第4話 戦いがあったから

 ママがまた寝る前に、お話をします。何回も何十回も聞いた話をまたします。


「ハナ、お願いよ。心配をさせないで。貴方に何かあったらママ達死んじゃうわ。何度も言ってるでしょう。人が戦いばかりしているから、誰かを殺そうとかそういう恐ろしい気持ちを持つを、首が飛ぶようになってしまったのよ。だからお願い。心配させないで。」


 ママは言います。最初に首が飛んだのは、ミト君のお父さんです。この村の一番強い人で先頭に立って戦っていた人だと聞きました。


「わかってるよ。ごめんね、ママ。」


「わかってくれたならいいのよ。」


 そういってママは私の額にキスをしました。でも私は怒ってみたいのです。殺したいとは思いません。そして、怒られてみたいのです。


 だって、怒ったってママの首は飛ばないです。ママは絶対私を殺そうなんて思わないはずです。なのに、なぜこの村の人々は怒ること自体を怖がるのでしょうか。


 私にはわからないのです。



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