第6話夏の終わり

ミラは庭の隅で線香花火をしている。もう5本目だ。ずっと無言で線香花火を消費しているミラに、ケイゴは横にしゃがみ声を掛ける。


「お嬢ってそんなに線香花火が好きでしたっけ?」


「…線香花火ってさぁ、火花の散り方で呼び名が付いてるの知ってる?」


「ええ、確か蕾、牡丹、松葉、散り菊だったかと。」


「…私はそのまで覚えて無いけどさぁ、人の人生みたいでしょ?どこか地味で、上手くいかないと殆どパチパチせずにポトンって落ちる。これを観てると人生の儚さを感じる。」


「何でそんな感傷的になってるんですか(^◇^;)」


「あぁ、夏休みが終わる…。」


「…まだ7月ですよ。」


「もう夏が終わる。」


「9月も残暑が厳しいですから心配しないでください。何ならここ数年秋なんて殆どありませんから。」


「…。」

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