第1章 第1節 夢か?あるいは妄想か?
...視界は、青黒い闇に包まれていた。
..なぜ?俺は車に轢かれて..痛みだってあったはず..
まるで理解できない。俺は頭を抱えた。しかし..
..頭が..無い。というかそもそも..腕が見えない。感覚もない。動かそうするも..まるで麻痺しているかのように遮断されている..それと同時に、精神の奥深い、何か大事なものが飽和し、忘れ去られていくような..不思議な現象の中に囚われた俺は、しばらく茫然自失となった。そんな中..微かな風の感覚とともに、それを遥かに凌駕する痛みが身体を襲う。
身体を強ばらせ、声を抑えて悶絶した。ことで、 ようやく気づく。先程までなかった身体の感覚、眼の感覚があることを。身体に痛みを覚えつつ、俺はこの暗い牢獄を出るべく、恐る恐る、目を開ける。
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目を開け最初に見えた光景に、俺は目を見開いた。
俺が目を開いた場所はあの見慣れた街ではなく、
快晴の平原のど真ん中であったからだ。そして、先程までの痛みは嘘のように身体が軽く、傷など何一つとして残っていなかったからだ。
「..どこだ、ここ」
疑問が言葉で、頭の中で繰り返される。
ついたはずの傷が跡形もなくなるだなんて、普通ありえないはずだと。なぜ事故で死んだはずの人間がこんなところにいるのかと。
焦燥しているのか、なにも思い浮かばない。
夢か?あるいは妄想か?
それにしては現実味がありすぎる。身体の感覚もある。..からといってここが現実とも言い難い。
..などと考えてもわからないことを考えていると、いつの間にか身体の痛みはすっかりと引いていた。
..とりあえず、ここに寝ててもなにも分からない。
辺りを見渡し、俺は立ち上がった。
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