12話:情報屋マニと「黄金の光」
*まえがき
「メインヒロイン:コユキ」のデザイン画を近況ノートに載せました。
本編のあらすじにリンクを追加していますが、一応このページにも数日間はリンクを残しておきます(見たくない方は無視して下さい)。
デザイン画はこちら ⇒ https://kakuyomu.jp/users/nextkami/news/16818093075245776188
以下、本編。
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監視役の娘:コユキと“間違えて”俺が腕を掴んだ女性。
スラっとした細い身体に、長い赤毛を後ろで結んだ快活そうな少女が、ハキハキと通りの良い声で喋りかけて来る。
「やぁやぁ、久しぶりだねキリサメ。元気してた?」
――彼女の名は『マニ』。
『魔王』と『七匹の怪物』を討伐する旅で、一時期だが行動を共にしていた“元:盗賊の娘”だ。
森で野宿していた俺の財布を|盗もうとしたところを取り押さえ、町の憲兵に突き出す代わりに怪物退治の手伝いをさせたのは、もう1年以上も前の話になるか。
久しぶりの再会にかつての想い出を懐かしんでもいいところだが……如何せん「今」はその時ではない。
「悪いなマニ、人を間違えた。またな」
「えッ、何それ!! もう行っちゃうの!? 久しぶりに会ったのに~」
「また今度、時間がある時にでも話そう」
「えぇ~? そんなのいつになるか……あっ、じゃあ“今夜”はどう? アタシ、そこの酒場で飲んでるからさ」
「気が向けばな。それと念の為に聞いておくが、もう盗みはやってないよな?」
再開後早々の別れ際。
まだ盗賊をやっていたら説教でもしようか、でもそんな時間は無いなと思いつつも確認すると、マニは不機嫌そうに頬を膨らませる。
それは行動を共にしていた時に何度も見た表情で、今や懐かしさすら覚える。
「アンタに捕まった時が、アタシの人生最後の盗みだよ。今は商会で真面目に働いてる。まぁ上には内緒で“情報屋”もやってるけどね」
「情報屋?」
「そう。仕事先で仕入れた貴重な情報を、欲しそうな人に売りつける仕事。例えば――“
「ッ!?」
驚きが顔に出てしまった。
すぐさま元の表情に戻すも、ニヤニヤとしたマニの顔から察するに「遅かった」と言わざるを得ないだろう。
「……何故、お前が“
「知りたい? 今夜アタシに付き合ってくれるなら、教えてあげないこともないよ」
「……夜、そこの酒場だな?」
「お、そうこなくっちゃ。待ってるよ~」
ヒラヒラと手を振り、必要以上に引き留めることなく見送るマニ。
晴れた日みたくカラッとしたあの性格のおかげか、1年振りの再会でもあまり時の経過を感じなかった。
(当たり前だが、彼女にも色々とあったようだな。“
かくして、思い出に浸る時間もなく。
俺は1分ちょっとのロスタイムを取り返す為、再び人混みの流れに身を投じた。
――――――――
――――
――
―
「あ、勇……じゃなくて、キリサメ様」
マニと別れた場所から3軒隣の店の前。
思いの
「コユキ、ここに居たのか。勝手に行っては駄目じゃないか」
「すみません。こんなに人出がある場所は久しぶりで、流れに逆らうことが出来ず……」
「ふむ。まぁキミの小柄な身体では仕方ない部分もあるが、今後人混みに居る時は俺から離れない様に気を付けることだ。――それで、“この店”が気になるのか?」
コユキが脚を止めていたのは、様々な民芸品・装飾品が置かれた雑多な土産物屋の前。
路面沿いの大きなショーウィンドウには、色鮮やかな小物や動物を模した人形・皿やコップ等が陳列されており、それらの隙間からは店中の棚に所狭しと雑貨が並ぶ光景が確認出来る。
店の雰囲気的には、どちらかと言えば男性よりも女性向け。
確かに年頃の娘が好きそうな店だなと、そう思ってコユキに「気になるのか?」と問いかけた訳だが、彼女はフルフルと横に首を振った。
「い、いえ、
「要するに、気になるんだな? 入ってみるか」
「……よろしいのですか?」
「駄目な理由が何処にある。ほら、中に入った」
扉を開け、肩を掴み、半ば強制的にコユキを店に送り込む。
ここまですれば彼女も気持ちを誤魔化すことなく(元々が誤魔化せていないが)、素直に「わぁぁ~ッ」と声を弾ませた。
「可愛らしい雑貨がこんなに沢山……お店の雰囲気も素敵ですね」
「そうだな。しばらくは自由に見て回りなさい。俺も適当に見て回る」
「え……一緒に見て回るのではないのですか?」
「一緒に見て回りたいのか?」
「ッ~~!! ひ、一人で大丈夫です!!」
一瞬にして顔が茹でダコ。
焦点の定まらぬ瞳で歩き出したコユキの足取りは、出来の悪いロボットの様なぎこちなさだった。
それからしばらく――。
店を見て回る中で、1つだけ気になった代物を購入。
その品と財布(きんちゃく袋)を懐にしまったところで、ふと思う。
(今更だが、コユキは金を持っているのか? まさか無一文じゃあるまいな……)
当たり前だが、金が無ければ買い物は出来ない。
店内を見て回る“だけ”で終わるのは流石に可哀想なので、彼女に確認して「無一文」なら、幾ばくかの小遣いでも与えた方がいいだろう。
(って、いやいやいや、何故俺がそこまで気を使わねばならない?)
改めるまでもないが、コユキはただの“監視役”。
国王が送り込んだ手先であり、そんな輩を甘やかす必要は無い。
甘やかす必要は何処にも無い……が、ここで何も買えなかったことを根に持たれて、飯を不味く作られても困る。
(……仕方がない。やはり、少しくらいは小遣いを与えた方がいいだろう)
美味い飯を食べる為の必要経費だと思えば、出て行く金も惜しくは無い。
という訳で、今一度コユキの姿を探そうとして――“光”。
雷かと思う勢いで「窓の外」が眩く輝いたかと思えば、続けて“天井を無視して”、真上から「黄金の光」が降り注ぐ。
「コレは……ッ」
初めての者には理解不能な現象だが、この2年で何度も経験した俺は違う。
最初に「雷」を疑ったのは確かだが、その後に降り注いだ「黄金の光」が決定打。
(来るのかッ、“
―――――――――
*あとがき
「更新頑張れ」と思って頂いたら、作品の「フォロー」や「☆☆☆評価」もよろしくお願いします。
お時間ある方は筆者別作品「■黒ヘビ(ダークファンタジー*挿絵あり)/🦊1000階旅館(ほのぼの日常*挿絵あり)/🍓ロリ巨乳の幼馴染み(ハーレム+百合*挿絵あり)」も是非。
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