赤子
昔、と或る御人が私に尋ねられました。
「赤子が何故泣くか、知っているかい?」
私は少々頭を捻らせた後、応えました。
「そうだねぇ、哀しいから泣くんじゃないかな。」
私の応えに、其の人は首を横に振りました。
「いいや、違う。」
「それじゃあ、どうして赤子は泣くのだい?」
其の人は云いました。
「簡単な話さ、地獄の様な此の現し世に産まれたことに絶望しているのだよ。」
此の応えを聞いた際、私はかなしくてたまらなくなりました。「絶望。」此の言葉を聞いて、私は心の底から納得してしまったのです。
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