第3話 新学年初日の通学路③
段々と
まあどのみち今日から新しい学年ということで、みんなの行き先は決まっている。二階の掲示板に貼られているだろう新クラス表の前だ。映画的に言うならシン・クラス表。ふふっ。ぼくと
そうして階段の踊り場まであがると、
あらためて観察すると、
「だいじょうぶ。
「ええ。ごめんなさい。ちょっと緊張しちゃって」
「緊張? どうして?」
「だってこの先の掲示板をみたら、これから一年間いっしょになる人が載っているのよ? うまくできるかな、とか、あの人がいたらなーとか、色々考えない?」
「ほへー」
「は、
「ないですね」
「そ、即答っ……!」
驚かれても。だってそういうのは、希望を胸にした陽キャの言い分。いや、陰キャでも友達や人付き合いはあるだろうから、たんにぼくがひねくれているだけか。
ぼくには友達がいるんだかいないんだか、よく分からんので。期待してもあまり意味ないから期待はしないことにしているんです。ヘイヘイホー。
ぼくが、えくぼを深くする引きつった笑いで、だれにも分からぬよう自分を冷笑していると、
「私にはね、ひとり居るの。一年生のときはあまり仲良くなれなかったけど、でも次の一年間では一緒に居られたらなぁって人。きっとこの人と一緒だったら、昨日までのあたり前の光景も、楽しさに
それだけ交友範囲が広ければ、ひとりくらいはロックオンされる
「……そっか。一緒になれたらいいね、その人と。力にはなれないだろうけど、応援してるよ」
「うん。ありがとう。――期待しているの。すごく」
だからこうして一日の始まりに、一緒に登校できたのはうれしいことだ。それだけで一年の運を使い切ってしまうほどに。だから
なんとくなく、これから良いことが起こるんじゃないかという期待を抱けた。
そして結果論になるが、これから数分後、あまりにもキテレツな出来事がぼくへと襲いかかる――っ!
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