〇〇には三分以内にやらなければならないことがあった ~友達に誘われて書いてみた

藤茂 梶海 猫部顧問🐈

第1話〇〇には三分以内にやらなければならないことがあった

ナマケモノにはやらなければならないことがあった。


それはしてしまえば己がナマケでないと言ってしまうようなものだ。だけどもこのナマケモノはそう周りからも自分でそう思ったとしても行おうとしている。


では一体何をしようとしているのか。それは、2ヶ月ほど前から付き合い始めた彼女とのデート集合場所に向かう事である。


彼女との出会いは本人からすれば思ってもみなかった。初めて会ったときはこのナマケモノは地面に座ってご飯を食べていた時だった。その時だ、上から彼女が落ちてきたのだ。


「ナマ?(ずいぶんとおてんばだね。いったい何があったんだい?)」

「ナマ。ナナマ。ナマナナマナマ。ナマナマ。ナママナマナナマ! (すみません。ちょっと急いでて。まさか地面にいたなんて。おねがいします。黙っていてくれませんか!)」


ナマケモノ界には鉄なんてものではない。岩盤の掟と言っていいほどのものがある。それは。『如何様な生物の前でも知性ある生き物の前で激しく動いてはならぬ』というものだ。これを破ったならば一族を即追放。挙句の果てに誹謗中傷にさいなまれ続けるという地獄が待っている。


「ナ~マ(いやいや。僕はリンゴを食べるのに夢中で君が動いてる姿なんて見ていないよ。何を黙っているんだい?)」

「ナマ。…ナマナマママ。(まさか。…ありがとうございます)」

「ナマ(その感謝が何に対する感謝かは知らないがありがたく受け取っておくよ。さて少し食べて眠くなってきてしまったな)」


そう言うとナマケモノは後ろを向いて目を瞑った。その時彼女は「なんて優しい人なのだろう」と心の中で感謝をしてその場を去った。


次に会ったときはそれから数日が立った日。ナマケモノが午後3時飯を食べているときだった。その時なんとなく眺めた川の視線の先には。彼女がおぼれかけていた。


ナマケモノは近くに仲間がいないことを確認して急いで助けに行く。ナマケモノは泳ぐのが得意だ。それでもこの川で何回か流されかけたことがある。それほど勢いが強い川なのだ。彼女はなぜ泳げないのに川にもぐったのだろうか。


「ナマ?!(大丈夫かい?!)」

「ナママ!?(なんでここに!?)」

「ナマ(いいから)」

「ナマナ(ありがとう)」


それからだ。よくお互い目にしてよく会話するようになった。そして交流が増えて初めて会った日から3週間。ついにその時が来た。


「ナマ(初めて会った時から君の事がずっと頭の中にいて。その、あなたは世界で一番幸せにする。僕と付き合ってくれないか)」

「ナマ!(お願いします!)」


この日。このナマケモノは彼女を世界で一番大切にすると誓った。


こうして俺たちは付き合うことになった。ナマケモノ界での付き合うというのは基本ともに行動するといったものだ。ナマケモノたちは人前だと1時間で3mほどしか動いてはならない。そのためいつも一緒にいるといったふうでなければじゃれあったりする時間がないのだ。


「ナマ(明日最近話題の果樹ランドに行かないかい?)」

「ナマニマ?(いいの?)」


こうしてナマケモノはデートをする約束をした。その日はお互い一番落ち着くところで寝ることにした。明日がより良いデートになるようにと。


「ナマ!(はっ! 今何時だ! なっ、もう日が上につきかけている!? 集合は日光が頂上に達するとき。集合場所はここからさほど遠いというわけじゃない。残り時間はおおよそ3分と言ったところか。くそっ! 近くには仲間が大量にいる。どうすれば!)」


ナマケモノは考えようとした。けどもそんな時間を世界は許さない。彼がそう考えている間にも日は上がり残り時間は3分ちょうど。を過ぎた。


ナマケモノは焦る。焦りながら自分がどうすべきかを考え続ける。そして一つの方法を浮かぶ。それは掟を破ることだった。ナマケモノは葛藤する。


ナマケモノには3分以内にやらなければならないことがあった。それをすれば自分がどうなるかは知っていても計り知れない。それでも! 彼女を大切にすると。そうと思えばもう守るべきものは彼女以外に考えつかなかった。ナマケモノは無意識に樹と樹の間を大きく跳んで移動する。


そして思い浮かぶ。掟の穴を。


「ナマッ!(貴様! 我らの前でそれほど機敏に動くとは! 恥を知れ!)」

「ナマ!(掟を俺は破った。お前たちは掟を破ってでも俺を追いかけるのか? お前らも罪人になるぞ?)」

「ナマ(な、くそ。掟の穴を突くか罪人め。くっ、お前ら掟は絶対だ。絶対に守り通せ)」

「ナマ?(しかしそれだと奴を見逃すことに?)」

「ナマ(それでもだ)」

「ナマ(わかりました)」


長と子分の会話など耳にも入らない。俺は全力で森を駆けた。そうしていつものあの美しい彼女が見えてきた。


「ナマナミマナナマ?!(掟はどうしたの。どうして走っているの?!)」

「ナマ(よく掟について考えたんだ。そしたら全力で動いたところでやつらは掟を破れないから俺たちの視界に入ってたら全力で動けない。つまり捕まえれないんだよ。だから掟を破ったところで奴らは俺らを捕まえれない)」

「ナマァ(確かに)」


そうしてナマケモノたちは果樹ランドを楽しみ尽くした。そしてこのナマケモノの会話を聞いたものたちが話を広めて世界規模でその日からナマケモノが機敏に動くようになったという。




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いかがでしたでしょうか? これは友達に誘われて書いた作品です。最初「メロスは3分以内にやらなければならないことがあった」という文を思い浮かんだのですが友達に一次創作でないと指摘されて次に思い浮かんだこれにしました。

地味にツッコミどころが多いと思います。のでボケたところリストアップしたい。からする。


・「ナマ」の一言でしゃべりすぎだろこいつら!

・岩盤の掟判定曖昧過ぎるしそのまま受け取ると虫の前でもアウト判定じゃねぇか!

・午後3時飯ってなんだよ!

・果樹ランドって人間でいう果樹園! ただの荒らし!

・掟の穴が大きすぎる! よく今までバレなかったな!

・世界規模で機敏に動くようになったらそれはナマケモノじゃないんよ! ハタラキモノなのよ!


といった具合でしょうか。もし同じようなツッコミを思ったらぜひ♡、☆を押してください。

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