第2話 ゴリッピーの能力
家を出て今は普段果物や薬草を採集している森を進んでいる。それにしても僕を覆うようにゴリッピーが後ろにいながら進んでいるから歩きずらい。僕の真上にはゴリッピーの顔がある。
僕がちっちゃいわけじゃない!120cm位しかないけどまだまだ成長期は先だもんね!ゴリッピーがでかいだけだ!ゴリッピーは前傾姿勢で腕を地面に突きながら歩いているけど、その姿勢で180cm位はある。もし姿勢を伸ばせば2mはゆうに超えるだろう。
僕の真横を進んでいるゴリッピーの腕は僕の体より太くて逞しい。こんな腕で殴られた日には死んでしまうね!
それにしてもなんでゴリッピーが現れたんだろうなあ。僕の前世にゴリラに関する記憶は思い当たらないし。ハッ!もしかしたら僕の前前世がゴリラだったとか!?
「ウホッ?」
もしかしたらそうなのかもしれない。そう思うとゴリッピーの凛々しい顔、逞しい腕に胸、見事なまでに白く染まった背中の毛、さらには長くて艶のある毛、どれもが愛おしく感じる。
それにしてもゴリラってこんなに毛が長かったか?すごいもふもふで手触りがいい。ゴリッピーとの出会いもそうだし一体なんなんだろうなあ?
そう思いながらゴリッピーを見つめてたら不意にゴリッピーの情報が頭に流れ込んでくる。
ゴリッピー
スキル 大猩猩 威圧
ええええええ??スキル持ってるんですけどお?僕は持ってないのに!
「ウホホゥ」
僕が落ち込んでいたからか優しく頭を撫でられた。ううぅ、ありがとうゴリッピー、、、
「ボアアアアア!」
しばらく進んでいると前方から巨大な猪が現れた。威嚇した後にこちらに狙いを定めて突っ込んでくる。
優しくゴリッピーの右腕に包まれ胸元に寄せられる。
「ウホ」
そう言いながら突き出した左手で巨大な猪を軽く受け止め、そのまま頭を捻り潰した。
わお、なんて怪力だ。こんなに強いんだねゴリッピーは。
「ゴリッピーありがとう。ゴリッピーのお陰で今夜はお肉を食べられるよ!」
貧しい家に住んでたからお肉なんて滅多に食べられない。今夜も果物を採集して食べようと思っていた。
「解体するから待っててね。解体してる間周りを警戒してもらってもいいかな?」
「ウホッ!」
お!猪の心臓のあたりに僕の手のひらより2回りくらい大きい魔石があった!初めて見たけどこんな感じなんだなあ。これは街に行ったら換金できるから持って行こう。
時間はかかったけど解体出来たぞ!村で解体のお手伝いをしていただけだからそんなに上手くないけどね。さあ!ようやく食べれるぞ!スキルは無くても火の魔法が使えるからお肉を焼けるもんね!まあ、生活魔法だから皆使えるんだけどね。
「ゴリッピー警戒ありがとう!そろそろお肉が焼けるから一緒に食べよう!」
「ウホホゥ!」
村にいた頃じゃ考えられないほど贅沢に、大きな1切れを口元に運ぶ。
「うーん!おいしいいい!!」
「ウホホー!」
こんなにお腹いっぱい食べたのは久しぶりかもしれない。今夜はこの大きな樹の下で野宿しよう。
「今夜はここら辺で休もうねゴリッピー。」
「ウホ」
ゴリッピーは腰を下ろした自分の体に、僕を運んで抱きしめてくれる。ちょっと恥ずかしいけどゴリッピーが僕を守るために気を遣ってくれたのだろう。
お腹いっぱいで、さらにもふもふの毛に包まれた僕はすぐにウトウトとして睡魔に襲われた。
今日は色々あったけど、ゴリッピーと出会えてよかったな。
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