第三十集 聖詔
「
大理官は目玉が飛び出そうな顔をしたあと、慌てふためいて机の前まで進み出て跪いた。死刑執行人も焦った動作で大刀を置いて両膝をつく。
片腕の自由を得た
「罪人、
堂々として低く、遠くまで響き渡る声だった。普段の穏やかな
詔書を授け終えた
「もう大丈夫だ。急いでここを離れよう」
そう言った
「待って。少し待って」
焦って言った
「どこか痛むか」
「そうではないの。そうではなくて……腰が抜けてしまって」
さっきまでどうやって立っていたのか忘れてしまったように、うまく足に力が入らなかった。無理に立とうとすると膝が震え、ひどくぎくしゃくとしてしまう。
情けなくうつむく
目線を戻した
「つかまれ」
「え?」
「
「暴れたら落とすぞ」
叱る声色で叫んだ
助けを求めるように
歩いて行く先に、
世子らが柵の隙間を抜けて皇城司の若者の前を通ると、彼はなぜか得意満面な笑みで
こっそりと
人垣を割って作られた道を行くのは、
恥ずかしさが極まり、
人垣を抜けたところで、横方向から
「三姉上!」
「よかったぁ。間に合って、本当によかったぁ」
「
困惑して四妹をなだめる途中で、
「もう大丈夫だから降ろして」
注意深く支えてくれる
ちっとも泣き止む気配のない四妹を抱擁して、
大泣きする
「今、
いまだ自分が助かった実感がない
「……いいの?」
つい口をついて出た
「それをわたしに訊くのか」
「だって――」
「駄目だったら、君はここにいない」
つまり、生きていていいのだと――そう言ったのだ。あの
信じられずに
ずっと否定されていた生命が、認められた。
やがて人目を気づかう形で、
「そろそろ行くぞ。生き延びた感動は、
「
「ごめんなさい、三姉上! わたしったら気づかなくて。向こうに馬車を用意してあるから、早く乗って」
一歩前を行く
『
四妹と繋いでいない方の手を、
彼の固い手の平を
ついに死の運命から抜け出した高揚感の中で、
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