全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れに突っ込んだらどうなるの、っと。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れに突っ込んだらどうなるの、っと。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れに突っ込んだらどうなるの、っと。
長串望
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れに突っ込んだらどうなるの、っと。
人類はいま、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの上に文明を築いている。
もしも三十年前にそんなことを言ったら、頭がおかしくなったと思われたことだろう。
けれどいまの子供たちには、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの上にない文明というものの方が、想像できない不可思議なものに違いない。
私たち大人が全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ文明をいまだにかみ砕いて飲み下すことができないように、子供たちにはそびえる山脈や流れる川といった自然、並び立つビルや行き交う車や電車のような高度文明社会はおとぎ話ようなものでしかない。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ歴32年の夏を過ごす僕は、かすれ始めた思い出をたどる。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れは、ある日突然現れた。
まあ事前に説明して準備期間を置いたうえで現れられても困惑するほかにないので(全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れとは???)、その突然の襲来はかえって人類文明にとっては慈悲深い死であったのかもしれない。
人里離れた荒野に自然発生した全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れは、はじめはただの野生動物の大量発生かと思われた。
しかし全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れは文字通り全てを破壊しながら突き進んだ。岩を砕き、木を折り、やがて人里に至っては家を壊し、道を破壊し、車を跳ね飛ばし、無謀にも止めようと挑んだ人々をひき肉に変え、全てを破壊しながら突き進んでいった。
小さな村が更地になり、そこそこの町が壊滅し、地元のニュースになったころにはもう手遅れだった。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れは瞬く間に文明社会へと突き進み、全てを破壊していった。ビルを砕き、駅を破壊し、満員電車を跳ね飛ばし、ライフラインを寸断し、サラリーマンをひき肉に変え、全てを破壊しながら突き進んでいった。
それがまだ遠方の国の珍事件として報道されている間、私はなんだそれはと呆れるばかりだった。発展途上国で大量発生した野生動物が被害を出したのだとか、そういう話だと思っていた。
そんなことよりも期末試験の成績の方が気にかかっていた。進学先は恐るべき難関校であり、しかしそこに受かりさえすれば、勝ち組人生への第一歩がまず踏み出せるとそのように考えていた。
しかしいまは勝ち組難関校も、期末試験も、学歴だってありはしない。
すべては、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れに破壊され、踏みつぶされ、痕跡さえも残ってはいない。
いくつかの国が致命的な被害を被るころには、全世界で全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが認知されていた。それは国際的な問題であり、もはや対岸のバッファローとして傍観していることのできない危急の事態であった。
はじめに南の大陸で発生した全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れは、発展途上国を次々に踏みつぶし、蹂躙し、国境線のない石器時代にまで文明を退行させた。
このころには国境線の代わりに前線が引かれていた。バッファロー絶対防衛線が引かれていたのだ。しかしそれも全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れを前にしては無意味だった。なぜならば全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れは全てを破壊しながら突き進むのだから。
何度も引き直される絶対防衛線。
人類もただ手をこまねいてみていたわけではない。
最新の火器を装備した兵隊が、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れに立ち向かった。
自動小銃だとか、機関銃だとか、様々な武器が使われ、何頭か何十頭か、あるいは何百頭のバッファローを始末することに成功したと聞く。
それが本当だったのか、誇張だったのか、いまでは大本営発表の真実は知れない。
ただ確かなこととして、一部をどうにかできたところで、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れは、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れだったということだ。
それが生物学的に強靭だったからなのか、数学的に膨大だったからなのか、それとも一部を殺しても群れには影響がないという何かしら形而上の概念としての問題だったのかはわからないが、兵隊たちはもれなくミンチになった。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れに対処すべく、一台何億円とする戦車が惜しげもなく投入され、たくさんの爆弾を積んだ爆撃機が一日に何回も飛び立ち、人間同士の戦争では絶対に使われてはならないことになっている地雷や毒ガスもまき散らされたと聞く。
当時は、その恐るべき兵器が投入されることに対する非難や、あるいは期待の声で世間は沸き立っていたけれど、いまにして思えばそのなんと愚かで、滑稽なことか。
相手は全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れなのだ。
戦車はたやすく引き裂かれ、爆撃の跡からは死んだバッファローに倍するバッファローが沸き立ち、地雷も毒ガスも時間稼ぎにもならなかった。全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れは、戦車を、爆弾を、地雷を、毒ガスを、全てを破壊しながら突き進んでいった。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れがいよいよ海峡にたどり着き、泳ぎ始めた時には、対岸の国の人々はほとんど恐慌状態だった。まさか海を渡ってくるなんて、とこの期に及んでそんな認識だったのだ。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れはもはや何物にも縛られなかった。
北へ、南へ、東へ、西へ、海を越え、山を砕き、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れは全てを破壊しながら突き進んでいく。
インターネットはほとんど使い物にならなくなり、SNSは全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ信者の終末論めいた全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ論に埋もれて、最後にはそれさえもつながらなくなってしまった。
多分、地下深くで厚く守られたサーバーも、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れに破壊されてしまったのだろう。
だからその頃のことは、ほとんど噂話でしか伝わっていない。
どこかの大国が、ほとんどやけくそ気味に核兵器の使用に踏み切ったという話があった。夜でも東の空の果てが夕焼けのように明るくなったことがあって、きっとあれはその光なのだと、みんなが恐れおののいていた。何にといって、核兵器にでは、もちろんない。全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが核兵器を打ち砕くことにだ。
僕たちの国も、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの脅威からは逃げられなかった。
けれど運がいいことに、僕たちの国は全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの震源地から遠く、対策する時間があった。
例えば一部の人たちは、ずっと上空を飛び続けることのできる大きな飛行機を建造したという。それは今でも空を飛んでいて、そこで生まれた人々は、一度も地上に降りることなく、空で生まれ、空で死んでいくのだという。
まるで夢物語のようだが、南の空をゆっくりと飛んでいく大きな影を見たという話は、今でもたまに聞く。
例えば一部の人たちは、大きなロケットを何基も飛ばして、宇宙空間に住まいを移したという。宇宙ステーションとか、コロニーとか、そのように呼ばれるものを建設したともいうし、もっと遠くの新天地を求めて、大きな宇宙船を作って旅立っていったともいう。
そのどこまでが成功して、失敗したのかは誰も知らないけれど、いつだったか大きな音を立てながら光り輝く火球が海に落ちていったことはある。彼らではないことを祈るばかりだ。
例えば一部の人たちは、海上に人口の島を作り、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが泳いでくるのを避けながら生きる道を模索したという。
海なら魚も獲れるし、水も手に入るし、他の手段よりは現実味があるとは思う。
ただ、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが増えに増えた今となっては、海上であっても逃げ場などないのかもしれない。
そして僕たちは、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの上に住み着くことにした。というか、なった。
はじめはほとんど偶然で、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れがビルをぶち抜いた際に、運よく全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの上に投げ出された階層が、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの上に乗っかったまま運ばれてしまったのだ。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの背中の上に、なんかこういい感じのバランスで土台が乗っかれば、なんかこういい感じの住処ができる。
僕もそういう感じで偶然にも全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの上に投げ出された一人だ。
そういう運のいい人たちの中には頭のいい人たちや、技術のある人たちもいて、そういう人たちが全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの上をおっかなびっくり歩いて回って、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れに住んでいた人をまとめて、そうして今の僕たちの全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ文明がかろうじてこの地球上に存続しているというわけだ。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ文明は、なにしろ全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの上に立脚しているものだから、物理的にも政治的にもライフライン的にもいろいろ不安定だ。
地表のほとんどあらゆる構造物や山脈が全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れによって破壊されて均されてしまうまで、僕たちは飛んでくる瓦礫や崩れ落ちてくる土砂におびえなければならなかったけど、いまではもうそんな心配もない。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが海の上を渡るときはドンブラコドンブラコと揺れるものだから大変だけど、そもそも全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ自体が揺れに揺れるのだから、もはや慣れっこだ。
子供たち、つまり全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが地表のすべてを破壊した後に生まれた、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ文明ネイティブ世代たちなどは、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの背に揺られない世界のことを想像もできないだろう。
僕自身、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが現れる以前の世界の記憶は、すでにおぼろげだ。そんな安定した世界など、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れがまどろみの間に見る夢でしかなかったかのように。
ここ何年かの間に、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れはエベレストを平地に変え、ニューヨークの高層ビル群を更地に変え、南極大陸の氷床をかき氷に変え、全てを破壊しながら突き進んだ。
平らになった地球を何周もしながら、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れはどんどん数を増やしていった。全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが何を食べ、何を飲み、いつどんな風に生殖して子供を増やしているのか、人類はまだその謎を解明するには至っていなかった。
右を見ても左を見ても、地平線まで続く全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの背中を眺めることしか、僕たち人類にできることはなかった。
この先どうなるんだろうと悩むのは、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ以前に生まれた大人たちばかりで、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ後の若者たちは純粋無垢に、この全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ時代がいつまでも続くのだと根拠なく楽観的に生きている。
うらやましいことだと思う。
僕も、いつまでも全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ時代が続くと暢気に構えていたかった。全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの背に揺られて生まれ、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの背に揺られて生き、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの背に揺られて死んでいく。そんな穏やかな人生がってもいいだろうと。
その楽観的な見通しは、ある程度の期間は期待でき、そしてある程度の未来では徐々に終わっていくだろうと隣のバッファローの背に揺られる学者さんは言う。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れは本当にすべてを破壊する。土も、岩も、金属も、そして水も。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが海を渡るたびに、少しずつこの星の水位は低下しつつあるのだと彼は言った。全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの足元のことだから、正確にはわからないけれど、それでも全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが地球を一周するたびに、まるで桂向きでもするかのように、この星は全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れに少しずつ削られているのだという。
そうして地球がどんどん削られていけば、最後には星の芯まで届いて、それさえも全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れは破壊してしまうだろうと学者さんは言った。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの一頭一頭は死ぬし、殺すこともできるけれど、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れそのものは無くなりはしない。何頭も何頭も溶岩だとかマントルだとかいうものに焼かれながら、それでも星を削り、全てを破壊してしまうだろうと。
じゃあそれで終わりですかと聞いたら、それよりもっと前に我々は死に絶えてると思うけどね、と前置きしてから、でも多分それで終わりじゃないねと続けた。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが地球の中心まで破壊し終えた後は、重力によって引き寄せあう全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ自身を破壊し始めるのだという。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れのアナルに角を突き立てるのだと学者さんは笑った。
じゃあそれで今度こそ終わりですかと聞いたら、むしろそこが始まりだと思うよと学者さんは言う。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れは、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れを破壊する。最強の鉾と最強の鉾がぶつかり合う。破壊と破壊がぶつかり合う。そうして肉片ひとつ、血の一滴すらも破壊しつくすような破壊が引き起こされ、その対消滅によって莫大なエネルギーが解き放たれると学者さんは言った。
この地球をすべて破壊してしまえるような全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れに内包された、とんでもない密度のエネルギーのすべてが解放されるのだとしたら、それは確かにすさまじい破壊になるだろう。
じゃあそれでいよいよ終わりですかと聞いたら、たぶんねと学者さんはあいまいに笑う。それ以上のことはわからないのだと。だって誰も全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの角を全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れのアナるに突き立てたことなどないのだから。
わからないことは考えない方が健康にいいよと学者さんは言う、どう考えても理屈に合わない全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れについて考え詰めた末に一日中よだれを垂らしながらバッファローの背に揺られている学者さんの言うことだから、説得力が違う。
けど、僕は思うのだ。
この先、僕が死んで、僕の子供たちも死に絶えて、地球を全て破壊しつくした全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ自身を破壊してしまったその先。
宇宙の闇を引き裂くような輝きとともに解放されたエネルギーは、きっとバッファローの形をしているのだと。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの形をしているのだと。
無限の宇宙を駆け抜ける、光り輝く全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れを想像して、僕は少しだけ愉快な気持ちになった。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ歴32年の夏。
僕は宇宙を破壊しながら突き進むバッファローの群れを思っている。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れに突っ込んだらどうなるの、っと。 長串望 @nagakushinozomi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます