【KAC20241/20241+】真・デジタルストームトルーパー 蒼龍
下東 良雄
First Digital Crisis
日本政府が管理する超高性能汎用AI『
AIが国や地域によって管理され、様々な分野で活用されるようになり、市民にとっても生活の身近なパートナーとなった近未来。突如事件が起こる。
最初に事件が起こったのはアメリカだった。汎用AI『
その後、人間思考原理主義の反AI団体『
『
当初はカルトの一種として見られていたが、今回の事件と闘争宣言により、テロ組織と各国政府が認定。デジタルテロリストの代名詞となる。
そして、主要国においては最後に残った日本の超高性能汎用AI『
世界中のサイバーセキュリティに携わる企業は『
既存のセキュリティでは、サーバーの電源を落とす以外に対応する方法がない状況なのだ。
窮地に陥った日本政府は、あるひとりの男に『
国籍不明で
日本政府の要請を受け、
そして今、『
十代の少年に見える
黒髪のセンターパートで、ごく普通の高校生のように見える。
その横には、メイド姿で長い黒髪の美しい女性の姿があった。
「マリア、サポートを頼む」
「イエス、マスター」
『
「……センター長さん」
「は、はい!」
「もう『
「えっ!?」
「今は休眠状態で、実行状態になれば……」
真っ青になるセンター長。
五十代くらいだろうか。少ない髪の毛がはらりと落ちる。
「マスター、
「だろうな」
一瞬悩む様子を見せた
そして――
「マリア、プランCだ」
「イエス、マスター」
「絶対無理はするな。侵食率90%で
「イエス、マスター。私はマスターを信頼しています」
「責任重大だな……センター長さん」
「はい!」
「これ以降、誰も管理コンソールに触れさせるな」
「わかりました。全員、管理コンソールには触れるな!」
センター長の大声に、その場にいる関係者たちが頷く。
「三分で決着をつける。やるぞ、マリア!」
「『
Enterキーを叩いた
「いくぜ!」
「マリア!」
「イエス、攻性ファイアウォール『
特定の
『
しかし、『
『
「マスター、『
「一分間の
「イエス、マスター。
マリアの
「おぉ!」
関係者たちから歓声が上がる。
「マリア、五秒後にプランC始動」
「イエス、マスター。『
ざわつく関係者たち。
「
「黙れ! もう感染してんだよ! マリア、やれ!」
「イエス、マスター。13番ポートを開放」
ファイアウォールに空いたたったひとつの
ファイアウォールを突破した『
関係者はただそれを見守ることしかできなかった。
しかし、
大型ディスプレイに映し出された『
「マリア、59178番
「イエス、マスター……画像ファイルより新たなウイルスの射出を確認」
「画像ファイルから!?」
「ウイルスを
「画像ファイルを解析できるか?」
「画像ファイルを
「オレがやる。もう少しだけ耐えてくれ」
「イエス、マスター。
にやっと笑う
「十分だ」
凄まじい速さでキーボードを叩いていく。
「なるほど、はるか昔に流行った
「あと5秒、『
「
「3、2、1」
「ワクチン実行!」
ターンッ
シーンとする管理センター。
大型ディスプレイには、侵食の止まった『
「やったー!」
関係者たちが歓声を上げた。
しかし――
「あははははは! すでに250万ものデータを破壊している! ほんの一部であってもAIとしての機能は不全に陥るだろう! 我々の勝ちだ! 何が
大声を上げたのは、副センター長だった。
彼は『
勝ち誇る副センター長を見て、悔しそうな表情を浮かべるセンター長や関係者たち。まさか仲間が犯人だとは思っていなかったのだろう。
しかし、
「破壊されてないよ」
そんな
「あの
「『
管理コンソールを操作するセンター長が叫んだ。
「えっ?」
理解できない副センター長を
「『
副センター長はバッとマリアを見る。
「メモリ内のウイルス駆除完了。
手の甲の部分が持ち上がり、排熱口が露出した。
プシュー
体内の熱を強制的に排出するマリア。
「ア、アンドロイド……こんな精巧なアンドロイドが存在するなんて……」
驚き、膝から崩れ落ちる副センター長。
関係者たちが副センター長を拘束した。
椅子から立ち上がる
「マリア、大丈夫かい?」
「イエス、マスター。いつも優しいお言葉をかけていただき感謝します」
「よし、帰ろうか」
管理センターを出ていくふたり。
「全職員の徹底的な身元調査をした方がいいですよ」
『
仲間を疑わなければいけない事態に、センター長は悔しそうな表情を浮かべながらゆっくりと頷いた。
管理センターから出てきた
ふたりは車に乗り込み、そのままいずこかへと消えていった。
これが
【KAC20241/20241+】真・デジタルストームトルーパー 蒼龍 下東 良雄 @Helianthus
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