第三十一集 本心
暗殺されるすんでのところを皇城司に救われ、身柄を確保された
そうした証人や証拠にさらなる説得力を持たせたのは、
他人を陥れようという人物が、
だが、こうして証拠が整ったのは、極刑の
九死に一生を得た
風呂桶に浸かる
続いて
「また泣いているの?」
「だって……」
ぐずぐずと鼻を鳴らしながら、
「わたくしも
「でも……だって……わたし、なにもできなかった」
声を震わせる
「
すっかり落ち込んでいる
「そんなの、当たり前でしょう」
泣き顔のまま、
「
じっと聞き入る
「なにより
「こんなにすごい三人の力を借りられたのは、
感謝を告げてから、救われた側が救った側を慰めていることに
これから
「みんな、三姉上のために必死だったのよ。わたしの力じゃないわ。お願いだからもう二度と、誰かのために自分を犠牲になんてしないで」
鷹揚に、
「ええ。今回みたいなことは、もう二度とないわ」
足掻き続けた末に力及ばす諦めたつもりだった命が、こうして繋がったのだ。ならばこれまで以上に命を惜しんで惜しんで、誰よりも長生きしてやろうと、
もう一度肩まで湯に浸かった
「三姉上。一つだけ、訊きたいことがあるの」
「ん?」
軽く首を傾けて、
「その……牢で言ったことは本当? わたしのこと……嫌いだって」
「もし本当に、わたしのことが嫌いだって言うのなら、それでもいいの。きっと、わたしが三姉上の優しさに甘え過ぎた結果だから。わたしはずっと茶坊のことばかりで、家のことをあまりよく分かっていなくて。それで三姉上に負担がかかっているのなら、父上や
「
「牢で言ったことが本当かどうか、そちらから訊いておいて、わたくしが答える前に結論を出さないで貰えるかしら」
「……ごめんなさい」
どのように答えたものかと考えながら、
「少しだけ本当よ」
背後で息をのむのが聞こえた。
「そういう風に考えたことが、ないとは言わないわ。色々なことに追い込まれて、周りを責めて、自暴自棄にもなってた。でも感情ある人間なら、そういう気持ちになってしまうことくらいあるわ。だから、ただ一つ揺るがないことだけ分かっていて欲しいの。わたくしは――
また
「だから、家のことは気にしなくていいのよ。二兄上や
霜葉茶坊に
この願いを叶えるためには、やはり長生きが絶対的に必要そうだと、
不意に、仰向く
「わたし、ずっと心配だったの。
「でも、今の話でよく分かった。霜葉茶坊が三姉上の居場所になるのなら、わたしがこれまで以上に全力で守っていくことにする。わたしの母さんも生きていれば、同じようにしたはず。三姉上自身のことは
明るく言う
「
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