《全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ》は《全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ》を破壊するのか?
上久多夕々
全てを破壊する
「《
「むむむ……!」
「あとライフいくら?」
「今のでちょうど100だよ」
「ふんっ!じゃあもう俺の勝ちだな!」
「なんで!まだ僕のターンがあるよ!」
「でももう
「……そんなのやってみなきゃ分からないだろ!僕のターン!」
デッキの上に手を置き、大きく息を吐く。そして──
「そのままデッキを崩せば
「うるさいなもう!ドロー!…………よしっ、来た!」
「見せてあげるよ、この前手に入れた新カードのパワーを。
このカードの降臨は、相手プレイヤーの手で破壊された《クイーン・バッファロー》が墓地に存在する場合に限り許される。
『悉くを蹂躙し全てを踏み荒らせ!』
さあ!今日が初お披露目だ!降臨せよ!
《全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ》!!」
「は、《破壊バッファロー》!?!?!?なんで
「カクヨム公園の自称小説家おじさんから昨日貰ったのさ!じゃあ、《全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ》の能力発動!『全てを破壊する』!!
《バッファロー・デストロイ・オール》!!
《
「オ、オレの《
放心状態のような顔をしつつも染み付いた癖なのか
「これで
「ちょっと待った!!」
「どうしたの?なにか発動できるカードあったっけ?」
「そうじゃないって。さっきはビックリして気付けなかったけど、よく考えたらさあ……《破壊バッファロー》の能力、おかしくね?」
「おかしい?どこが?原作通りじゃん」
「原作版と
「『全てを破壊する』……あっ」
「そう、テキストによるとこの能力はプレイヤーの指定は無し。つまり、俺のカードだけではなく、カウンターを使い切って用済みになった
「くっそ~~~~!!!!ようやくあの超レアカードが降臨できると舞い上がったせいで、こんな凡ミスを~~~~!!!!」
「あれ?……悪い
「え?なに?やっぱり僕の勝ちだった?」
「そうじゃない。もっかいテキスト読むぞ。《破壊バッファロー》の能力は、『全てを破壊する』だ」
「それがどうしたの?」
「『全てを破壊する』だ。
『他の全てを破壊する』でもなく、
『《全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ》以外の全てを破壊する』でもなく、
『全てを破壊する』だ」
「それって、つまり……?」
「《破壊バッファロー》の破壊能力には《破壊バッファロー》自身も巻き込まれるって事」
「え…………?」」
それは、《全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ》が原作で登場した時から、その大好きなカードを自分の手で活躍させる事をずっと心待ちにしていた
「それは流石におかしいよ!!!!」
「おかしくねえよ。テキストにそう書いてあるんだから」
「いやいやいやいやいや!!それじゃあカードデザインのコンセプト的におかしいじゃん!!【
「……まあ、
「……」
「じゃあ俺のターンだ。ドロー。おっ」
《全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ》のカードを穴が開きそうな程に見つめる
「まさか守るべき
「ちょ、ちょっと待った!!」
「……もう一回言うけどさ……とりあえずこのゲームはテキスト通りの処理で進めようぜ……」
「うん、そうだね。でも
「まだ解釈の余地があるってのか……?」
そろそろ《全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ》談義にも飽きてきて気怠そうな
「
「……どういう事だ?」
「
悪い予感がした
「そう、破壊可能なオブジェクトは何も場のカードだけじゃない、手札とデッキのカードだって『破壊』は『可能』だ……」
流石の
「オイオイオイオイオイオイオイ!それは流石に非常識ってもんじゃないか?現実的に考えてみろ。そんなチートカードの存在、到底許される訳がないだろう!」
「『非常識』?『現実的』?関係ないね。
「ハッ!?」
「それじゃあ処理を巻き戻そう。《バッファロー・デストロイ・オール》!!
手札!デッキ!場!文字通り全てのカードをバッファローの能力により破壊する!!
そして今度こそ正真正銘
勝利を確信し勝ち誇る
「焦るなよ
「
「そうだ
「そ、そんな!やめてよ!それは僕の!僕が活躍させたかった!」
「実は俺も使ってみたかったんだ!その超レアカード!俺が対象とするのは掘斗くんの墓地の《全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ》!俺のターン!ドローは当然《全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ》!」
「まだだ!《全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ》には特殊な『降臨条件』がある!たとえ超レアカードだろうと降臨できなければただの紙!
「チッチッチッ」
「……俺の墓地には、《破壊と創造の輪廻》と同様に前のターンに掘斗の《全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ》の能力によってデッキで破壊された《クイーン・バッファロー》が既に存在している」
「な、何だってぇぇぇぇぇぇ!?!?!?!?」
「故に!降臨条件は満たされる!さあ本当にマジでこれでいよいよ決着だ!《全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ》で
「
こうして《全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ》を巡る全てを破壊する熱戦は、ここに終幕の時を迎えた。
後日。
新エース(超レアカード)のデビュー戦で早速その新エースを奪われた挙句それでフィニッシュまで決められるというトラウマをキめられた
カードを破壊し、ゲームを破壊し、プレイヤーを破壊し、そして友情をも破壊する。《全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ》は、次は何を破壊するのだろうか。
《全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ》は《全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ》を破壊するのか? 上久多夕々 @uwakuta_yuyu
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