学園カーストトップの異世界帰りの聖女様を助けて死にかけたら、強制的に恋人になる魔法のキスで蘇生されました~皆に隠れて毎日イチャラブしながら迫る危機は捻じ伏せます~
第23話 (R)D組決起会、そして、お風呂で性なる魔法を習得しました
第23話 (R)D組決起会、そして、お風呂で性なる魔法を習得しました
放課後、清純祭のD組連合の決起会がカフェテリアで行われた。
総勢約九十名ほどの生徒と先生が三名。
壇上の中心には俺のクラスの眼鏡君と遥、そして――。
「なぁ、あの子可愛くないか? しかも、エロい」
俺の隣席にいたクラスメイトの斎藤くんが俺の腕を肘で突きながら言った。
「ん? あ、あぁ……」
斎藤くんが言ったのは遥の隣にいる子のことだ。ギャル風で如何にも遊んでいそうな子に見えるのだが、確かに言われてみれば、どこか男性の目を惹いてしまう魅力がある。
清純学園の女子生徒では決してあり得ないワイシャツの第二ボタンまで開けて胸の谷間が露わになっているというのも大きな理由だろう。
うん、ブラジャー見えそう。
いや、見えている。
正直、遥の美しさと可愛さに敵う子なんていないのだが、流石女子レベルの高い清純学園だ。他校ならアイドルクラスと言われるような子がゴロゴロしている。
「学園祭まで一ヶ月なわけだが、D組全体が一致団結し、万全の体制を整え最高のおもてなしをできるように、全力を尽くそう!」
眼鏡君が手を狐の形にして「うりぃ‼」と合図をすると、乗りが良い奴らもそれに乗って盛り上がる。意味が全く分かんなかったけど、盛り上がり具合が文化祭って感じがしてきたな。
そして、部門別に分かれ、俺はメイド部門に行ったわけだが……。
渡された表を見ると、俺以外の男子は各学年から六名選出されており、計十八名。女子も同じ人数がいて、メイド担当は合計で三十六名か。
俺の周りには悲壮感漂っているイケメン系、俺ちょっとイケてんじゃね?感を出している王子系、何かに目覚めちゃうかもとワクワクしている幼顔系、ゴリマッチョ系など個性豊かだった。
俺は隠れモブオタ系か何かか……?
いや、それってただ見た目が普通の奴なだけじゃないか?
どこにも属していない無個性の自分に気づいた俺は居場所を失いかけていた。
眼鏡君がメイド担当班の所にやって来て言う。
「文化祭当日、ご主人様を迎え入れ心地よく過ごしてもらうために、ツーマンセルの体制を組んで職務に当たろうと考えている。つまり、男女一組になって残りの一ヶ月間濃密な時を過ごしてもらい、親密度を高めた上で、最高のパフォーマンスを披露してご主人様達を満足させて欲しい!」
ここでも眼鏡君がメイド喫茶とは何たるかを力説していたが、俺の耳にはあまり入ってこなかった。
だが、幸運なことに――。
「景太、一緒に頑張りましょうね!」
くじ引きで決めたバディで俺と遥は一緒になった。
「そうだね。色々と教えてくれると助かる……メイクとか」
「任せてください!」
「すみませーん!」
先程のギャルの子が手を挙げていた。
「わたし、ペアがいないんですけど?」
「そ、そうだったか? あれ、おかしいな……」
「多分、私は後から入ることになったからかもー」
ふと、俺は眼鏡君と目が合った。
「じゃあ、君は八代君とペアを組んでもらえるかい?」
「はーい♪」
おっと、ツーマンセルって言っていたのに急にスリーマンセルになってしまったじゃないか。
当のギャルの子はルンルンとした様子で俺と遥の元に駆けてくる。
開いた胸元、数多の男を魅了する校則違反ぎりぎりの短いスカートとガーターベルトが嚙みついたニーハイとスカートの間が生み出す絶対領域。
男性を虜にしてしまいそうな甘い蜜のような匂い。
現に近くにいた男はみな、この子にくぎ付けであった。
遥の顔が心なしか強張っていた。
そんな彼女が俺たちの元にやって来て言う。
「八代先輩、天音先輩。――私、
隣にいた遥を高みから見下ろす
心なしか、バチバチと遥と
☆
決起会が終わった放課後、裏口から遥とミミと一緒に学校を出た。
帰りのミミは俺の制服の中にいた。
子猫の姿のままミミが言う。
「今日、パパとママがいない時、知世と遊んでもらったの!」
「何して遊んだんだ?」
「知世の神社に連れて行ってもらった! わたしと同じ猫さんの仲間がいっぱいいたの! お友達になったの」
「そうか、良かったな」
「あと、知世はミミを撫でるのがすごく上手」
知世先輩って神社の縁側で猫を膝に乗っけてのほほんとしているイメージあるから猫の扱いは上手いのかもしれない。
いや、今朝のミミの扱い方を見ても上級者だろう。
「今日はママとパパと一緒に寝るの!」
ミミは俺に「みゃー」と笑顔をみせる。
そんな人懐っこいミミを横目に遥は少しムッとしていた。
「大丈夫?」
「あ、いえ……。先程の身躾さんの服装が
「確かにそれは……そうだね」
「何となくですが、身躾さんは気をつけておかなければいけない気がしています。女の感って奴です」
そう言う遥の顔は少し強張っていた。
何となく、遥の不安が伝わる。
「ひとまず肩の力抜いて、まずは文化祭を楽しも?」
笑って遥にそっと手を差し出す。
「俺は遥のことが好きだから」
ただ、その言葉だけ。
そう言うと、遥は俺の手を取る。
手を握ったまま歩いていると、徐々に腕の方に近づいてきて、腕を組む形で密着してきた。
「はい。私もです」
ふふっと、俺たちは笑い合うと、そのまま俺の家へ向かった。
☆
今日の夕飯はカレーにした。朝ご飯は遥が作ってくれたため、夕飯は俺が作ることにした。カレーを作っている間、遥とミミが遊んでいるのを見ていたら、これは恋人を通り越して夫婦やっている気がしてならなかった。
いや、子持ち夫婦だろ。
ミミはミルクをたらふく美味しそうに飲み、カレーの具材だった豚肉を良く焼いて細かく切ったものを食べた。お肉を食べるのは初めてだったらしく、幸せそうに齧り付いており、見ているこっちも幸せになってしまうほどだった。
今は、眠くなってしまいソファーに横になっている。
そうして、俺たちの本題がやって来ていた。
「じゃ、じゃあ。先にどうぞ。俺、後から行くから……」
「……はい」
すっと遥は立ち上がると、バスタオルと着替え一式を持ってお風呂場へ向かった。
俺の心臓は遥とキスした時と同じくらいドキドキしていた。そりゃ、好きな人とお風呂入れるって幸せなことだし、遥の絹のようなきめ細やかな白い肌を初めて間近で見るわけで、緊張しないわけがない。
数分後――。もう大丈夫だろう。俺もお風呂場へ向かった。
服を脱いで、タオルを腰に巻いて、お風呂場のドアをノックした。
「入って大丈夫かな?」
「……はい」
遥の了承が取れたので、ドアを開けた。モクモクと湯気が立ち上り、それが晴れると湯船に浸かった遥がいた。もちろん、胸元から下にタオルを巻いている。だが、いつもより頬の赤味が強く、髪を纏めているためか、うなじから溢れんばかりの色っぽさが滲み出ていた。
「……綺麗です」
「あ、ありがとうございま……ぶくぶく」
遥を褒めると、顔半分を湯船に沈めてしまった。そんな照れる姿も可愛い。
俺はバスチェアに座る。
「体を流します!」
「いや、大丈夫だよ⁉ 無理しなくても!」
「無理なんかしていません! 今まで助けてもらった恩を返したいって気持ちもありますし、何より……彼氏の体を流してあげたいって純粋な気持ちもあるんです!」
そんな気持ちを伝えられて断る彼氏なんていないだろ?
「じゃ、じゃあ……よろしくお願いします」
遥はばしゃんと湯船から出ると、タオルにボディーソープをつけて俺の背中から擦り始めた。
「痒い所があったら言ってくださいね」
「……う、うん」
モクモクと湯気が立ち込めるお風呂の中、遥の体流しが始まった。
俺の頭は爆発寸前だった。だって、遥の持つタオルが腕や足や腰回りなど一部を除いて俺の全身をくまなく巡っていたからだ。
遥はゴシゴシと一生懸命に俺の体を洗っている。
薄っすらと曇った鏡に映る顔は真剣だった。
そう、遥は純粋過ぎるのだ。
――――好きな彼氏の体を流してあげたい。
ただ、そんな純粋過ぎる想いが遥を突き動かしているのかもしれない。
くそ、こんなのに興奮しない男子はこの世にいないだろ……。
リトルな息子も元気いっぱいだった。
「痒いところはないですか?」
「うん。……ありがとう」
チョン。
「はぁう!」
「どうしましたか?」
「あ、いや――」
にぎにぎ。
にぎにぎ。
「すみません。こ、この硬いのは何でしょうか?」
そ、そこは触らないで下さい。
「凄く……硬くて……おっきい」
遥は天然なのか!
いや、湯船の湯気で前が見えていないのか‼
「しかも、すごく……あつい……」
「い、いや――、そこは大丈夫‼ 骨が当たっただけだと思うから‼」
「そ、そうですか……」
その後、シャワーで泡を流してくれた。
その間に精神統一をして息子を鎮め、一緒に湯船に入る。
すると、パチリと命令が消えた。
【魔法【性なる守護】を授けます】
どうやらまた魔法を習得したらしい。
見た目の変化や何か変わったという感じはなかったが――。
「性の文字が違うのは気のせいかな?」
「気のせいではないかもしれません」
「いったいどんな魔法なんだ?」
「……分かりません。もしかして、如何わしい魔法ですか?」
「さ、さぁ?」
湯船の中で俺たちの【性なる守護】の考察が続いた。
☆
結論、何か分からなかったのでのぼせない内にお風呂を上がり、リビングでゆっくりとした後、寝ることにした。
昨日と同じなら、ミミと遥は母親の部屋で一緒に寝るのだが……。
ぶかぶかの俺のスウェットを着た遥が指をしゃぶったままぼんやりとした顔のミミを抱き抱えたまま言った。
「そろそろ寝ますか?」
時計を見ると日にちを跨ぐ頃だった。
「そうだね」
「ミミちゃんも景太と寝たいみたいです」
「パパと寝たい」
「分かった。じゃあ、リビングに布団を敷いて寝ようか」
俺は押し入れから来客用の布団を出して、川の字になるように三枚リビングに敷く。
真ん中にミミを寝かせて、両サイドを俺たちで挟む。ミミは俺たちがいると安心するのか、幸せそうな寝顔を見せて、すやすやと寝息を立て始めた。
ツンツンと遥がミミの鼻を突いた。
ミミが鼻をむずむずさせる。
「可愛い」
片肘をついて、ミミを見て笑っている。
俺の服が大きいからか、肩が見えているし、魅了の鎖骨も見えた。
少し目のやり場に困るな。
すると、口をむにゃむにゃとさせながらミミが俺の腕にしがみついて来た。
「そろそろ寝ましょうか」
パチリと電気を消すと、遥は布団の中に入った。
そして、ミミを挟むように俺に密着する。
「私だって……彼氏に甘えたい時もありますから!」
表情は暗闇では分からなかったが、声が上ずっており、恥ずかしいのを抑えているのは確かだった。性格の問題もあるかもしれないが、ミミが全力で甘えてくるから自分は甘え辛いのかもしれない。ミミを挟んだまま見つめ合う。
遥が口元を向けて目を閉じた。
そして、そっとミミの頭の上でキスをした。
魔法の命令ではないキスを。
「毎晩……いえ、毎日、キスしたいです」
「……うん」
「私が寝るまで手を握っていてもらっても良いですか?」
俺たちはそっとミミのお腹の上で手を繋いだ。
少しの間手を握っていると、遥もうつらうつらとしてきて――、
「わたし、景太と出会えて幸せです」
とすやすやと寝息を立て始めた。
それは俺もそうだ。
幸せそうな遥の笑顔を見てそう思う。
だが、寝るまで手を握ってもらいたいとは、遥って意外と寂しがり屋なんだなと思った。
一人暮らしをしているって言っていたし、たまには人肌が恋しくなったのかもしれない。
まぁ、彼氏としては嬉しいのですが。
俺は月夜に照らされる二人の寝顔を見ながら、その夜は眠りについた。
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