第26話 黒紫憧さんと四月の日々⑯
そして彼女は両手を八の字に広げ、眉を困った風に動かした。
「ジツは、今日のワタシの善行により、教頭から無理難題を押しつけられてナ。キミにはその解決を手伝ってもらいたい。一つ、生徒の心を学ぶため、部活動の顧問を務めろというモノ。一つ、生徒の問題をなにかしら解決しろというモノ。やれやれ、困ったもんだヨ?」
あなたが一番こまった人間だろうに。
「それで。ぼくになにが出来ると思っているんですか?」
「チッチッ。さすがのワタシも、生徒に性別と年齢と外見と身分を偽って、教頭の無理難題ヲ突破シロと言うほど、鬼じゃない。お前にそんな力量がないことくらい把握済みサ」
ルパンか007以外にそんなこと出来るやつ、居てたまるか。
「で、具体的に?」
「
それにワタシが今日やろうとしていた、
今すぐあの眼鏡に油性ペンで落書きしてもいいかな?
「フー、フー!」と鼻息あらげながら、なんとか自分の鼓動を落ち着ける。だいじょうぶ、大丈夫だぞ、
新しく部活をつくる。
これはそれらしい理屈をもって、協力者を
これは――そもそもイケる・イケない以前に、情報がすくな過ぎて、判断できなくナーイ。あと情報があったとて、取り立てて
二つとも、やっぱり無理じゃナーイ?
ぼくが、目を丸めて、口をあんぐり開け、放心していると。
「あの。ゆうひボーイ? まさか始める前から諦め出してナイ?」
「ムリカモ……」
「諦めんなっテ! ダイジョウブ、できる。きっとデキル。というか出来てくれないと、ワタシが一番ババを引く!」
「ボク、友達イナインデス……」
「だろうね! あ、ダロウネとか言ってゴメンネ。いや、そうじゃなくて。割と変な機転を利かせられるダロ、お前。今回もそういう奴で、面倒なサムシングヲ、華麗にサールブしてくれヨ!」
無理ヲ、オッシャイマスナ。
そもそもぼくが機転を利かせたのってナニ?
あれ。
ダメもとで彼女の名前を呼んでみる。
「こ、黒紫憧サーン?」
「あ、はーい?」
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