第4話







 異世界のお約束と言えばいいのか、彼等は冒険者だったわ。


 しかも【暁の剣】というベテランの冒険者パーティーなのだとか。


 日本では見た事のない二~三メートルはありそうな猪に兎、ゲームに出てきそうな蛇や鳥のモンスターを簡単に倒していったの。


 ちなみに私はただ見ているだけでした。


 だって護身術は使えても戦い方なんて知らないし、彼等の邪魔になるだけだもの。


 その代わりと言っては何だけど、私はエステで働いていた時に会得した技術を駆使して肩を揉んだり手足をマッサージしたり、彼等に見られないように種でこっそり栽培した色んな料理を出したりという風に雑用に徹したわ。


「サキさんに足を揉んで貰うと疲れが飛んでいったわ!」


「僕は手が軽いよ!」


「何時もより首から肩の部分が軽いと感じるぞ!?」


「揚げた肉をパンで挟んだカツサンドって言うのか?パンはほんのりと甘くて柔らかく、葉野菜は新鮮である事を示すかのようにシャキシャキ。肉は食べ応えがあるのに何でこんなにも柔らかいんだ!?」


「何なの!このシュークリームというお菓子は甘くて柔らかいわ!?」


 こんな感じで私のマッサージと種から実った料理は好評だったの。


 暁の剣と行動を共にして二週間くらいかな?


 遂に目的地であるアームズの町に着いたの。


 町に入る時は身分証明書を出さないといけないのだけど、その時の私は運転免許証を出したわ。


 門番らしき兵士さん達は見た事のない文字に首を傾げていたけど、暁の剣のメンバーが蓬莱王国の人間は漢字という文字を使うからという説明に納得してくれたみたい。


 冒険者として生きて行くなら冒険者ギルド、商いをするなら商業ギルド、職人として生きて行くなら職人ギルドに登録して身分証明書を発行するようにと言って私を町に入れてくれたわ。


 戦い方を知らない人間が冒険者として生きて行けるはずがない。


 砂金を売るのだから商業ギルドがいいかな?と思った私は暁の剣のメンバーと別れた後で商業ギルドに向かったの。


 商人として登録したい旨を伝えたら、登録用紙に記入して欲しいと受付嬢に言われたので名前はヘボン式、性別や取り扱う商品は英語で書いた後、これで通じるかな?って不安に思いながらもそれを渡したわ。


 あっ!


 ギリシャ文字に似た文字は何故か私の頭の中で勝手に日本語に訳されていたのできちんと読めましたよ。




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