学園カーストトップの異世界帰りの聖女様を助けて死にかけたら、強制的に恋人になる魔法のキスで蘇生されました~皆に隠れて毎日イチャラブしながら迫る危機は捻じ伏せます~
第18話 サディの目的と新たな障害〈サディ視点〉
第18話 サディの目的と新たな障害〈サディ視点〉
「サ、サディ様……あの者はどうしますか?」
風紀委員の一人が地べたに横になり、にへらと昇天している田辺先輩を見て言う。
「調教は完了した。じきに目覚める。夜遅くまでご苦労だった」
「はっ!」
風紀委員たちがいなくなった後、サディは窓際に立ち、風紀委員会室より上にある生徒会室を見つめていた。
すると、ガチャリと風紀委員会室のドアが開く。
「あっ、魔王様、信者をまた一人増やしたの? やるぅ」
「……ミーアか」
豊満な胸を持ったクリーム色の髪をしたギャルの女子生徒。
「やめてよ、今の私の名前は
「気楽なものだな。私たちは勇者パーティーに倒された後、密かに自身に仕掛けていた転生魔法が発動したが、魔法も存分に使えない貧弱な人間の肉体に憑依転生してしまったというのに」
「まぁ、転生魔法は最高位レベルにある魔法よ。そもそも私や魔王様のように、魔法の才を持つものしか使えないし? 勇者たちの魔力を追って転生先の座標軸を合わせただけし? まっ、こんな世界だとは思わなかったけど、まずは無事に転生できたことを喜ぶべきよ」
ミーアはペロリとキャンディを舐める。
「でも、私は意外とこの生活、気に入っているよ?」
「ほぅ?」
「だって、学校のみーんな、可愛い私にゾッコンだもん! あは!」
「相変わらずだな」
「それで? お堅い考えの魔王様は、自分の魔力を取り戻すために、せっせと心に闇を持つ人間と契約をして魔力を蓄えているってわけ?」
「あぁ。【
「あはははっ! 叶えてないくせに!」
ミーアは腹を抱えて笑う。
「まぁ、一瞬でも良い夢は見れただろう?」
「あはっ。さすが魔王様! 誑かしていい気分にさせた後、無慈悲に谷底へ叩き落す……、そんな残虐な所に惚れちゃうわぁ」
ミーアは妖艶な笑みを浮かべた。
「で、あの男はどうするの?」
アヘ顔で地面に寝そべっていた田辺先輩を見る。
「なに、利用価値がなれば女と同じように私のエサになってもらうだけさ。だがしかしだ。この世界に転生してから魔力集めをしているのだが、中々上手くいっていなくてな。まだ勇者と聖女と相対する魔力には及んでいない。もっと上質な闇をたくさん作りだす必要がある」
「もしかして、そのために学園の桃色お花畑の生徒たちに風紀指導を入れているわけ?」
「そうだ。人間の恋愛というのは容易に闇を作り出す。嫉妬、怒り、悲しみ、後悔、憎悪。これらの感情を育てた後、契約を結びさえすれば、生命力を絞り取って私の魔力にできる。まぁ、このままゆっくりと魔力を集められれば良いのだが――、一つ問題がある。勇者達、生徒会が邪魔だ」
「まぁ、そうね。あいつらがいる限り、私たちの活動に制限がかかるのは確かね」
「そこでだ。お前にやってもらいたいことがある」
「何?」
ミーアがキャンディーをペロリと嘗め回す。
「生徒会を裏から潰せ。お前の力で生徒会の信頼を失墜させ、我々風紀委員が学園の主導権を握れるようにして欲しい」
「ふーん。それで私を呼んだわけ。で、報酬は?」
「風紀委員の男を好きなだけくれてやる」
「あっは! 何それ、最高♪」
「成功すればいくらでも精を搾り尽くさせてやる。だが……、足がつくようなヘマはするなよ?」
「だいじょーぶ。私のスキル【
「……人間を侮るな。我々魔族は人間より圧倒的に強い自負と傲慢さからポッと出てきた勇者たちを侮り負けたのを忘れたのか。しかも、今回は魔法をほとんど使えないという圧倒的に不利な状況にある。我々は
「はいはーい。分かってまーす。まぁ、見た目……という点では私たちに有利ね」
「そうだ。魔族だった私たちがこの肉体に憑依転生しているのを奴らは分からないからな。それが最大の強みだ。このまま人間のフリをして近づき、生徒会を捻り潰せ。そして、集めた膨大な魔力でこの世界に我々がいた世界を、魔王城を浸食させる」
「要は、次元に穴を空けて、私たちがいた世界とこの世界を繋げてぶっ壊しちゃうおうってわけね」
ミーアはペロペロキャンディーを舐めながら、可愛い容姿からは想像できないほどの歪で悪魔のような笑みを浮かべた。
「頼めるな?」
「おっけい。これからあいつらの顔が歪むのを想像すると楽しみで仕方がないわぁ」
ミーアは髪を手で
その途中。
地面に寝そべっていた田辺先輩を見つけると、足で頭をぐりぐりと踏みつけた。
「ぶ、ぶひん!」
そして、田辺先輩の口に自分が舐めていたペロペロキャンディーを何度もぶち込み、抜き差しする。
「ぶ、ぶひぃ! ぶひぶひぃぃぃ……」
田辺先輩は恍惚な表情を浮かべた。
「ほんとドクズのド変態ねぇ! あはっ!」
すると、田辺先輩がミーアの足にすり寄りその足に「ぶひぃ」と頬を擦り付けた。
「はぁ?」
「ぶ、ぶひぃ?」
ミーアはそれを汚物を見るような眼で蔑み――。
「触って良いとは!」
「一言も!!」
「言ってないでしょうがっ‼‼‼」
おもいっきり田辺先輩を蹴っ飛ばした。
「ううっあぁ!」
だが、田辺先輩は嬉しそうだった。
ミーアは風紀委員会室を出ると、学園の校門前に止めてあった高級車の後部座席に乗り込んだ。
そして、車窓からミーアを照らす月明かりに向けてほくそ笑む。
「すぐにいい話を持ってきてあげるから。待っていてね、魔王様」
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