黒春
嘗て、一人の女性が居た。其の女性は私のような人間に好意を寄せてくれた。私は其の好意に応えようとした。「好意。」、「好き。」、「嫌い。」、「愛情。」と云うものを知らない無知蒙昧な者であった私は(現在も、恐らく…いえ、一切其の面は変わっておりません。今も尚、無知蒙昧にございます。)知らない者なりに努力をし、知らぬものを知ろうとした。併し、無情にも、努力とは裏腹に彼女との距離は離れてゆき、今となっては顔を見て、声を掛けることすら出来なくなってしまった。
彼女はいつしか離れていった。
私は努力を嫌いになった。何よりも、己が嫌いになった。
彼女に渡しそびれてしまった贈り物は、私に淋しさを覚えさせた。
青が黒へと染まり、黒春が私の記憶に刻まれた。
【蕣より思う】 文屋治 @258654
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