第三章 不安と探究心を掻き立てる何か

 さて、いよいよ考古学の新たな一歩を築くため、あの摩訶不思議なその場所の探索を行う。私は胸に期待を膨らませてはいたものの、内心不安が勝っていた。今までの話の内容的に考えれば、そこで起こった事件含め全てにおいて不安を仰ぐ内容であり、とてもいい気のするものではない。だが私の飽くなき探究心に従い、その場へと向かった。開けた道はまだ塞がっておらず、しっかり通ることができたがやはりうっそうとしていて、木々が重たく生い茂っている。よくよく考えればこの場を囲うようにして生えわたっている木々にも違和感があるが、私は生物学者ではないので、そのことについて特段思うこともなかった。

 中は薄暗く、木々が日光を遮っているため日中でも夜に近しい暗さを持つ。ただ一切入らないわけでもなく、漏れ出た薄い光がかろうじで辺りを見回せられるようになっている。森や林のようでもあるのだが、そう呼称するにはあまりに小規模で、木々が隙間なく、というよりも一本一本が異常に成長してるように思われる。

中を進み歩くと、何軒かの小屋?または物置とも思える建物や、人が住んでいたであろう家もあった。がどれも草木が根を伸ばし蔓延っている。そんな劣悪な環境だが、私は新たな発見のためだと自分を言い聞かせて調査を開始した。少し調査して気づいたことだが、ここには動物が存在してないように思う。野うさぎや鷲、熊などは当然、虫もいないように思える。これだけ植物が蔓延っているのに虫もいないというのは不気味な話だが、調査を他の動物に邪魔されるよりかは、この不安を抱える方が良いと思った。この異質な暗さや、不気味な生態系は私の不安を煽るが、生物学に精通していない私にはわからないことなので、そのことについて考えるのをやめたのである。

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