告白します!うちのラーメン屋のスープは袋麺のスープです!【WEB版】

猫カレーฅ^•ω•^ฅ

第1話:すいません、告白します!

 すいません、告白します。

 うちのラーメン屋、スープはインスタントラーメンの粉スープを使ってます! ぶっちゃけてしまうと、福岡なのでうまかっちゃんです!


 もう黙っていられませんでした。こんな事をこの場であなたにお知らせするのは、場違い、筋違いかもしれません。

 でも、少しだけ!ほんの少しだけお付き合いください!


 この事実をあなたに伝え始めたのは、私の中の罪悪感がもう限界に来たからです。この事実を伝えずにはいられなくなってしまいました。

 私は福岡の繁華街、中洲でラーメン店を営む者です。さすがに店名の公開は控えさせてもらいます。


 ラーメンの重要な要素であるスープは自分で作ったことなんかありません。そもそも、豚骨を買ったことすらないのです。当然、スープに魂をこめた事もなければ、スープ作りに命をかけたこともありません。


 麺はさすがに製麺所から買ってますが、自分では全く作れません。麺を打ったことなんて一度もありません。材料がなにかも知らないのです。


 大学も中退したような高卒の私が月収100万円以上稼いでしまっている事実にもう耐えられなくなってしまいました。うちの店に何度も何度も来てくれて、美味しい美味しいって言ってくるお客さんの 笑顔に罪悪感がすごいんです。


 うちの店は 繁華街ある 小さな店なので 場所がみんな酒を飲んだ後、締めに来る店です。だから、何を出してももう味なんか分ってないと思うんです。それで、うちの店のラーメンがうまいうまいって……。


 グルメサイトの評価 なんか 4.6なんです。これがどういうことか分かりますか!? 今の世の中いろんな人がいます。何も無くても文句をいう人はたくさんいます。つまり、ちゃんとしてても悪い評価を入れる人もたくさんいます。


 そんな中、評価が4.6っていうことは、ちゃんんと評価してくれるお客さんのほとんどが美味しいと評価してくれているということなのです! うちのラーメンってそれぐらい美味いんです。でも、うちのラーメンのスープはインスタント麺の粉スープなんです。まったく努力していません。


 ここで全部暴露してしまいたいと思います。


 私は大学中退です。現在、31歳。親が早くに死にました。私は、ずっと引きこもり……ってほどでもないけど、ほとんど外にも出なかったし、何かを極めた訳でもなかった。


 当然、就職なんてできなかった。親が死んだときに少しの遺産……と言うには少しだけど、お金を残してくれました。その金で店を開きました。だいぶ思い切ったと思います。親が死んだからには収入が無い。何とかしないと生きていけないのです。


 店をやろうと思った切っ掛けは、秋葉原でした。そう、東京の秋葉原。福岡出身の私からしたら、大都会東京の秋葉原です。初めて行った時は緊張していきました。そして、そこでメイド喫茶に行ったんです。


 行った店が悪かったと思います。全部の店がそうだとは言いません。ひどい店だった。チープな内装。壁紙なんて素人が貼ったみたいなひどい造り。安普請のテーブルと椅子。料理は冷凍食品か素人料理のオムライス。


 そして、料金は30分だけいて2,500円だった。女の子はたしかにかわいかった。それだけで2,500円。私にとってはかなり高額だった。


 ……でも、そこで思ったんです。


 これでいいんだ、って。


 私はもっと商売って大変なもので、すごいもので、自分には到底できないものだって思っていました。でも、秋葉原のひどいメイド喫茶を見て、思ったんです。


 これなら私でもできる、って。


 そして、私の中で商売にできる様なものを探してみたら、ラーメンだった。


 ……ラーメンだけだった。それも、インスタントラーメン。下がったハードルでも自分の中にあるものはインスタントラーメンくらいしかなかったんです。


 昔、インスタントラーメンを食べさせる店があったのを知ってますか? 店の中に袋めんがたくさん飾ってあって選ぶところから始めるんです。次は、お店の人が袋に書かれた作り方を正確に再現してくれて、袋めんの最高のポテンシャルでインスタントラーメンを食べさせてくれるんです。


 私の店はこれとは違います。インスタントラーメンの粉スープをお湯に溶いてラーメンのスープにしています。さすがに麺はインスタントじゃないですが、ラーメンを食べまくった私からしたら、うまかっちゃんってすぐに分かるレベルです。


 でも、発想的にはあれと同じです。ただ、私はインスタントラーメンの粉スープを使っていることを公言していません。インスタントラーメンを普通のラーメンとして出しているのがうちの店です。


 どうしてこのようなラーメンを出すに至ったか、詳しくお知らせしたいと思います。もう少しだけお付き合いください。

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