第十五集 急転
どういう情報網なのか、舟遊びをしている間に
三妹を保護したのが皇城司でよかったと、
はぐれたのは末妹の奔放さが原因であるのに、自分が悪いように言われたのが
外での大兄のようすを
気がかりなことは多いものの、できることもないので、
立秋を過ぎ、朝夕の外出には団扇でなく薄手の外套が欠かせなくなってきた頃。
しばらくぶりに、
官吏の休日はおおよそ十日に一度。今日のためにわざわざ調整までした貴重な休みに呼び出されたとあって、
茶坊二階の個室に皆が揃ったところで、
「中秋節で出す
旨い旨いと口をもごもごさせる二兄に
「
「甘みに桂花の蜜漬けを使っているの」
やや得意げに、
「こちらの
「
「中の塩漬け卵黄もいい
「わたしにも、その
一つ目の月餅を食べ終えた
「最近、甘いものが過ぎるのではないか。顎が丸くなってきている」
「そんなことはない……と思うが」
「鏡を見るべきだな。
翰林院は、天子のお言葉となる
ところが、
「違うわ。ただの幸せ太りよ」
「
「兄に向かって、そんな言い種はないだろう。
不満げに口を曲げて、
「世子も思います?
「理想とするところは人それぞれなのだから、流儀を曲げてまで特定の価値観に合わせる必要はないだろう」
端然として、
そのとき、
「少し見てくる」
「なんなの、あなた達!」
直後、ばたばたと暴れる足音が聞こえ、
「
扉に体当たりする勢いで
回廊の吹き抜けから茶坊一階を見下ろし、
賊の
誰も剣を抜いてはいないが、力ない人々に脅威を感じさせるには十分だ。茶坊の客も給仕も息をのむばかりで、誰一人として身動きできずにいる。その中心で、
「二兄上」
「わたしに任せて、お前はここにいなさい」
「彼女を放せ! どこの
初めて聞く
今にもつかみかからんばかりの
武官が見せたのは、所属を証明する
獅子紋が意匠された金の腰牌の中央には、「皇城司」と文字が刻まれていた。
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