ユニークスキル「全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ」でダンジョンを踏破する話

DRy0

ユニークスキル「全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ」でダンジョンを踏破した話

 私には三分以内にやらなければならないことがあった。

 このダンジョンを攻略しなければいけないのだ。


 私のユニークスキルである「全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ」は、たった三分間しか、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れを召喚することができないからだ。

 

 全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れは、その名前の通り、全てを破壊することができる。つまり、このダンジョンの全てを破壊することができる。

 この力によって、他の盗掘者とダンジョンギミックの合いびき肉をつくることで、多くのダンジョンを攻略してきた。たったの三分しかないのに、進軍速度を落としてくる盗掘者たちにはいつも辟易としている。

 さて、「全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ」は無敵なのかというと、実はそうではない。


 この世界では、「できない」は、「できる」に勝つのだから。


 例えば、「全てを見通す眼鏡」は、「全てを隠す謎の光」を見通すことができなかったと聞く。思い返してみれば、このスキルを持ち、ダンジョンの階層を見通す一流の斥候である彼は、この話をする時には世界を憎んでいるかのような表情をしていた。まぁ、先週、ダンジョンの壁に張り付いた挽肉になったが。


 何故、今、その話を思い返しているかというと、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの動きがどうやら止まっているからだ。全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが全てを破壊しながら突き進むことができずに止まっている。


 なにかがおかしい。そう気付いたからこそ、今、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが止まっている地点へ向かって走っている。

 はた迷惑なことに、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れを止めることができる何かを召喚した盗掘者がいるに違いない。殺す。


 そして、私はみつけた。細い通路に陣取った

 何一つとして傷つけられないただ佇むマンボウ一匹、を。

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