ポップアップニート

めろん

目覚め

パンッ!騒音が部屋に鳴り響く、約15時間以上の長時間睡眠により、目やにで目が中々開かないため、目をゴシゴシ手で擦り、無理矢理目を開ける。


そして目の前の惨状に絶句する。

といっても何回かこの光景を目にしている。尿がそこらじゅうに散らばっていたのである。


ペットボトルに貯めていた尿によりペットボトルが膨張により爆発したのだ。

そう俺は重度の引きこもりだ。


部屋すら出るのが億劫なため。

トイレに行くのも難しく、ペットボルトで用を足すのだ。

とりあえずティッシュで尿を拭き取りゴミ袋の中に突っ込む。


ふとジーンと目が熱くなり、涙が溢れそうになる。

俺には嫌な癖があり自分を第三者視点から、客観視する癖がある。


このおぞましい現実に耐えられなくりなり、涙がポロポロ溢れる。

「ピローン」体がびくつき跳ね上がる。

数年ぶりにスマホの着信音が部屋に鳴り響く。


スマホを見ると。。友人からのメールだった。俺には友人が数人いたが引きこもり始めてから連絡を閉ざしていた。


突然の友人からのメールに困惑する。

「どうして、今更連絡を?マルチの勧誘?宗教の勧誘か?」。

とりあえずメールを見る事にした。


「和明元気してるか?久しぶりに飯でも行こうぜ!奢るからさ!19時よく行ってた駅前のラーメン屋集合な!」。


頭がより混乱する。

なんで今更になって飯の誘いを?。

でも混乱と同時に決意を胸に心を固めていた。この機会を逃したら。たぶん俺は一生引きこもりだ。


やってやる。そう自分に誓った。まずは身支度からだ。

風呂に入って、髭剃って、爪を切る。まずは部屋を出なければ。


約束の時間は19時。

今は17:30だから残り1時間半で全て済ませなければならない。


部屋をでるが上手く歩けない足がおぼつく、足をぶん殴る殴りまくる震えが止まった。力技だが、とりあえず良し。


こんな事でチマチマしてたら時間に間に合わない。

風呂場に入りシャワーを浴びる。

体から大量に垢がでる。

風呂なんていつぶりだろ。


そして風呂から出て髭を剃る。爪も切る。

爪を切ってる最中に母がパートから帰ってきた。


「か、和明。。部屋から、部屋からでたのね」。母が玄関で泣き崩れる。俺もなぜだか貰い泣きしそうになるが、グッと堪え。「か、か、か、かあさん。め、めいわく、かけてきて、ゴメン。でもオ、オレ、やんなくちゃ、ちゃ、いけないこと、と、あるんだ。は、話は後で」。


数年ぶりに喋った為上手く話せない。自分がもの凄く情けない。母に上手く弁明することもできない。だが時間がないので急がなくてはならないので、先を急ぐ事にした。


久しぶりに外出用の服に着替えるが服がブカブカである。長年の引きこもり生活で体が痩せ細っていたのだ。


「和明外にでるの!?部屋から出ただけでも凄いじゃない。まだゆっくりした方がいいんじゃない?」。


着替えた俺の姿を見て母が驚く。

正直少し憤ってしまった。

俺の為を思っての事だと思うが、母は少々過保護な所があり、他責的な考えになるが、俺が引きこもりになった要因の一つだと考えている。


俺は着替えを済ませ、無言で家を出た。


そして目的地の駅前のラーメン屋に向かう。ラーメン屋に着く前に喋る練習を歩行の練習と同時に行う。駅に近づくにつれて、人が増えてくる。辛い。人目が怖い。


僕を侮蔑してるんじゃないかと被害妄想に囚われる。

俺は自分を鼓舞した。そして頬を思いっきり叩く。メラメラと心の中に何かが沸騰してくる。


歩行の練習と同時に喋る練習をする。

歩くのに慣れてきたらジョギングへと。

簡単な単語から文章を喋る練習へとステップアップする。


良し。何とか必要最低限喋ることはできそうだ。そしてラーメン屋に着く。

そこには俺の友人翔太がいた。


「和明久しぶりだな!なんか痩せたか?」。

久しぶりの友人との再開に不安と期待に胸が踊る。「ひ、久しぶりだね翔太」。


ラーメン屋に入る。メニューを眺める。そして注文する。ラーメンが届くまで、しばらく気まずい沈黙が続き、ラーメンが届くと、翔太が切り出した。


「和明最近何やってんだ?」。

 嫌な質問だ。誤魔化す事にした。

「えーっと。フリーターかな。ハハ」。

「か、和明は何してるの?」。


和明が一瞬ドキッと困った顔をして答える。

「最近はインターンで忙しいね。周りは大体みんなインターンで荒波に揉まれてるよ」。と言い苦笑する。


大学生らしい模範解答だと思った。自分が憎らしくなった。だがしかし疑問が浮かぶ、なんで困った顔をしたんだ?


ラーメンがやけに美味しい数年ぶりの外食が体に沁みる。ラーメンをお互い食べ終わり。会計を済ませて外に出る。


2人で線路沿いにひたすら歩く。また沈黙が続く、

「なあ、和明に実は頼みがあってきたんだ」。

頼み?今の僕なんかに頼みなんて叶えられるはずがない。

「た、頼みって何?」。


「俺を殺してくれ。無理なら俺を救ってくれ!頼む」。


「え?」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ポップアップニート めろん @meronsoda003

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画