第73話

 

 〚シグレットサイド〛


 魔法が封じられた状態で、職員に組み伏せられており


【職員】 「ララビス様、拷問室に連れて行く前にこの女、抱いてもいいでしょうか?」


【ララビス】 「魔法を封じているからって油断するな。けど、確かに良い女だ。いやいや、何を言ってるのだ俺は。拷問室に連れていくぞ」


【職員】 「ララビス様、本当に、本当に拷問室に連れていくのですか?」


【ララビス】 「その通りだが、何だ、この感覚は?無性にこの女を抱きたい気分だ」


【シグレット】 「私を放してくれれば抱かせて上げてもいいわよ?」


【職員】 「本当か?本当に、本当に抱かせてくれるのか?」


【シグレット】 「えぇ。だからお願い、この枷を外してくださる?」


【ララビス】 「待て、何か、何かおかしいぞ?枷は筈してはならん」


 そう言うも、職員はシグレットの魔力封じの枷を外した。そして次の瞬間に職員の首が宙をまい、血しぶきが上がる。


【ララビス】 「俺達に何をした?」


【シグレット】 「私、こう見えてサキュバスと人間のハーフなのよね。」


【ララビス】 「魅惑か‥ならば、レジスト」


 そう言いララビスの体が緑色に輝き


【ララビス】 「これで、魅惑はもう俺には聞かない。それに、サキュバスとは珍しい拷問が終わった後はサキュバスのデータを取り勇者候補生の糧となってもらいますか」


【シグレット】 「へぇ~、面白い事を言いますね?勝てる前提で話すなんて少し舐められてますね」


【ララビス】 「そりゃあそうでしょう?サキュバスって魅惑以外は脅威ではないのだから。それに今思えば、先程のそこの死んでる職員を始め氷付けしていたのはお前の幻覚だ。サキュバスの得意そうな事だ」


【シグレット】 「クスクス、今の勇者本部の職員は馬鹿しかいないのでしょうか?情報さえ手に入ればどうなった所で私の知った事ではありません。それに、私勇者本部には個人的な恨みがありますの。私達の村を守っていた勇者本部の職員、技術者は村を魔族に売り渡した。それを秘密にし、自分達はその場所から撤退したわよね?」


【ララビス】 「そんな事もあったと昔だが聞いてる。もしかしてその時の生き残りか?けどそんな村1つ売り渡しただけで、大切な勇者本部の職員、技術者は助かった。どちらの命が大切かを考えれば、当然の選択だ。勇者本部がなければ魔王には勝てないのだから」


【シグレット】 「そうよ、私はその村の唯一の生き残り。おまえ達のせいで、父も母も殺され生きる希望がなく死のうとした、けどあの人が生きる希望をくれた。って長々と話すもんではありませんね。さっさと終わらせ、記憶を読み取らせて貰いましょうか」


【ララビス】 「出来るもんなら、やってみ、ひぎゃあぁあぁあぁあ!!!!!」


 と片腕と片足を魔法で撃ち抜かれその場を転げ回る。


【シグレット】 「あらあらどうしました?サキュバスは魅惑以外脅威ではないのでしょう?何故地面を転げ回ってるのかしら?」


【ララビス】 「くぞが、癒やしの風、ヒール」


 と回復魔法をかけ、立ち上がり


【ララビス】 「油断しただけだ、それよりも取り引きしよう。情報を渡す、だから俺を殺さないでほしい。いい条件だろ?」


【シグレット】 「それが、人に取り引きする態度なのかしら?」


 と再び、魔法でララビスの足を撃ち抜くと


【ララビス】 「いぎゃあぁぁあぁ、待て、痛い、痛い、痛い、わがっだ、わがっだ、ちゃんと、ちゃんと態度改める。だがらやめでぐざださい」


【シグレット】 「もう1度だけ、発言をしてもよろしいですわよ。」


【ララビス】 (糞が、今にみてやがれ)「情報をお渡ししますから、どうか、どうか私を殺さないでいただけませんか?」


【シグレット】 「なら、先程見せた写真の人物はここに来ました?」


【ララビス】 「‥確かにその人物はここにいました。勇者候補生の指導役として」


【シグレット】 「勇者候補生の指導役ね。それで、今は何処にいるのかしら?」


【ララビス】 「行方を眩ませたんだ。医療班や職員を殺し、2人の人物を連れ去った。」


【シグレット】 「‥もうここにはいないのね。それと、先程殺した職員が手配書がどうとか言ってたの。それは先程見せた写真の人物達を指名手配したの?」


【ララビス】 「違う。けどそれについては話せない」


【シグレット】 「話せない?なら仕方ありませんね。情報は得た事ですから、死んで貰いましょうか?」


【ララビス】 「待て、待ってください!話しますから。指名手配書は今日試合した奴らのだ。勇者の本当の子供、双子が見つかったから」


【シグレット】 (勇者の本当の子供?ルルアンって人は子供を作らずして魔族領に送られ行方を眩ませてたはず。どういう事かしら?) 「それは本当の事かしら?それと、その指名手配された人物達は今何処にいるのかしら?」


【ララビス】 「本当の事だ!!それと、その人物達は憩いの宿屋に泊まってるはず。けどそこには既に、雛田真昼ひなたまひる様とその精鋭部隊が向かわれてる」


【シグレット】 「情報ありがとう。ではさようなら!!」


 といい魔法で男の首を跳ねたのであった。しかし、指を鳴らすとシグレットは天井の隅に本体が現れ、先程までいたシグレットが消え去り死んだ筈の職員とララビスが床に転がっており


【シグレット】 「貴方達は、始めから幻覚に囚われていたのよ。本当なら、殺すつもりでしたが死の狂乱会のメンバーではありませんので。それと私と会った記憶を消させて貰いますね」


 そう言い転がっている2人の頭に触れて記憶を消し、その場から離れるのであった。




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