第四話(1,582文字)
道中、道路の
信号待ち、ふと歩道へ目をやるとカラスがいるのが、ナオはやけに気になってしまった。
これではまともに仕事ができない、着くまでに事故を起こしてしまう、と思ったナオは、またリボルバーの弾倉を横目で確認すると、気を引き締め、カラスの方を見ないように心がけた。
が、誰かに、カラスの方を見なければ殺す、と
もちろん、何が起こるというわけもなく、ただアスファルトの上をカラスはチョンチョンと跳ねながら、道行く人々のことを眺めているだけだった。
そんな
歩道を歩くナオの横を車が走り去り、冷たい風がナオへ吹きつける。
道に立ち並ぶ、薄汚れた白色の雑居ビルたちは、ナオをジッと見下ろしている。
上に
頭の中では、また誰かがリボルバーの弾倉のことを言っていて、殺すぞとナオを脅している。
ナオは気がおかしくなりそうだったが、
そして、ナオはあるマンションの前にやってきた。
そんなに大きくはない、薄汚れて
ナオは隈のある目でそれを眺めると、コートの上から自分の腰を手で触り、差しているリボルバーの感触を確かめると、気が狂いそうなままのその頭のままで、そのマンションの入り口へ進んだ。
その暗い室内、
最初に胸を撃ったつもりだったが、ナオは
ナオは
ようやく、
が、もう一人の男はナオにもう気づいていて、ナオへ殴りかかった。
ナオは
ナオがその手へ力を加えるごとに、男の首から血が
すべての感触が、
ナオは
ナオは気がつけば
片方の死体には、五発ほどの弾痕があり、その一つ一つが、血を未だにこの木の床へ流している。
もう片方の死体、その首には深い深い刺し傷があり、胸も同様で、そこから信じられないほどの量の血を吐き出していて、とても見ていられない。
ナオはその惨状に思わず、握ってるナイフを床へと落としてしまった。
床を見たナオは、その視界に映った、自身の真っ赤な手を見て、恐怖した。
それから目を
暗いが、壁にかけられたカレンダーやポスターが見えた。
あの人、自分が殺した人たちの貼ったものだろう。
どんな思いをして貼ったんだろうか、ワクワクしたんだろうか。
どんな思いをして買ってきたんだろう。
買った時は、どんな店員さんがお会計をしたんだろう。
なんで自分は、この人たちを殺したんだっけ。
なんで自分は、こんな仕事をしてるんだっけ。
ナオの視界は知らぬ間に、涙ぐんでいてぼやけていた。
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