ゴリッピー無双~スキルを与えられる儀式で僕に与えられたのはゴリラでした~

メロのん

第1話 神から与えられしはゴリラ

 「シオン様の授かったスキルはございません。」


 「し、神父さま?スキルを与えられない事があるのでしょうか?な、何かの間違いでは?」


 そう言ったのは教会まで僕を連れてきた父だ。


 「い、いえ、何度も確認したのですが間違いないようです。私としても何も与えられないと聞いたのは初めてです。」


 そりゃそうだろう。この世界では、スキルの数、スキルの強力さに違いはあれど全ての人に授けられるものだから。


 しかしその時、僕を中心に強力な光が包み込む。


 「な、なんだ!?」


 そうして僕は不思議な感覚につかまれ、1人の人の人生を映像見せられる。僕ではないのに他人だと感じない。


 ああなるほど。これは前世の僕の人生か。不思議とそう確信する。映像として見せられているだけで僕の価値観は分からない。前世の僕はこの人生をどのように感じていたのだろうか。前世の価値観は持ち合わせていないが今の僕からしたら窮屈だなと思えてしまう。


 やがて光が収まる。


 「な、なんだったんだ今のは…な、なんだソイツは!?」


 父親が僕の後ろを見ながら固まっているがどうした?そう思って自分の後ろを見るが、、、は?ゴリラ?


 「ウホ?」


 目が合ったゴリラが首を傾げる。


 いや、どういう状況?


 助けを求めて神父様を見るが神父様も固まっている。やがて再起した神父様が


 「ど、どうやら後ろの魔物が暴れはじめることはなさそうですね。強力なスキルを授かる時に強力な光に包まれる事があります。まさか魔物が現れる事があるとは思いませんでしたが。もしかしたらスキルが覚醒してるかもしれませんのでもう1度鑑定してみましょう。」



 シオン


 スキル


 従魔 ゴリッピー


 

 「え、えーとやはりスキルは無かったのですが、先ほどまで現れてなかった従魔の欄にゴリッピーと…」


 僕の事を凛々しい瞳で見つめているこいつが僕の従魔でゴリッピーなのか?いや、お前ゴリラだよね?


 「この魔物はシオンの従魔なのか?」


 「うーん、そういう事なのかな…君はゴリッピーなのか?」


 「ウホッ!」


 うん、そうっぽいな。


 「そうか…神父様ありがとうございました。」


 「はい。どうかあなたの道に神のご加護がありますように。」



 「スキルなしと従魔の分を養えるほどのお金は家には無い。10歳までには出て行きなさい。」


 僕はそう言われたその日のうちに家を出た。前世のような生き方は窮屈だし今世は自由に生きよう。そう心に決めて。

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