第6話
で、出店が出来る来週になったのはいいけど・・・自分から売り込んでみても、何時間待ってもお客さんが一人も来ないの。
・・・・・・・・・・・・そうよね。
良く考えたら何かのイベントでもない限り、マッサージって露店でしないわよね。
諦めて店を閉めようとした時に、疲れ切った表情を浮かべている、某世紀末な世界に出てきそうな覇者を思わせる一人のゴリマッチョがやって来たの。
剣を背負っているし鎧を着けているから騎士だと思う。
ゴリマッチョの話によると、部屋に籠っての書類仕事が多くて手が疲れてしまった。
気分転換で市場を歩いている時に私の店を目にしたとの事だ。
この人に自分の手というスキルの効果を体感して貰う事で客が来るのではないか?と思った私は「本来であれば三十分・・・テーブルの上にある砂時計が落ち切るまでのハンドマッサージで代金は一シルバーだが、騎士様は当店のお客様第一号なので無料でやる」と言ったらマッサージを受けてくれたの。
トートバッグから取り出した蒸したタオルで男性の掌から肘を拭いた後、指を引っ張ったり、手首を回転させたり、筋肉を押したり揉んだりしている間・・・男性の顔はほわ~んと緩みっぱなしだったわ。
見た目が世紀末覇者な騎士様でもそんな顔をするのね・・・
「ご令嬢。貴女のハンドマッサージは非常に素晴らしいものだった!貴女のマッサージのおかげでこれまでの疲れが一気に取れた!!感謝する!!」
貴女の店の事は我が騎士団にも宣伝するとだけ言ってどこかへと去ってしまったわ。
騎士様は職場に戻ったのだと思うけど、私達の遣り取りを見ていた人達が「あの騎士団長様があそこまで仰るのであれば間違いない!」「自分もマッサージをして欲しい!」と押しかけて来たの。
今日は昼までしか出店出来ない事と、次の出店申請はしていないので何時になるか分からないと伝えるとズコズコと引き下がって行ったわ。
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