屋上ランチタイムふたたび
昼休み、俺は
今日は担任の
別に俺が約束したわけではない。
屋上への扉を開くと眩しい世界に日葵と古織と――なぜか
「
すでに弁当は開かれていた。俺も開封する。
見た目は少し違うが日葵と同じおかずになっている。卵焼き、ベーコン、ほうれん草バターソテー等々。
古織は自家製のサンドイッチを手にしていた。
伊沢は昨日の夜の残り物と今朝用意したものの詰め合わせと称するものを食べていた。
意外に量が多いな。男子なみに見えるぞ。しかも日葵とおかずを交換したりして品数を増やしている。
「先生も食べる?」
「いらない」
「ダイエットしすぎると体を維持できませんよ」
「ぐ!」
何だか古織が伊沢に世話を焼かれているぞ。
「山田くん、ベーコンと私のイソベ交換しよ」
馴れ馴れしいな。日葵の目がつり上がったぞ。
「ごめんなさい」
伊沢は空気を読んで日葵に謝った。しっかり俺の弁当にも手をつけたが。
せっかくだから俺は伊沢のちくわ磯辺揚げを口にした。
うまい! 見た目はそれほどでもないが味は良い。
「美味しいな」
「昨日たくさん作ったの。残り物だけど美味しいよね」
伊沢が笑う。マイペースなヤツだ。
「先生もどう?」
古織に口を開けさせてそこに磯辺揚げを突っ込んだ。餌付けだ。
俺はドン引きした。
ここでは
「自分で作るの?」俺は訊いた。
「今日のは大半が妹ね」
「妹がいるんだ? 中学生?」
「高校生よ。同い年の」え?
「ふたご?」
「違うわ」
それって……俺と日葵の関係みたいに……。
「内緒よ」伊沢はまた笑った。
「あなた――ペラペラ喋ったらダメじゃない」古織の指導が入った。
こいつの家庭もわけありか?
「人間誰しも秘密の事情というものが一つや二つあるものよ。でしょう?」
伊沢の笑顔に俺は凍りつく。
「だから――ひ・み・つ」って俺と日葵のことは秘密にしてくれるのか。
ひょっとして
「うへへへへ」伊沢がまた無気味に笑った。
「気持ち悪いわよ」
古織に注意されて伊沢はすぐに黙る。
こういう場の日葵は黙って手足を動かすのだ。特に足癖が悪い。
伸びた日葵の足はすぐに元の場所に戻った。
スカートの奥が見えそうで見えないのは日葵の計算づくだ。
「
いや――ちょっと古織と伊沢のやり取りに目を奪われただけだろ。
ていうか――伊沢は黙って膨れている日葵の代弁者なのか?
本当に――おかしなヤツが多すぎだ。
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