第24話黒紫憧さんと四月の日々⑭
「ふはっ!」
「ねんねんーころりーヨー。おころりーヨー。ぼうやはーよいこダー、ねんねーしナー。あんまりよいこじゃなくーてもー、ねんねーしナー。やっぱおきナー」
微妙にイントネーションの悪い歌声に揺さぶられ、目を覚ます。頭の下にやらかい感触があり、
「あ、起きたナ。問題児?」
――――
………………。
え、いや。なんで?
なんでぼくは
「ひいいぃ!」
「あ、コンニャロウ。せっかく人が介抱してやっているのに、悲鳴あげやがって!」
反射的に跳び起きて床のうえを転がる。
状況確認をするぞ、
ヨシか……?
なんでぼくは生徒指導室にいるの?
床に片膝ついた、なんちゃって騎士みたいな体勢で、応接ソファーにもたれる
「ナンだよー。そんなにミつめて? ワタシに恋でもしたか。へい、ボーイ?」
「へい、ティーチャー。教師と生徒の恋愛、もんだいガーイ。どうしてぼくはここにいるのさ、問いかけたーい。チェケラ!」
「……ひど、ひどくナーイ? ボーイ、ひどくナーイ? うぅ」
ええ……。なんで今日はそんなに打たれ弱い設定なの? めんどくさ! そんな性格じゃないでしょうに。
まだちょっと痛む頭を抑えながら、仕方なく
「
キッッッッ!
「う、うん……そ、ソウダネ……」
「うん、うん! 部活動紹介の司会だってネ、あれ、良かれと思って言ったんだよ?
内側からも頭が痛くなってきたな……。
「ワタシはみんなのタメを思ってサァ!」
時と場所。
「ワタシは被害者ナンだぞ!」
今日は加害者だったよ。
「結果的に、大盛況で終わったジャン。今日の部活動紹介。ナア?」
ほぼ全部、
「やんや、やんや、ナンでワタシが文句言われなきゃいけないんだヨ。理不尽だよ、このシャカイ! 頼む、
「いやだ」
「いやだ!? なぜ断れる、この提案を!」
なんで受け入れられると思ったんだよ、逆に!!
嫌だよ。こんなよるねとぼくの悪い所を足して、十年くらい冷凍保存させた挙句、チンして出来上がったような大人の面倒を見るの。よるねだって大変なのに。よるねだけだって大変なのに。……いや、あっちはあっちで、ぼくの面倒を見ていると考えているふしがあるので、控訴中なんだけれども。
ともあれ。明確に固辞すべくゆっくりと
ぼくはテーブルの上からティッシュをぬき取り、
なにかと言うと。
どうしてぼくは
マグカップを掌でもてあそぶ
「知っているヨ? どうしてここに運ばれたのか、それが気になるんダロ?」
「え、ええ。まあはい……」
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