第23話 私と競輪㉓
その内容というのが、私が出場するレースの予想をしてくれるというものでしたが、
正直なところ半信半疑だったので半信半疑のままレースを迎えてしまったのですが、
その結果がどうなったかというと惨敗に終わりました。
それもただの負けではなく、最下位という屈辱的な結果に終わってしまったのです。
そのことが悔しくて堪らなかったので思わず泣いてしまったのですが、
そんな私を優しく慰めてくれた人がいたんです。
それは、私の憧れであり目標でもある佐藤花子さんでした。
彼女は私に声を掛けてくれただけでなく、優しく抱きしめてくれたんです。
そのおかげで落ち着きを取り戻すことができた私は、改めてお礼を言いましたが、
その時にふとある疑問が浮かんだので尋ねてみることにしました。
「どうして私のことをそこまで気にかけてくれるんですか?」
そうすると、彼女は微笑みながら答えてくれました。
その答えは至ってシンプルなものでした。
ただ単に放っておけなかっただけということらしいのです。
でもそれだけでここまでしてくれるなんて本当にありがたいことだと思いますし、
感謝の気持ちでいっぱいでした。
そんなやり取りをしている最中、ふと視線を感じたような気がしたのでそちらに目を向けると、
そこには一人の女性が立っていることに気付きました。
「誰だろう?」
と思っていると、その女性はこちらに向かって歩いてくるではありませんか。
「あの、どちら様でしょうか?」
恐る恐る尋ねてみると、彼女は微笑みながらこう答えてくれました。
「初めまして、私はガールズケイリンの選手でもある伊藤有香です」
「えっ、そうなんですか? でもどうしてここに?」
と尋ねると、彼女は少し困ったような表情をしながら答えてくれました。
どうやら彼女も私と同じように練習をしている最中だったようですが、
休憩時間になったので様子を見に来たらしいのです。
そして偶然にも私を見つけたというわけです。
それからしばらく雑談をしていたのですが、
ふと気になったことがあったので尋ねてみることにしました。
それは、彼女の体型についてです。
というのも、伊藤さんは非常にスリムな体型をしていますし、
無駄な贅肉が全く無いように見えますから不思議に思ったんです。
そこで思い切って聞いてみることにしたんですが……すると意外な答えが返ってきました。
「実は私、太りやすい体質なんですよ」
それを聞いて納得しました。
確かに彼女は全体的にふっくらしているというか、柔らかそうな印象を受けますし、
特に太もも辺りはムチムチしていますから。
「でも、それがまた魅力的なんですよね」
と、つい口に出して言ってしまったのですが、
それを聞いた瞬間、彼女は顔を真っ赤にして俯いてしまいました。
その様子を見て慌てて謝罪すると、なんとか許してもらえたようでホッとしましたが、
同時に恥ずかしさが込み上げてきて顔から火が出そうな勢いでした。
そんな私を他所に、彼女は話を続けました。
その内容というのが意外なものでした。
というのも、実は彼女も私と同じような悩みを抱えているということでして……つまり太りやすい体質だということを打ち明けてきたんです。
それを聞いて驚きましたが同時に親近感が湧きましたし、何より嬉しかったので思わず抱きついてしまいました。
そしてしばらくの間抱き合っていたんですが、やがてどちらからともなく離れると再び会話を始めました。
「ところで、あなたは本当にこのままでいいと思っているの?」
と、突然そんなことを言われたので戸惑いつつも考えてみることにしましたが、
正直なところあまり良いとは思っていませんでした。
というのも、最近体重が増えてきたせいで走ることが苦痛になってきたからです。
「でも、今更どうしようもないじゃないですか」
と反論すると、彼女は少し考える素振りを見せた後、こう言いました。
「確かにそうかもしれないわね、でも諦めたくないという気持ちが
あるなら諦める必要は無いと思うわよ?
だって、あなたはまだ若いんだからこれからいくらでも変われるチャンスはあるんだもの」
その言葉に励まされた私は決意を新たにしました。
そして早速練習に励むことにしたのですが、そこで思わぬ出会いがあったのです。
なんとそこには佐藤花子さんの姿があったんです。
しかもそれだけではありません、彼女の隣には同じガールズケイリンの
選手である伊藤有香さんの姿もあったんです。
二人は私を見るなり駆け寄ってきて声を掛けてくれました。
「こんにちは、相川さんですよね? 」
「私は佐藤花子、よろしくね!」
と自己紹介してくれたので、私も慌てて挨拶をしました。
それからしばらく雑談をしていたのですが、
ふと気になったことがあったので尋ねてみることにしました。
それは彼女の体型についてです。
というのも、彼女はとてもスレンダーな体型をしている上に無駄な贅肉が全く無いように見えるからです。
一体どんなトレーニングをすればそのような身体になれるのか不思議で仕方ありませんでしたが、
思い切って聞いてみることにしました。
「あの、良かったら教えて頂けませんか?」
と言うと、彼女は少し困った顔をしながら
「うーん、そうねぇ……」
としばらく考えた後、こう答えてくれました。
その内容というのが、とてもシンプルなものでした。
「とにかく筋力をつけることかな、あとはバランス良く食べることと
適度な運動をすることくらいかしらね」
と答えてくれたので、なるほどと思ったと同時に感心させられました。
その後も色々と話を聞かせてもらい、勉強になりました。
中でも一番印象に残ったのは、食事に関することでした。
具体的には栄養のバランスや食材の種類、調理方法などを教えて頂きました。
例えばビタミンCを多く含む野菜や果物を積極的に摂ること、
油脂分の少ない魚介類や鶏肉などのタンパク質、良質な脂質を含むナッツ類も
積極的に摂取することが大事だそうです。
その他にも、水分補給についてもしっかり行う必要があるとのことでした。
他にも細かい部分まで丁寧に指導してくださいましたので、とても参考になりました。
そんな話を聞いているうちにあっという間に時間が過ぎてしまい、
お別れの時間が来てしまったため、最後に連絡先を交換してもらいました。
後日、この経験を活かして自分でも色々調べてみたところ、
やはり食生活を改善することは大切なことだと実感したので、
少しずつ改善していくつもりです。
そして今後はより一層努力を重ね、立派な選手になるために頑張っていこうと思います。
(よし、頑張るぞー!)
心の中で気合いを入れつつ、今日も競輪場へ向かうために準備を始めるのであった。
しかし、ここで一つ問題があることに気が付いたのだ。
それは、自分の体型のことである。
以前に比べると明らかにお腹周りがだらしなくなっており、
ぷよぷよとした感触が伝わってくるほどになっていることに気付いたからである。
このままではマズイと思った私は、意を決してダイエットに取り組むことにした。
とはいえ、何をすればいいのか全く分からない状態だったため、
とりあえず情報収集をしてみることにしたのだが、
これが想像以上に大変であることを思い知らされることになった。
何しろ、世の中には様々な情報が溢れかえっているからだ。
中には眉唾物の話も混じっていたようだが、
それでもある程度の信憑性はあったため、それらを鵜呑みにすることにしたのである。
まず最初に行ったことは食事制限である。
炭水化物を極力避け、代わりに野菜を中心としたメニューに切り替えることにした。
最初は辛かったが、徐々に慣れてくると苦にならなくなったため、
むしろ楽しく感じられるようになっていった。
次に始めたことは運動だ。今までほとんど運動をしてこなかった私にとっては過酷な試練であったが、
これも何とか乗り切ることが出来た。
その後はストレッチや筋トレなどを地道に続けていくうちに、
少しずつではあるが身体が引き締まってきたような気がしてきた。
それに伴い、心なしか体調も良くなったような気がするようになったので、
嬉しくなった私はますますやる気を出すようになり、
日々の生活にも張り合いが出てきたように思えたのだった。
そんなある日のこと、私はついに目標としていたレースに出場できることが決まり、
喜びに打ち震えていた。
何せ、ここまで来るのにどれだけ苦労したことか……だが、
それも今日で報われる時が来たと思うと感慨深いものがあるというものだ。
いよいよレースが始まる時間がやってきた。
出走する選手の皆さんが一斉にスタートラインに並ぶ中、
私も緊張した面持ちでその時を待っていた。
そして合図と共に一斉に飛び出し、一斉に駆け出す光景を目にした時には胸が高鳴るのを感じた。
その中でも特に印象的だったのは、佐藤花子さんの走りである。
他の選手に比べて小柄な体格にもかかわらず、力強い踏み込みでグングン加速していき、
一気に先頭に立つことに成功するとそのまま独走状態でゴールを駆け抜けた姿には思わず見惚れてしまったほどだ。
そのあまりの凄さに圧倒されてしまった私は、しばらくの間呆然と立ち尽くしていたほどだった。
そんな私に声をかけてくれたのは伊藤さんだった。
彼女はニコニコしながら私の頭を撫でてくれた後、
優しく抱きしめてくれたので思わず涙が出てしまったのを覚えている。
そんな私を慰めてくれた伊藤さんは、一緒に控室に戻ると今後のことについてアドバイスしてくれた上で、こう言ってくれたのだ。
「大丈夫、きっと上手くいくわ。だから自信を持って臨んでみて?」
と言われ、勇気付けられた私は覚悟を決めるとレースに挑むことにした。
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