第3話 怒って

だから私は歩いてみたのです。ミトさんが言った道をひたすら歩いてみました。


お腹がすきました。


日が暮れて、怖くなってきました。


ニャオン!


普段はかわいい猫の声に私は驚きました。


ママとパパが心配している。


それは幸せなことのように思えてきました。


私は引き返しました。


来た時よりも何倍も速く。


早く、早く、早く。


遠くに村が見える前に、パパがいました!


「ラナ!」


パパは私を見つけて、思い切り抱きしめてくれました。


そう、私の名前はラナです。


パパの体はとても熱かったです。


ひとしきり抱きしめた後、パパは私を離して怒った顔をしていました。


「お前は…!」


けれど、パパはぎゅっと私の肩を掴んで、何かをぐっとこらえて言いました。


「あまり遠くへ行っちゃいけないよ。」


パパの笑顔はなんだか不気味でした。


私の肩はパパが掴んだから、痛かったです。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る