第19話 私と競輪⑲

「小岩井ちゃん、ありがとう!」

そう言って彼女に抱きつくと、彼女は優しく頭を撫でてくれました。

その手つきがとても心地よくて思わず眠ってしまいそうになってしまいました。

(あぁ、幸せだなぁ)

そう思いながらしばらくそうして抱き合っていたんですが、

急に何かを思い出したかのように私から離れていきました。

どうしたのかな? と思っていると、急に手を引かれて連れていかれてしまいました。

どこに行くんだろうと思いながら歩いていると、急に立ち止まりました。

そこは休憩スペースでしたが、周りに人がいないため二人きりです。

そこで何をするつもりなんだろうと思っていると、いきなりキスされました。

最初は軽く触れる程度のものでしたが、

次第に激しくなっていき最終的には舌まで入れられてしまいました。

しかも、それがすごく気持ちよくて抵抗することができずにされるがままになってしまいました。

しばらくして解放された時にはもうフラフラになっていて立っていること

すらままならなかったのでその場に倒れこんでしまいました。

その後の記憶は曖昧でよく覚えていませんが、気がついたらベッドの上でした。

どうやら気を失っていたみたいです。

起き上がる気力もなく横になっていると、ふと人の気配を感じてそちらを見るとそこには彼女がいました。

彼女は心配そうに私を見つめていました。

そんな彼女に、私は微笑みかけながら言いました。

「大丈夫だよ」

それを聞いた彼女はホッとしたような表情を浮かべ、私の隣に腰掛けました。

そして、優しく抱きしめてくれました。

その温かさを感じながら、私は目を閉じました。

それからしばらくして、私たちは付き合い始めました。

最初は不安ばかりでしたが、今ではとても充実した毎日を送っています。

そんなある日、小岩井ちゃんから大事な話があると言われました。

なんだろうと思ってドキドキしながら待っていると、突然キスをされてしまいました。

突然のことに驚きましたが、すぐに受け入れて舌を絡め合いました。

そうしてしばらくの間キスを続けていたのですが、やがて息が苦しくなってきました。

そこで一旦離れることにしたのですけれど、それでもまだ物足りなくてもう一度キスをしました。

そうすると今度は首筋を舐められて思わず声が出てしまったのですけれど、

それが恥ずかしかったのか小岩井ちゃんは顔を真っ赤にして俯いてしまいました。

その姿が可愛くてもっといじめたくなってしまった私は、彼女の耳元へ息を吹きかけながら囁いてあげました。

そうすると彼女はビクビクっと身体を震わせていましたので、

それがとても可愛らしくて思わず笑みがこぼれてしまいました。

それからしばらくの間キスを続けていたのですが、やがて息が苦しくなってきました。

そこで一旦離れることにしたのですけれど、それでもまだ物足りなくてもう一度キスをしました。

今度は向こうから積極的に舌を絡ませてきてくれました。

「はぁ、はぁ、はぁ」

激しいキスによって酸欠気味になってしまった私たちは、一旦息継ぎをすることにしました。

そして、息を整えた後は再びキスを再開させました。

今度はお互いを抱きしめ合いながら舌を絡ませていましたが、それがとても心地よくて夢中になってしまいました。

やがて息が苦しくなってきて離れようとしたんですが、小岩井ちゃんは許してくれませんでした。

今度は耳を舐められてしまって身体がビクっと反応してしまいました。

それでも必死に抵抗しようとしたのですが、力が強くて敵いませんでした。

結局されるがままになってしまいましたが、それでも嫌な気分ではなかったのです。

むしろ嬉しかったくらいです。

それからしばらく経ってようやく解放されましたが、その時にはもうヘロヘロになっていました。

そんな私を抱きしめて支えてくれる彼女の温もりを感じつつ、荒くなった呼吸を整えることに集中していました。

「大丈夫?」

そう聞いてくる彼女に頷き返しながら、私は言いました。

「うん、大丈夫だよ」

そう答えると彼女は微笑んでくれましたが、その笑顔はどこか妖しい雰囲気を帯びていて少しドキドキしてしまいました。

「ねぇ、私と付き合ってくれない?」

いきなりそう言い出した彼女に一瞬戸惑いましたが、すぐに返事をしました。

彼女は嬉しそうに微笑んでくれたのでした。

それがとても嬉しくて思わず笑顔になってしまいました。

(あぁ、幸せだなぁ)

と思いながらしばらく抱き合っていたんですが、ふいに彼女の方から身体を離されてしまいました。

残念に思っていると、突然唇を奪われてしまったんです。

咄嵯の出来事で抵抗できないままに、されるがままになってしまいました。

「んっ、ぷはあっ!」

ようやく解放された時にはもうフラフラで立っていることすらままならない状態になってしまっていました。

それでも何とか倒れることだけは避けたくて必死に踏ん張っていたのですが、

不意に足払いをかけられてしまい、そのまま倒れ込む羽目になってしまいました。

そこにすかさず覆い被さってきた彼女に組み伏せられた挙げ句に再び唇を奪われてしまったのです。

しかも今度は最初から激しめのものでしたからたまりません。

口内に侵入してきた彼女の舌に翻弄されっぱなしでしたし呼吸すらまともにできませんでしたが、

それでも不思議と嫌な気がしなかったのが不思議でした。

そんな私をまるで獲物を狩るかのように上から見下ろしつつ楽しげに笑う彼女を

うっとりと見上げているとまた口づけをしてくれましたので、ついつい私もそれに応える形で自分から求めてしまいました。何度か繰り返している内にだんだんとエスカレートしていき、

舌を入れられた時につい歯を立ててしまうほどに興奮してしまっていた私は

即座に押し倒され気がつけば下になっている状態の私は必死で声を絞り出そうとしていましたが、

出ていたのは風音混じりの小さなうめき声のみで

その頃には体力気力共に完全に尽き果てていて一刻も早く休みたい気持ちでいっぱいでした。

「あの、そろそろ休まない? さすがに疲れちゃったからさ……」

そう言ってみたものの返事が返ってくることはなく代わりに首筋に噛み付かれてしまいました。

その瞬間激痛が走ったことで絶叫を上げることになりましたが、

その声は喉の奥へと押し戻されていきました。

そればかりか空気すらも通り抜けられなくなっていて窒息しそうになりましたが、

そんなことを気にしている余裕などありません。

ただただ必死になって酸素を求めてもがくことしか出来なかったのです。

そうして暫くの間悶絶していた後でようやく解放されることになったのですが、

それと同時に全身の力が抜け落ちてしまい身動き一つ取れなくなってしまったのでした。

「ごめん、やり過ぎちゃったかな……?」

申し訳なさそうに謝る彼女と視線が合うと同時に軽く口付けられました後、

そっと抱き起こされてから優しく抱きしめられると安心感からか涙が流れてきましたが、

それを拭う力すら残っておらずただ泣きじゃくっているしかありませんでしたのだった。

その後しばらくの間泣いていたこちらですが、その間ずっと背中を

さすってくれていたおかげで落ち着きを取り戻すことができました。

その後もしばらくは余韻に浸っていましたが、時間が経つにつれて徐々に

冷静さを取り戻していくと共に恥ずかしさが込み上げてくるようになっていきました。

顔が真っ赤になっているのが自分でも分かるほど熱く火照っていて、

鏡を見るまでもなく赤くなっているであろうことは想像がつくほどでした。

しかしそんなことを考えているうちにいつの間にか意識が遠退いていき、

気がつくとベッドの上に寝かされていたようでした。

目を覚ますと同時に周囲を見渡してみたところ室内の様子はよく知る部屋のそれでしたが、

なぜ自分がここにいるのか理解できずに困惑していると扉が開き小岩井ちゃんが入ってきました。

その手にはお盆を持っていてその上に湯気が立ち上るカップを載せています。

それを見た途端、喉が渇いていることを思い出し一気に飲み干したいと

強く思った私は飛びつくようにして手を伸ばしていたのですが、

その手が届く前にひょいっと避けられてしまいました。

その結果、空振りに終わった私の手はそのまま空を切り勢い余って

バランスを失い倒れ込みそうになったところを小岩井ちゃんに支えられるという形になりました。

「ごめんね」

苦笑しながらそう言う彼女に対して、こちらも苦笑いを返すことしかできなかったのですが、

その後ゆっくりと床に下ろしてもらうと改めてお礼を言っておきました。

それから私たちはしばし雑談を交わしておりましたが、

途中でふと気になったことがありましたので質問してみることにしました。

それはどうして私がここで眠っていたのかということです。

そうすると彼女はこう答えてくれました。

どうやら眠っている間に色々された挙句に連れ込まれたみたいです。

その事実を知った瞬間血の気が引いていくような感覚を覚えましたが、

同時に嬉しさのようなものを感じてもいた気がしますね、正直よく分からないですけれども……。

そうして困惑する私に対し彼女は優しく微笑みながら言いました。

その言葉を聞き終えた直後、頭の中にあった霧のようなものが晴れていき思考が

クリアになっていくような感じを覚えたのですが、それと同時に猛烈な睡魔に襲われました。

それに抗うことも出来ずにその場で崩れ落ちるようにして眠りについてしまったようです。

次に目を覚ました時、そこはベッドの上でありました。

周りを見渡すと見慣れない景色が広がっていることに気づきました。

ここはどこだろうと思っていると、不意にドアが開いて一人の女性が姿を見せました。

その女性は私の姿を見るなり驚いた様子でしたが、すぐに笑顔になって話しかけてきました。

その言葉を聞いた瞬間に私は全てを思い出しました。

(あぁ、そうか。そういうことだったのか)

彼女の言葉を聞きながら、私は心の中で納得していました。

そして、その直後にはもうすっかり平静さを取り戻した状態で返事をすることが出来ました。

そんな彼女に向けて、私は精一杯の気持ちを込めて感謝の言葉を口にしました。

「ありがとう、小岩井ちゃん」

そうすると彼女は照れ臭そうにしながら笑ってくれました。

それを見て、私も自然と笑みが溢れます。

二人で笑い合っていると、なんだか幸せな気分になれました。

こうして一緒にいられることが何よりも嬉しいのです。

これからもずっと一緒にいられたらいいなと思います。

それから私たちは色々な話をしました。

その中で特に印象に残ったのは、彼女の子供の頃の話です。

彼女がまだ小学生の頃、学校帰りによく自転車で通っていた公園に、

毎日のように来ていた女の子がいたそうです。

その子はいつも一人で遊んでいる姿が気になって、声をかけたのだと言います。

最初は警戒されていましたが、少しずつ打ち解けていく内に仲良くなっていった二人は、

毎日遊ぶようになったのだとか。

「今日は何して遊ぼうか?」

そうやって声をかけてくれるのが嬉しかったそうで、

その女の子が来るのを心待ちにしていたそうです。

でもある日を境に来なくなってしまったため、とても心配していたのだとか。

そんなある日、久しぶりに会った彼女はどこか様子がおかしかったといいます。

何か悩み事でもあるような顔をしていたそうです。

何かあったのかと尋ねると、泣きながら話してくれました。

自分は悪い子だから友達を作る資格がないと言っていました。

それを聞いた時の衝撃はとても大きかったようで今でも鮮明に覚えている程だったのですそうだ。

そんな話を聞いているうちに胸が苦しくなってきてしまい思わず泣きそうになってしまったらしいのだが、

そこで彼女の意外な一面を知ることになったというのです。

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