当時小学生だった俺はどうしても幼馴染のパンツが見たかった。

伏見ダイヤモンド

あの時の幼馴染に心からありがとうと伝えたい

 幼い頃、俺はどうしても幼馴染のパンツが見たかった。

 今となれば、なぜあそこまでパンツというものに執着していたのか分からない。

 ただ当時は、パンツというのが自身の中で最大のエロであったことは確かだ。


 小学生の時、俺は真剣に考えていた。

 幼馴染のパンツを見るにはどうすればいいのか、と。

 どうすれば拝むことができるのか、と。

 パンツなどそう簡単に拝めるものではないし、「見せて」とお願いすれば見せてもらえるものでもない。

 だとすればあとは強行手段しか残されていないように思うが、スカートめくりをする度胸など当時 純粋無垢だった俺にはなかった。


 そこで俺は考えた。

 どうすれば対象に触れず、パンツを見ることができるのか、と。

 それまで生きてきた中で、恐らく最も頭を使ったのはこの瞬間だろう。

 三日三晩みっかみばん考え続けた結果、俺はついにその答えに辿たどり着いた。

 それは、授業中に消しゴムを地面に落とし、それを拾うフリをしてスカートの中をのぞく、というものだった。

 俺の席は幼馴染よりも前の方だったため、さり気なくスカートを覗くには絶好のスポットだった。

 我ながら最低だと思う。バレれば恐らく……いや十中八九じゅっちゅうはっく嫌われるだろう。

 しかし当時小学生だったエロガキの俺は自身の欲望にあらがえず、その作戦を思いついた翌日に早速実践することにした。

 計画に穴はないはずだし、このならパンツを見ることなど造作もないことだろうと考えていた俺だったが、思っていた以上に現実は厳しかった。

 その幼馴染が上品だったというのもあって、股を閉じている彼女のパンツを見ることは叶わなかったのだ。

 それからも何度か挑戦してみた俺だったが、計画は全て失敗に終わった。

 それから何日経過しただろうか。

 突然、同じクラスの友人にこう言われたのだ。


 「お前、女子のパンツ覗いてね?」


 当然だが、俺は即座に否定した。

 見ようとつとめているだけでまだ覗くことはできていなかったので、嘘はついていないはずだ。俺の計画は全て未遂に終わっている。

 しかしどれだけ弁解しても一向に疑いは晴れず、そのゲス野郎……もとい友人はあろうことか当事者である幼馴染にまでチクり始めたのだ。

 それを隣で聞いていた俺は、心の中で「終わった」と思い絶望していた。

 しかし、その幼馴染は俺を一瞥いちべつしてこう言ったのだ。


 「伏見くんはそんなことする人じゃないよ」


 女神様かと思った。

 幼馴染がパンツを覗かれていることに気が付いていないわけがなかった。

 パンツを見ようと後ろを振り向くと本人と目が合うことなんて日常茶飯事だったし、その行為に走ろうとするとあからさまに股を閉じることだってあったのだから。

 幼馴染が俺をかばうのと同時、とんでもない罪悪感が襲ってきた。

 そこでようやく気付かされた。

 俺はなんて最低な人間なのだと。

 なんて卑劣ひれつな人間なのだと。

 そんな出来事があってから、俺は幼馴染のパンツを見ようとするのをやめた。

 パンツに興味がなくなったわけではない。

 が、これ以上幼馴染を失望させるのを避けたかった。


 ……しかし、それからさらに数日が経過した頃、事件は起こった。

 その日はちょうど週が明けた月曜日。

 担当する掃除場所の変更もあり、俺と幼馴染の二人は体育館のトイレ掃除をすることになっていた。

 それが起こったのは、男子トイレと女子トイレ……両方の掃除が終わった直後だった。

 掃除が終わったのでそのまま帰宅しようとすると、幼馴染から「ちょっと待ってて」と声をかけられた。

 振り返ると、幼馴染が靴下を履いているところだった。

 どうやら幼馴染はトイレ掃除で靴下が濡れるのを避けるためにあらかじめ脱いでいたらしい。

 しかしトイレ掃除で湿った脚に丈の長いソックスを通らせるのは難しかったのだろう、彼女は体制を変えて靴下を履き始めた。

 

 ___すると、何が起こったと思う?

 

 幼馴染はスカートであるにも関わらず、M字開脚をして履き始めたのだ。

 下半身が無防備なスカートの状態でそんな体制を取れば、当然俺にパンツを見せつける形になってしまう。

 それが目に入った瞬間、俺は慌てて目を逸らし、肥大化していく股間を押さえた。

 パンツを見られることが恥ずかしいことだというのは知っていたが、見た方まで恥ずかしくなることを当時の俺は知らなかった。

 幼馴染のことを異性として意識したのは恐らくこの瞬間だろう。

 

 ……あれから既に6年が経過するが、今でも思うことは変わらない。

 

 本当にありがとう。

 君の勇姿とパンツの色は決して忘れない。

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当時小学生だった俺はどうしても幼馴染のパンツが見たかった。 伏見ダイヤモンド @hushimidaiyamondo

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