第18話 私と競輪⑱

「え、ちょっと、どうしたんですか!?」

驚いて声を上げるも、お構いなしといった感じで、どんどん顔を近づけてきます。

そして、遂に唇同士が触れ合いそうになったその時、 急に彼女が動きを止めて離れていきました。

ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、今度は耳元に息を吹きかけられてしまいました。

その瞬間、ゾクッとして力が抜けてしまい、その場に崩れ落ちてしまいました。

そんな私を優しく抱き止めてくれた彼女でしたが、そのままキスされてしましました。

しかも、いきなり舌を入れられてしまっていて、口の中を隅々まで舐め回される感覚に襲われてしまい、

頭が真っ白になってしまいました。

やっと解放された時にはもうフラフラになっていて立っていることもままならない状態でしたが、

それでも何とか意識を保ちつつ呼吸を整えることに専念していると、突然唇を奪われてしまったのです。

突然のことで驚きましたがすぐに受け入れてしまい、それどころか自ら求めるようにして積極的に舌を絡めていったのです。

そうして、しばらくの間お互いの唾液を交換し合った後でようやく解放されました。

「はぁ、はぁ、はぁ、」

お互いに呼吸を整えつつ、乱れた衣服を整える。

その間にもドキドキは収まりません。

それどころかますます激しくなっていきます。

(どうしてこんなことになっちゃったんだろう……)

困惑しつつも何故か悪い気はしない私。

ただこの後に待っているレースには負けられませんでした。

全力で頑張りたいと思います!

遂に運命の時を迎えました。

不安と緊張で胸が張り裂けそうになりながらも、スタートの合図と共に走り始めました。

序盤は順調に進んでいましたが、中盤に差し掛かった辺りで異変が起こり始めました。

脚が思うように動かないのです。

まるで鉛のように重くなっているかのようであり、思うようにスピードが出なくなってしまいました。

このままではまずいと思い必死に前を追うのですが、それでも差を縮めることができず逆に引き離されていってしまいます。

そして、そのままゴールまで辿り着きました。

結果は最下位でした。

この結果に納得がいかず落ち込んでいると、不意に声をかけられました。

「大丈夫?」

「あ、はい、大丈夫です。ありがとうございます」

そう答えると、彼女は優しく微笑んでくれました。

その笑顔にドキッとした私は、思わず顔を背けてしまいました。

その後も何度かレースをこなすうちに段々と慣れてきて、

成績も徐々に上向いていきましたが、それでもまだトップとは程遠い位置にいました。

「もっと頑張らないとなぁ……」

独り言ちながら次のレースの準備をしていると、声をかけられたので振り向くと、

そこにはあの子、新人の少女が立っていました。

そして、突然ハグをしてきて耳元で囁くように言ったんです。

「私も一緒に連れていってほしいの」

そう言った瞬間、激しい衝撃とともに目の前が真っ暗になってしまいました。

目を覚ますとそこはベッドの上。

どうやら気を失っていたようですが、幸いにも外傷はありませんでした。

それよりも、 彼女の方が心配です。

一体何があったのか確認するために、急いで部屋を飛び出しました。

そうすると、そこに居たのは彼女ではなく、大間賀芽里さんでした。

彼女は私の顔を見るなり駆け寄ってきて言いました。

「大丈夫だった?」

どうやら彼女も私を心配して駆けつけてくれたようです。

その優しさに感謝しつつ、私は頷き返しました。

そうすると、彼女は安心したような表情を浮かべていましたが、

次の瞬間には真剣な面持ちになっていました。

一体どうしたんだろうと思っていると、彼女はこう言いました。

「ねぇ、私と付き合ってよ!」

「えっ!?」

突然の告白に驚きすぎて、一瞬思考停止してしまいましたが、

すぐに我に返り、冷静になろうと努めつつ返事をしました。

しかし、彼女からの返事はなく、

じっと私の目を見つめて 見つめてくるだけなので困り果ててしまいました。

ですが、いつまでもこうしている訳にもいかず、

思い切ってこちらから話しかけてみることにしました。

「あの、私なんかでよければ、よろしくお願いします……」

私がそう言うと、彼女は嬉しそうな笑みを浮かべました。

それを微笑ましく見ていると、突然唇を塞がれてしまいました。

突然のことに驚いてしまいましたが、

私もそれに応えるように舌を伸ばして絡ませ合いました。

そうしてしばらくの間キスを続けていたのですが、やがて息が苦しくなってきました。

そこで一旦離れることにしたのですが、今度は首筋を舐められてしまったので、

思わず声が出てしまいました。

その声を聞いた彼女はクスリと笑いながら、再び唇を重ねてきました。

それからしばらくした後、ようやく解放された時にはもうヘロヘロになっていました。

そんな私を抱きしめて支えてくれる彼女の温もりを感じながら、荒くなった呼吸を整えることに集中していました。

「ねぇ、私の恋人になってくれませんか?」

そう言ってくれたのは、同期の小岩井依月ちゃんでした。

小岩井ちゃんは優しくて、周りの事を良く見て行動することが出来て、

柔軟な発想力も持っている凄い人なんだけど、

プライベートになるとちょっと不器用な所もある可愛い子です。

そんな小岩井ちゃんが私に告白してくれたなんて、本当に信じられないけど、凄く嬉しい!

だから、私も勇気を出して返事をしました。

そうすると、それを聞いた小岩井ちゃんはとても喜んでくれました。

そして、そのままキスされてしまいました。

突然の出来事に驚いたけれど、それ以上に嬉しかったんだ。

だって、大好きな人と両思いになれたんだもん!

その後、私たちは付き合うことになったんだけど、

まだ実感が湧かなくて夢見心地だった。

でも、それも仕方ないよね?

だって、ずっと好きだった人と恋人同士になったんだよ?

そんなの幸せすぎるに決まってるもん!

それから数日後、私たちは初めてのデートをすることになりました。

待ち合わせ場所に着くと既に小岩井ちゃんが待っていたんだけど、

その姿を見た瞬間、胸がキュンと締め付けられるような感覚がして、とても愛おしく感じました。

一緒に美味しいものを食べたり、映画を見たりして過ごしたんだけど、

その間もずっと手を繋いでいたのです。

まるで恋人同士みたいで、とっても幸せだった。

でも、夜になったら二人の大事なイベントがあるでしょ?

それが楽しみで仕方がなかったんだです。

「小岩井ちゃん、今日は楽しかったね!」

「うん! また一緒に遊ぼうね」

そう言って笑い合う私たちでした。

それから数日後のこと、私はあるレースに出場することになりました。

そのレースで上位に入ることが出来れば、次のレースに進むことができるのです。

だから、絶対に負けられないんです。

でも……

やっぱり緊張しちゃって上手く走れないのが辛いところなんです。

そんな時に声をかけてくれた人がいました。

それは、同期の小岩井ちゃんだったんです。

彼女は優しく微笑んでくれました。

それだけで、すごく安心できたんです。

そして、彼女が応援してくれたおかげで力をもらうことができました。

それから、レースが始まりました。

序盤は順調に進んでいましたが、中盤に差し掛かった頃、突然足が動かなくなり、

思うようにスピードを出すことができませんでした。

それでも必死に追いつこうと頑張っていたのですが、

中々追いつくことができずに終わってしまいました。

結果は最下位で、とても悔しかったです。

でも、小岩井ちゃんが慰めてくれたので元気になりました。

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