第74話

 

 〚ターロンサイド〛


 ターロンはレイピアを再び空間から取り出し構えている女と対峙しており


【ターロン】 「1つ聞くが、お前は死の狂乱会のメンバーか?」


【女】 「そうだと、言えばどうするのよ?」


【ターロン】 「死の狂乱会の奴と出くわしたら殺しても良いと言われてるからよ。だからきいただけだ」


【女】 「なら、私からも1つ聞くけど、死の狂乱会のメンバーを今まで殺したのかしら?」


【ターロン】 「あぁ、今までに何人ものメンバーを殺したよ。あいつ等は、罪のない人を容赦なく殺したり、幼い子供を誘拐し奴隷商に売りさばいたりとしてるからな。殺されて当然だろ?」


【女】 「‥この人に見覚えは?」


 と1枚の写真をターロンにみせる。ターロンはそれに


【ターロン】 「その男は覚えてる。凄腕のレイピア使い だったからな。確か名は、桜炎火さくらえんび。俺が殺した」


【女】 「あなただったのね‥、私の兄を殺したのは!!!!何で兄を殺した!!」


【ターロン】 「炎火えんびが行ってた、炎奈えんなって言うのはお前か?」


【炎奈】 「うるさい!!何で殺したのか聞いてるのよ!!答えて」


 と距離を詰めレイピアを連続で繰り出す。ターロンはそれに先程とは違い、魔力が纏わりついていた為に避けながら


【ターロン】 「炎奈、待て話しを聞け!!炎火は、お前を死の狂乱会に人質にとられていたからそれに従っていただけだ!!」


【炎奈】 「そんな出鱈目が通じると思ってるの?私は才能があるからと言われて死の狂乱会の幹部にスカウトされたの。兄は、その後少ししてスカウトされた!!」


【ターロン】 「炎火は言ってた、狂乱会の幹部に出来損ないの妹を才能があると良いスカウトした。お前が死の狂乱会に入り働かなければ炎奈は男の慰み者になるか、バラバラにし殺すと。だから、妹の為に死の狂乱会に入り悪事を働いた」


【炎奈】 「はは、そんな訳ない!!私は、私は」


【ターロン】 「なら、お前は炎火がいた頃に何か悪事を働いたのか?アジトで甘い蜜を吸ってただけではないのか?炎火が死んでから、そういった悪事に駆り出されるようになったのではないか!!」


【炎奈】 「それが、それが本当なら私は、私の、私のせいで兄は‥」


【ターロン】 「炎火は俺に殺される前に、妹を炎奈を助けて欲しいと俺に全てを託し、そしてこれをお前に渡すように言われてる。だからもう攻撃は辞めろ」


 と喋っている間、炎奈はレイピアでの攻撃を続けており、ターロンはそれを指で止める。そして空間から、1つのレイピアを取り出しそれを炎奈に渡し


【炎奈】 「兄さんがいつも愛用していた、特注品のレイピア」


 と言い受け取ると、レイピアが光だし宙に、1人の男性が写し出され


【炎奈】 「兄さん‥」


【炎火】 「この映像が写し出されてる時には俺は死んでるだろう。この映像は炎奈‥お前にこのレイピアが渡った時に発動するようになっている。簡単な事だ、炎奈、死の狂乱会を辞めるんだ。俺が死ねばお前は扱き使われ道具のようにされいずれ捨てられる。俺がお前のぶんまで仕事をすると幹部と約束したから、死んだらそれが無効になるだろう。お前には、俺のように手を汚して欲しくない。罪のない人、子供を誘拐したりとするのは俺だけでいい。お前は、幸せになってくれ」


 そう言い映像は途切れ炎奈は


【炎奈】 「兄ざん、兄ざん‥ごめざさい、わだじ、わだじぞんなのジラながった。ひどじぢになっでるなんでジラながった。ごめざさい、ごめざさい」


 とレイピアを持ったまま泣き始める。ターロンは


【ターロン】 「炎火、約束は守ったぞ。後は、これからどうするかだよな。」


 そう言い、炎奈が泣き止むのを待つターロン。しばらくして、裾で目を拭いた炎奈は


【炎奈】「‥しんじれなぐごめんださい。」


【ターロン】 「別に、気にするな。それよりも、おまえ達の目的は何だ?何故、勇者本部にいる?」


【炎奈】 「‥目的は、勇者の本当の子供を殺すのが目的です」


【ターロン】 「勇者の本当の子供?待て、今は勇者の子供がいないから勇者候補生を募ってたんだろ?どういう事だ?」


【炎奈】 「‥わからないけど、何でも双子で見つかったそうです。その人物が憩いの宿屋にいるそうです。私達は、侵入した人達の始末に来たのです」


【ターロン】 「って、事は俺のように戦ってるのか。けど、相手が悪いよ‥残りの3人は俺よりも強いから。特に鳳華ほうかはいや、なんでもない」


【炎奈】 「‥あの、話変わるんですが私を強くしてもらえませんか?私、兄さんを殺した死の狂乱会の幹部達を許せない。それに、私も困った人達を助けたいから。兄さんもきっとそっちなら許してくれるはずだから」


【ターロン】 「強くか‥とりあえず、俺から離れるな。ここでの仕事が終わったらあの人に聞いて見るから。それで今から向うのは、憩いの宿屋だ。双子の子供を助けなくては行けない」


 そう言い、ターロンは炎奈と共に憩いの宿屋を目指すのであった。


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