第44話 (R)二人の初めて


 魔王城の玉座の間には俺と遥しかいなかった。

 さらにエルマ様が魔法で用意したふかふかのベッドと、布団、そして、その他諸々。

 しかも、ライオンが口からお湯を出しているお風呂も作っており、環境整備は万全だった。

 今、俺たちは一緒にお風呂に入っている。


「確かに、さっき景太にキスをされた時、私の中で爆発的に魔力が高まるのを感じました」

「うん。それは俺も感じた。つまり、その……、遥が……」

「はい。私が景太で満たされると、その……魔力が溢れ出てくる……ということですね」


 ベッドの横には体育館の半分ほどは埋まる大きな透明な瓶があり、俺たちがイチャラブするとその瓶に魔力が貯められていく……、そうニトが説明していた。

 

 つまり、両方の世界を救うために、俺は遥を一杯幸せにして、この巨大な瓶を満たさないといけないということだ。


「あの……、私の実家に来た時にも言いましたけど……」

「う、うん」

「私の準備はいつでもできていますから」


 遥が俺の手に手を重ねる。


「景太と出会い、景太と過ごし、景太に救われ、私はいっぱい、いっぱい幸せを貰いました」

「俺も遥に何度救われたか……」

「それはお互い様ですよ」


 遥がそっと俺の唇を重ねる。


「私の一番である景太に、私の……初めてを捧げたいです」


 そう言う遥を見て、俺は遥に生涯を捧げるのだと誓った。

 そして――、風呂を上がり、お互いの体を拭いた後、ベッドへ向かい、俺たちはベッドに横になった。俺を見据える透き通るような瞳が潤み、白くきめ細やかな肌が眼に入る。

 遥の実家で見た遥より、さらに綺麗に見えた。

 遥を下にして、俺が四つん這いで上になった。


「今まで最高に綺麗だよ」

「……景太にそう言われるだけで胸がキュンとして色んな所が熱くなっちゃいます」

「うん、俺も」

「ほんとだ」


 遥が俺の熱くなっている下部に手を当てて、くすりと微笑んだ。

 

「……遥」


 遥に甘い啄むようなキスをする。

 遥も呼応するようにキスを返した。

 さらに、ゆっくりと唇を湿らせるように、円を描くように、キスをすると、遥が口の門が開き、舌が絡まり合う。


「んっ。んんん……」


 頭の中が熱く、蕩けてしまう。

 愛おしい彼女にその愛おしさを伝えられるように、遥とキスをする。


「遥、可愛いよ」

「……うん」


 遥の好きなところはもう分かっている。

 胸の先端を甘く愛撫しながら、遥の秘部を責める。


「ふぁぁぁあ……そこ……だめぇ……」


 遥が身をよがらせて、快感を体に貯めている。

 遥の快感が高まるごとに体の奥底から光が溢れだし、 ぽわんと、瓶の中に魔力となった光の玉が溜まっていく。 

 なるほど。

 遥が感じるごとに、感じた度合いで、その充填される量は決まっているのか。


「景太にされるの、すきぃ……だいすきです……!」


 だったら――、遥をもっと気持ちよくさせる。


「っぁぁ、ぁぁ、ぁああ……」


 俺は遥の秘部に口を当て――――。


「んんんっ!」


――――――――。


 ~【自主規制(魔力を貯めています)】~



「……また、頭の中が真っ白……になっちゃいました。けいた……、上手すぎ……です。私の好きな所、そんなに……攻められたら、もぅ……」


 息をいつも以上に肩で息をし、汗を滲ませ、ぐったりとしている遥は特段に可愛かった。

 〇戯が終わったところだったが、瓶を見ると三分の一しか溜まっていない。

 世界を繋ぐ次元を直すための魔法だ。

 やはり、想像を絶するほどの魔力が必要だ。


「遥」

「……はい」


 まだ肩で息をしている遥が俺を見る。

 俺の首に両手を回し――――、その体を抱き寄せる。


「いっぱい、幸せになりましょう」

「うん」


 この瞬間をどれだけ待ち望んだだろうか。

 遥と一つになれるこの瞬間を。


「痛くない?」

「はい、大丈夫です。さっき景太にいっぱいされたから……」


 そして――――。


「景太――、来てください――――」



~【自主規制(魔力を凄く貯めています)】~



――――トプン。

 

「はぁはぁ」


 お互いに息を荒くして、見つめ合っていた。

 瓶には魔力が満杯近くに満ちている。

 初めてを終えた俺たちはベッドの上でまだ重なり合っていた。


「痛くなかった?」

「はい。景太にされていることの幸せの方が何百倍も大きかったです。心の中が温かくて、幸せに満ちていきました。本当にありがとうございます。景太は?」

「遥と同じ。言葉じゃ言い表せないほどに満たされた。本当に遥のことが大好きだ」


 かぁぁぁと遥の顔が真っ赤になる。


「そう思ってもらえて嬉しいです」


 コツンとおでこを合わせて、微笑み合う。

 最高に幸せな瞬間だった。

 だが――。

 遥が甘い顔をして、俺の心臓辺りに手を置いて言う。


「あの」

「うん」

「わたし……、実はまだ、景太が欲しいのですが……、もっとできますか?」

「――――⁈」

「私をもっと可愛がってくれますか?」


 そんなこと言われたら――――――――、俺はもう止まれなかった。


 全てをやり終えた後――。

 満杯になっていた瓶から魔力が溢れ出てくる。膨大な魔力は魔王城から飛び出し、学園に、世界に雪崩れ込む。


 とめどなく、それはもう――、魔王の魔力など必要としないほどの量だった。

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