第5話
何とか無事に商人として登録が出来た私は、お金が欲しかったので布袋に入っている砂金を売ったの。
商人ギルドのギルドマスターと話をした結果、金貨十枚こと十ゴールドで売れたわ。
十ゴールドって日本円に換算(自分の中では二十一世紀が基準)すると、一ゴールドが十二万円だから百二十万円が手に入ったという事になるわね。
何で貨幣価値が分かったのかと言うと、日本での砂金一グラムの相場が一万円前後だったからよ。
ナゲットはそれ以上の価値があったわね。
確か一グラムで一万五千円くらいだったかな?
後、暁の剣の人達から貨幣価値を教わった事も大きいわね。
宿屋に泊まる事が出来た私は、これからの事を考えたの。
「種を栽培したものを売って資金を得るという方針で行けばいいと思うけど、問題は何を売るか・・・」
宿屋に泊まれる金が欲しいという理由で売った砂金は使わない方がいいのは分かる。
「・・・・・・市場で何がどれくらいの値段で売っているのかを調査してから決めるしかないわね。或いはエステティシャンとしての技術を生かしてマッサージをするとか」
宿屋のベッドに身体を横たえた事で旅の疲れが一気にやって来てしまったのかな?
自分でも気付かぬうちに眠ってしまったみたいで・・・・・・目を覚ました時は朝になっていたの。
お風呂に入らず、マッサージをしないで眠ってしまったのはエステティシャンとして迂闊だったわ!
一刻も早くお風呂に入りたい私は宿屋の女将さんに銭湯があるかどうかを聞いてみたの。
そうしたら宿屋から北に進んだ場所に大衆浴場があるという答えが返って来たので、トートバッグを持ってそこに向かったの。
あれ?
中世ヨーロッパって大衆浴場がなかったと聞いた事があるのだけど・・・ここは異世界だからその辺りは気にしなくていいのかな?
疑問に思ったけど、そこは異世界だから気にしたら負けと自分に言い聞かせた私は久々の入浴を楽しんだわ。
ふぅ~
「やっぱりお風呂は最高ね♡」
お風呂に入って気分がさっぱりして宿屋に帰る途中で思い出した事があるの。
実はお風呂に入っている時にチラッと見たのだけど、他の人達が使っていた石鹸の泡立ちが良くなかったのよ。
ラベンダーとかの植物を使っているから香りは良かったのだけどね~。
浴槽に浸かっている時に声を掛けた人達の話によれば、いい香りがする石鹸は高価だと言っていたわね。
一個で七千五百円・・・つまり銀貨二枚と銅貨二枚、つまり二シルバーと二コッパー。
確か明治時代の石鹸が三個で二万円くらいしたと聞いた事があるから、それくらいで売られるのは当然かも知れないけど、二十一世紀の日本人としてはやはり高いと感じるわね。
石鹸を売ればいいのかと思ったけど良く考えたら出所を聞かれたら厄介な事になりそうな気がするし、商人の知り合いが居ないから避けた方がいいような気がするわ。
「ハンドマッサージをするとか?」
出店するには商業ギルドに申請すればいいと思うけど、マッサージの場合は職人ギルドに登録しないといけないのかしらね?
その辺りはギルドに聞いた方がいいと思った私は商業ギルドに向かったの。
結論だけを言うと、職人ギルドに登録しなくてもいいとの事だった。
そもそも職人ギルドとは武器防具や魔道具、木工細工や装飾品、衣類等を作る人の為のギルドを指すのだと受付嬢が教えてくれたの。
自分のスキルを生かすにはこれしかない!
ハンドマッサージ店を開きたいと申請したのだけど、流石に今日の申請で今日の出店は無理だと受付嬢に言われたわ。
・・・・・・当然よね。
来週だったら露店、昼までの出店だったら可能だという事で出店の申請した後、私はハンドマッサージ店に必要な道具の準備をしたわ。
と言っても椅子とテーブルを市場で買って、タオルと砂時計、コンロと蒸し器の種を栽培して実ったそれ等を収穫しただけだけど。
出店するまでの間に自分の顔に胸、手足にお尻とかのマッサージをした事だけは言っておくわ。
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