第8話 【穢れなき命】 その参
両親の元を離れ、大草原まで連れて来られた穢れなき命たちが目にしたのは、
多種多様な動物たちや虫たち、爬虫類や魚たちが居た。
「「わぁ・・・・・・これって何?」」と大興奮の穢れなき命たち。
てるてるは「これは君たちと同じ命だよ」と話し、
ライオンを近くで見せた時には
「これは百獣の王と言われているライオンだね」
穢れなき命の一つが
「僕ライオンてかっこいいと思った」と言う。
「水の中にも潜れるから見てみようか?」ともう一つのてるてるが言う。
穢れなき命のもう一つが
「水って怖い?」と聞く。
「さっきまで君たちはお母さんのお腹の中の水の中に居たんだよ。それに、今は君たちを攻撃できるものは多分居ないから安心してついておいで」とてるてるが答えると、
ワクワクする気持ちの方が強いようでついていくことにした。
子供はどの子も本当に好奇心の塊だな・・・・・・と、てるてる同士顔を見合わせちょっと微笑ましく感じていた。
水の中には数えきれないほどの魚たちや微生物たちサンゴなど、ここはただの水の中じゃなくて海であることを穢れなき命たちに教えた。
穢れなき命の一つが「魚さんたちは僕たちのお母さんとお父さんからはだいぶ遠くに居るのかな・・・・・・」と呟いた。
「諸説あれども、海はこの星ではすべての命の生まれた場所とも言われたり、魚が進化したのが今この星に生きる生き物だとも言われているみたいだよ・・・・・・それに意外とここの魚さんたちがあなたたちのお母さんやお父さんに食べてもらうこともあるんだよ」と人生を外で経験したら一度は聞きそうな言葉を伝えた。
「食べてもらったらどうなるの?」と聞いてきた穢れなき命の一つに
「食べてもらったらお母さんやお父さんの生きる元気になるんだよ」と答えた。
「元気になるんだ・・・・・・」と呟いたので、
「今度は人間の多い場所に行ってみようか・・・・・・?」と世界一周の旅は進んでいった。
ここは今まさに戦争というものが起きている場所、
てるてるがここを選んだのには理由がある。
今この穢れなき命たちとさほど変わらずに外の世界で人生を卒業する子供たちが沢山居る事を見せてあげたかった。
「なんで、こんなにたくさんの命が何もしていないのに殺されていくの?」
穢れなき命たちの質問は今を生きる多くの子供たちの疑問だろう。
「人間ていうものはね、昔はとても親切だったんだけどね、いつからか色んなものを手に入れるようになってからは、それを持たない人を嘲笑うようになったり、持っている人から無理やり奪ったりしたりして、いつしかとても欲深い生き物になってしまったんだよ」と答えたてるてるに、もう一つのてるてるが言う
「戦争の事はちょっと刺激が強いんじゃないかしら・・・・・・場所を変えましょう」と提案を出す。
穢れなき命たちには今見ている人生を卒業したばかりの命たちについている他のてるてるたちの事も見えているし、あちらのお仕事を邪魔するわけにはいかないもんな・・・・・・と考え提案に乗った。
「次は女王さまの居る場所なんてどうかな?」と穢れなき命たちにお勧めをして、英国の街を見せに行った。
街を歩く人の杖を見るなり、
「あれは何?」女王陛下の姿を見るなり「
あの着ているものは何?」そして、女王陛下の城の番人である猫を見るなり
「あれは何をしていて役職をもらっているの?」などと質問が多くて、てるてるは答えるのに苦労していた。
そこに
「決闘だ!!!」という声が聞こえて、
「決闘ってなに?」と気になって気になって仕方なそうだったのでてるてるは穢れなき命たちを連れて行くことにした。
そこでは紳士の決闘が行われるところだった・・・・・・一人の紳士が相手に白い手袋の片方を投げつけ決闘を申し込んだようだと説明をしてあげた。
この先はまた他のてるてるたちの邪魔になるといけないから、どこかほかの場所に行かないと・・・・・・と思っていたら、
穢れなき命の一つが
「まだ答えてもらっていないんだけど君たちは何なの?」という言葉に本来の仕事を忘れて世界一周を楽しんでいる自分たちが居る事に気がついた。
「そうでしたそうでした、わたしたちは有名どころだと守護霊とも背後霊ともいわれたり、てるてる坊主とも、心の天使と悪魔とも、そして死の近づいた頃見えるものには見えるので死神とも言われるもので、あなた方が産まれる時にマホウを授け、交代要員が来るまでの記録を取るのが仕事の一つです。」
「てるてる坊主?それは何?」と一つの命が疑問を抱く。
「当然ご存じないと思いますが、人間が天気を操作したくなった時によく作られたものですね」
「ぼくらてるてるは君たちが産まれる時に祝福としてマホウをそれぞれにプレゼントすることになっていてね・・・・・・その中にはあらゆる天気のマホウだけじゃなく色んなマホウがあるんだよ」
と、ふたつのてるてるの話を聞いて穢れなき命たちは
「でも、僕らは産まれなかったんだよね・・・マホウは祝福だもんね・・・・・・僕らにはマホウがないってことだよね?」
「え?そうなの?」と穢れなき命たちそれぞれに思うところが違えどマホウが何か分からないけどプレゼントは欲しかったみたいである。
そろそろ次の話をしないといけないかな・・・・・・と思って穢れなき命たちに大事な話をしたいんだけどここじゃない場所でどこか行ってみたい場所は思いつくかな?と聞いてみた。
ライオンをかっこいいと言った命は
「お母さんやお父さんと電話で話していた友達を見てみたい」
食べられることで元気にしてあげられることに興味を持った命も
「とりあえずそこにはついていく、そこで何か大事な話が聞けるんだったらきく」となり、
血縁でもないが彼らが産まれてくることを心から願っていた彼らの母の友達だった人の場所に来た。
そこには我が子供を産むことが出来ずに泣き、ここにいる穢れなき命たちが殺されてしまったことに泣き、それでも、仕事に向かい朝早くから夜遅くまで働いて帰ってくる夫婦が居た。
ここも部屋は散らかっているが色調は統一されている。
そして、夫婦は夕飯の時間が来るととても美味しそうな目玉焼きの乗った焼きそばや、フランクフルトなどを作ってはお酒を飲んで笑っていた。
そんな二人を見ながらも、てるてるたちは穢れなき命たちにこれからできる選択肢を教えた。
「ーー壱に記憶を持ってこの世界に漂う事が出来ます。制限時間はありません。
しかし、特権を使って過去に行くには僕たち二つのてるてると君たち二つの命じゃなければ戻れません離れ離れなら過去は見る事は出来ません。
ーー弐に記憶をある条件をクリアするまでお預かりして誰かの
それは先ほど気になっていた食べてもらって元気になってもらう生き物である可能性もありますが、やはり縁が必要ですので何度でも繰り返して出会えればいいですね。
ーー参に産まれる事は最初からできないと決まっていますが、誰かのお腹に宿ることは出来ます。女性の肉体で尚且つ子宮がある人に限りますが、皆様一度は望まれるので先にお答えしておきます。
同じお腹には一度しか宿ることは出来ませんのでお母さんのお腹には宿ることは当然できません。
さて、どの選択肢もいつでも決めてもらって構いません・・・・・・。いかがしましょうか?」
ライオンに興味を抱いた命は
「僕はこのお母さんの友達だった人のお腹に宿りたい」
てるてるは答えた
「それをお望みなら可能ですが・・・・・・」
そこに、その友達についているてるてるがスーっと寄ってきた。
「これはとても可愛い命たち・・・・・・僕が今ついている姫はもう何度も君たちと同じように生まれない前提の子供たちを失って心が傷ついてしまっているんだ・・・・・・本当にそれじゃなくちゃダメかな・・・・・・?」と言う。
「ちょっと他のてるてるの仕事邪魔するなんてどういうことなのよ・・・・・・」とこっちのてるてるは文句を言う。
ライオンに憧れた命は
「でも、縁がないと記憶もなくしてあの人にたどり着けないんでしょ?」と言う。
それを聞いた友達のてるてるが
「裏技を教えてあげるよ・・・・・・これは邪魔じゃないよね?」とこちらに言ってくるが・・・・・・それはチェンジってことだよねぇ・・・・・・。
そのてるてるは続ける
「僕は今ついている君のてるてるに代わって君に寄り添う。
そうすれば僕は常に姫との縁があるから必ずどんなに時間がかかっても君の望むように彼女の場所に行くことが出来るかもしれない・・・・・・」
もう一つの可愛い命はどうする事にするんだろう?
「僕はお母さんとお父さんに元気になってほしいから何度繰り返しても記憶をなくしてもいつかお父さんとお母さんに食べてもらえるような生き物になりたい」
「では、一応決まりましたかね・・・・・・タイミングはあなたたちの場合には今すぐにでも転生が可能です。これから先はまたわたしたちのことも忘れてしまいますが、
今回は多少記憶に干渉しそうなてるてるさんもいるのが少し気になりますが・・・・・・次に各々の生を終えた時にまたてるてるに導かれて次の選択をすることになります」
穢れなき命たちは何となくそれでいい気がして頷いた。
「チェンジは、てる助あなたが行ってらっしゃいそれとも、食べられる方がマシかしら?」
「いや、別にいいんだけどあの人てるてるの数が異常だよ・・・・・・仲良くなれるかなぁハブられたりしないかなぁ」と心配していた。
「「てるてるさんたち色んなものを見せてくれてありがとうまた会おうね」」
穢れなき命たちと彼らのお母さんの元友達についていたてるてるは、てる助を残して消えて行ってしまった。
まぁ、通常のチェンジだと思えばいいだろう・・・・・・
「あのーさっきチェンジしたてるてるに代わってこの人につきます、てる助です。まだ与えられてなさそうなのってあるかな・・・とりあえず「未来視」のマホウで条件は朦朧としている時ってことでどうでしょうか?」
「あのシスコンてる何企んでるんだか・・・・・・それならもうこの子は持ってるわ他の物にしなさい」
「確かに、外見への基本的なマホウ、金銭面で困らないマホウ、神レベルの肝臓なんてマホウまでそしてこの黒いてるてるたち10以上居るけどこれらが色々と与えたんだな・・・・・・じゃぁ一度だけ自分の死を察知できるマホウでどうかな?」
「それでいいんじゃない、前にもあったけど全部使い果たしたから」
ふぅ・・・・・・新しいところ怖いわぁ。
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