第27話 黒紫憧さんと四月の日々⑰
パーテーションの陰から、
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「………?」
「………?」
「…………」
制服姿の、
「「はあああああああああああああああああ!?」」
「あ、そのーー隠れて、まし、た。ハイ……」
なんだかか細く、
なんで! なんでまたそこに居るの!? パーテーションの
そこでぼくは、彼女の背後にある時計を視界に納める。時刻は午後四時三十分。通常なら部活動に移っている時間だ。しかも
それがいまだ制服姿ということは――活動前に、確かめたいことがあったということ。おそらくは、その後の行動に影響を与える、なにかを。
『もし部活動紹介で気に入ったら、ぜひ私と同じ部活に入ってみない?』
『――やっぱ断ろうか』
ぼくか?
ぼくのためなのか……?
ぼくなんかの決断を聞くために、彼女はずっと待っていてくれたのか?
罪悪感で背中が滝のようになっていると、
そしてぼくの手を握ってきた。
「
「なにを……?」
ぼくが
「生徒指導の
えーと。どういうことだ……? どこからかは知らないが、
ぼくと同じ思考回路だろう
「その、
「え? さっき話した通り、
「ナンで、
「え。だって
疑いのない眼差しが、ぼくと救世先生のうす汚れた部分を蒸発させようとする。
あー……。なんとなく分かった。ぼくと
簡単に言うと。
ぼくと
その中心にある事実や指令を、真剣事と捉えている。
だから、生徒指導という役割に熱を籠め、こうして語りかけているんだ。
「ツヨ――」
「
「?」
そこで、コン、と物音がする。動揺した
『ア、ねんねんーころりーヨー』『スースー』『おころりーヨー』『スースー』『ぼうやはーよいこダー、ねんねーしナー』『スースー』
ーーピ。
彼女はにっこり笑い、一言。
「先生、どうぞ」
「アノ……。ドウゾ、とは?」
「遠慮せず」
「遠慮トハ……」
「222条」
「ヒッ!」
……222条?
「
「ハイ――」
そしてその姿を後ろに、こちらを振り向いた
「ブイ」
ちょっと恥ずかしそうに、はにかんで、そうV字マークを作っていた。
トクン、と。
ぼくの心臓は、とても強く
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