第2話 自由は

「ただいま。」


家に帰るとママが夕食を作ってくれていました。


いい匂いがします。


「どうしたの?」


帰ってすぐにママにキスをしに行かない私を、心配してママが聞きました。


「今、なんかすごい嫌な気持ちなの。」


ママは慌てて私の元にやってきました。


「ダメよ。」


理由も聞かずにママは言います。


「そんな気持ちを持っちゃダメ。どうしたの。何があったの。」


「ミトさんとお話したの。」


ああ、とママは言いました。


「あの子はほら、お父さんが亡くなったから。きっと寂しいのよ。」


ミトさんはある日突然この村に来ました。ミトさんのお父さんが自分の子にすると、戦場から連れ帰った子でした。


「寂しかったら、なんでも許さないといけないの?」


「ええ、そうよ。」


ママはきっぱりといいました。納得なんてできません。でもママが大好きだから、そうするしかありません。


「わかった。」


ああ、やっぱり自由は幸せなんじゃないかと、私は思うのです。

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