん一番に居るのは【らゆ】デリになってから更に時間は早くなってすっかり俺のエースだ。


とにかく翔くんの時にも負けないくらい先輩や後輩たちに助けてもらってシャンパンタワーの連続だ。


うわぁ~お酒ってこんなにフワってするのか・・・・・・とふらついたら、そこには、たわわな【らゆ】の胸があった。


翔くんには


「うちは卓チュー卓マン原則禁止だからなクビとまでは言わないけどどうしても断れない時はトーションは使えよエレチューはまあいいよ」と言われていたが、初めてのお酒に満卓の中俺は【らゆ】に卓チューをしてしまった。


翔くんはアッチャーという顔をしながら音楽をガンガンに流し始めた。


「俺の可愛い弟分のえるが今日晴れて20歳になりました。皆様のおかげでこのclub‐chapterのホストみんなが皆様に会えて幸せです代表の俺からもお礼を言わせてください。ありがとうございます。どうかこれからも俺の事も愛してね」


と注目を集めてくれている間に鷹さんがトーションをおれにふっかけながらコツンと小突いていった。


それでハッ!として【らゆ】の唇から離れると【らゆ】は目をウルウルさせて耳元で囁いた


「VIPに行きたいな・・・らゆ」


翔くんのお客さんがいつもいる部屋だ・・・翔くんに聞いてみるしかない。


「翔くんさっきはフォローありがとう鷹さんも・・・らゆがVIP入りたいっていうんだけど今日だけでも使わせてくれない?」


翔くんは不思議な顔をした


「お前さナンバーワンになってから一度もVIP使わないからなんでだろう?って思ってたけどあそこは俺の部屋じゃなくてナンバーワンの部屋だからな。


ただトーション使わないで色々するなよ本営なんだからやることは家でやれ・・・・・・とはいえさっきのでらゆ姫は火がついちゃったと見える。今日だけ卓マンだけは見逃そうトーションマジで使えよ」


とVIPの許可と今日の特別許可が下りたことを【らゆ】に伝えると大喜びして移動した。


その時俺の後ろに刺さるような視線を感じたような気がしたけど酔っぱらっている俺は気にしなかった。


最高記録を出した生誕祭に翔くんにも先輩たちにも褒められて後輩たちには尊敬されて夢の金持ちになったと安心してVIPで中途半端にえっろいことしたせいで今日はまっすぐ【らゆ】の待つ家に向かっていた俺の背中に今度は刺さる視線なんかじゃない・・・・・・


しっかりと刺さった包丁が見えた・・・・・・あ、この子は病み営のひ・・・・・・め。


「らゆと・・・・・・信じてたのに!」


そして、俺は意識を飛ばしたのか変なものが目の前に見える。

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