第二十八集 岐路
「
問われたことが意外で、
「
「三姉上が、あなたにしか話さないことがあるはずです。そうでしょう?」
傍目から分かるほど振る舞いに違いがあったろうかと、
「――
思わず、
「霜葉……? 茶坊と、なにか関係のあることですか」
「いや。なんでもない。忘れてくれ」
反応を見るに、やはり
遅れて歩み寄ってきた
「
「そんなことは分かってるわ、
「三姉上がわたしを嫌っていたとして、それならなぜ自分がやったと名乗り出たの? 本当にわたしが目障りなら、黙っていればよかったのに」
「わたしと
「
「……申しわけない。失言だった」
「世子、
「
「霜葉茶坊の封鎖はまだ解けないが、二人が中を見られるよう手配しよう。茶坊の所有者である
「世子と
さすがに
「茶坊の方は二人に任せる。わたしは
「
「大丈夫だ。
「問題ない。母上の説得くらい、いくらでもする。この件が解決すれば収まることだ」
そういうものとして
「
「世話をかける」
「よろしくお願いします」
軽く拱手する
皇城司の官署への道すがら、
本来の『霜葉紅』では、
どういう心変わりか、と牢獄で
最初に心動いたのは、
作者としての記憶を持つ自分の他に、『霜葉紅』を思い入れ深く語れる者がこの世界にいることに、言いようのない感動を覚えた。もっと彼女の話を聞きたいと強く思ったからこそ、舟遊びにもつき合うことにした。
もちろん、
それほどまで作品を愛してくれている人物の名前を知りたくなった。
そして、彼女が
きっと、もうずっと以前から
物語が、新しい道筋を辿っている。
かつて書き上げられなかった『霜葉紅』への執着は変わっていない。だが今や、あるべき筋書きを歪められることへの嫌悪よりも、
死に向かっていくばかりの病床で、心まで死なずにいられたのは、顔も知らぬ彼女の存在に救われたからだ。今度は自分が彼女を救う側になるのも、悪くはない――手の平返しを
皇城司の衙門へと帰り着いた
そうして
「
集中していたところから急に現実へ引き戻されて
「今回の茶密売の関係者を一律極刑とする
「捜査はまだ途中だぞ」
「圧力がかかったんだ。大勢の高官が、今こそ茶賊の一掃の機会だと朝堂で口を揃えて奏上した。一刻も早く罪臣の口を封じたい人物が上の方にいる」
忌々しそうに
「甘い蜜を吸うだけ吸って、分が悪くなったらまとめて切り捨てか。碌なものではないな」
「天子直属の皇城司が形なしだ。やりにくいったらない」
「獄中で自害させずに処刑の手順をとらせるだけ、抑止力にはなっていると思おう」
慰めにもならない
「まあ確かに、全部が全部、悪い話でもない――使者が
「行き先は
「おそらく」
「追跡は」
「当然」
「すぐに動ける者を集めろ。
「承知した」
別方向へと
物語は少しずつ軌道をずらしている。この先なにが起きるか、もう
間違いないのは、
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