第13話 【高良】
「悟さん!毒の解読はまだですか!!?これじゃあ一旦木綿さんが!!」
高良には、助ける手段がないためただひたすら、悟の横で焦るばかりだった。
一旦木綿の顔はどんどん青白くなっていき、大量の汗があたりを湿らせた。
「静かにし……分かった!!!この毒の種類!」
そういうと、白い光が一旦木綿を包み込みこんだ。
悟の顎から、数滴の汗が垂れる。
白い光が消えると、一旦木綿の顔は正常な色に戻り苦しそうにしていたのもすっかりなくなっていた。
「これで、大丈夫よ。」
どうやら、治療が終わったみたいだ。
「はぁ、、痛かった…。悟さん、ありがとうございます。」
体を擦りながら、悟にお礼を言う。
「お〜い、悟〜!!!」
大きな声と共に、大蛇を抱きかかえた餓者髑髏が走ってきた。
「大蛇の治療も頼む。」
「大蛇さんっ!!?」
大蛇の血だらけの姿に、高良は戸惑った。
「大丈夫だ。気を失ってるだけだ。こいつ、凄いんだぜ??ワシが来るまで自分と同等の力の持ち主と自分より強い奴、相手にしてたんだからな。なにより、街を守りながらってのも、すごいよな。」
すごい…。大蛇さん一人でそんなに…。
俺に、妖力があったら大蛇さんの力になれたかもしれないのに、こんな傷だらけになって…。
「高良くん、今自分が無力だと思ってるだろ?」
落ち込んでいる様子を察した餓者髑髏は、高良の背に合わせてかがみながら問いかける。
自分の考えを悟られたのに、びっくりしつつもコクリと頷く。
「人間と妖怪。ワシ達は近いようで、遠い関係なんだ。だから、妖力が使えないのは仕方のないこと。妖力が使えなくても高良くんには、いや、高良くんにしかできないことがあるんじゃないの?」
俺にしかできないこと…
そうだ。俺は、篁さんが見つかるまで閻魔様の手伝いをするんだ。現世に戻るために、閻魔街のために、凪に会うために。
「俺、頑張ります!!!」
こうして、高良はまた一つ成長の一歩を遂げたのだった。
次回 事変書
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