第2話:私のラーメン屋のスープはインスタント

 私の店のラーメンのスープがインスタント袋めんの粉スープをお湯に溶いて使っていることはお知らせしました。


 一番質問が多かったのは、うちのラーメン店で出しているのがどんなラーメンなのかってことでした。


 そこでそれからお話したいと思います。一番重要なスープですが、インスタント袋麺の粉スープをお湯に溶いて使っています。インスタント麺の銘柄はうまかっちゃん。


 ただ、そのままを出している訳じゃない。私の趣味はラーメンの食べ歩き。福岡を中心に1000店以上食べ歩いたことがあります。その中で、いくつか好きな味というのがあります。例えば、一風堂、一蘭、ShinShin、あと、元祖長浜も好き。


 私が好きなラーメンは、私が福岡出身ということもあって、豚骨ラーメンが必須であり、絶対だった。例えば、東京の人が「ラーメン」と言ったら「醤油ラーメン」が当たり前だと思うけど、福岡出身の私としては、「ラーメン」と言ったら「豚骨ラーメン」なのです。


 そのうち、あるお店の味が好きなので、同じく好きな味のうまかっちゃんのスープを使って、追加で味付けをしてうちの店のラーメンのスープとしています。


 味付けは、色々試して「めんつゆ」、「ナンプラー」、「ニンニク」、「ショウガ」を混ぜたものです。一応、これを先に作ってストックしています。店では、この「特製たれ」とインスタント袋麵の粉スープをお湯で溶いたもので割ってスープの完成としています。


 元々、ラーメンというのは「スープ」と「カエシ」があります。味噌汁を想像してみてください。出汁と味噌は別です。出汁がスープ、味噌がカエシと考えていただければ想像しやすいかもしれません。正確にはちょっと違いますが、ザックリ理解していただくには分かりやすい例えかと思います。


 よくテレビなんかで一晩中煮込んだりしているのは「スープ」の方です。関東圏では鶏ガラという、鶏肉を取った後の骨を煮込みます。九州では豚骨という豚の肉を取った後の骨を煮込みます。膝関節の部分は、その形状から「ゲンコツ」と呼ぶのは有名な話かもしれません。


 前者を鶏ガラスープ、後者を豚骨スープと呼びます。どちらも骨(と肉も少し残っている)なので、煮込むと臭みもあります。そこで、灰汁を取ったり、ネギやショウガなどの野菜を一緒に煮込むことで臭み取りをします。


 スープは大事ですが、これだけではラーメンのスープになりません。味が足りないのです。それは「カエシ」が担当します。


 味付けとして「カエシ」を入れます。カエシに醤油を使えば醤油ラーメン、塩を使えば塩ラーメンになります。ただ、九州の場合スープが豚骨なので、それぞれ「醤油豚骨ラーメン」、「塩豚骨ラーメン」になる訳です。


 鶏ガラの方は、「醤油鶏ガララーメン」とか「塩鶏ガララーメン」とかは言わないみたいです。


 普通の豚骨ラーメンのカエシの正体は、「醤油」と「みりん」だったりします。うちの店では、「カエシ」はめんつゆとナンプラーとにんにくとショウガです。


 そして、スープはインスタントラーメンの袋麺の粉スープをお湯に溶いたものという訳です。


 スープについて 誤解しておられる方もいらっしゃるようなので、一応お知らせしておくとインスタントラーメンの粉スープは最初からあの状態です。要するに粉の状態です。


 中には 食品会社が一度ラーメンスープを煮込んで、それを乾燥させたものだと思っておられる方もいらっしゃるようです。


 ところが、インスタントラーメンの粉スープというのは最初から複数の粉末を混ぜ合わせることで できています。その組み合わせと配合によって味とコクと風味が変わってきます。


 余談ですが、よく有名店監修のインスタントラーメンが発売されたりしますが、あれはお店のラーメンをインスタントにしたものではありません。


 食品メーカーの人が何度も店に通ってその味を粉スープで再現して、ラーメン店の店主に「うちの味と似ていると」言わせたものがそれになります。


 食べただけで再現する食品メーカーさんの技術力と経験力がすごいと思います。


 もう1個余談ですが、町の中華屋さんでもラーメンは普通に出てきます。そんな店ではラーメン屋さんの様にスープを煮込んだりはしていません。


 多くは 中華だし中華スープの素を使ってラーメンを作っています。業務用とはいえ、市販品のスープ なのでどこも味が似通ってしまいます。


 少し物足りなく感じてしまうのはそのためです。店ごとの特徴も出しにくいです。逆に言うと、どこのお店もそこそこ美味しいです。


 福岡のラーメンは、大きく分けると「博多ラーメン」と「長浜ラーメン」の2つに分けられます。


 どちらも歴史のあるラーメンなのですが、同じ福岡にありながら、源流が少しだけ違うみたいです。特徴も少しだけ違います。ただ、最近では博多ラーメンと長浜ラーメンを厳密に分ける方法はないと思います。


 どちらも豚骨ラーメンで細麺です。厳密ではありませんが、長浜ラーメンの多くは具材としてネギと チャーシューだけというところが多いです。


 どっちかって言うと シンプルなのは長浜ラーメンの特徴です。その昔、魚市場周辺ですぐに食べられる様に細麺で早く茹で上がる様に工夫したという話を聞いたことがあります。


 そのせいか、具材もシンプルです。値段も300円から600円くらいと比較的安いです。


 具材が豊富なのは博多ラーメンの特徴です。具材が豊富っていうのは、例えば、半熟煮卵やキクラゲ、シナチク、ノリがが入ってるとかになります。具材が多いこともあって、値段は600円から800円くらいします。


 個人的には、ここまでの値段なら「定食が食べられるのでは!?」と思ってます。


 うちの店では スープに スープを煮込んだりしないので材料費がものすごく節約できます。その分、良い麺を使っていますし、ラーメンにチャーシューと半熟煮卵を入れています。

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