第9話 【作戦】
「明日の大禍時、閻魔街へ遊びに行くゥ。」
もちろん、これは普通の遊びなんかじゃない。
彼らにとっての殺し合いという名の、遊びだ。
「お前らは、わざわざ殺されに行くのか?自殺希望なんて、可哀想なやつだな。死にたいなら独りで死ねよ。」
大蛇が煽っても酒呑童子は、乗らずに冷静だった。むしろ、哀れと言わんばかりの顔でヘラヘラした様子だ。
「知ってるんだぞォ?篁がいなくなったらしいな?篁がいない閻魔街は、トゲがないハリネズミと一緒なんだよォ!!!」
………、いや、例えが可愛い!!?
興奮して、挑発してるみたいだけど全然怖くないんですケド!!?
大蛇さんと、天狗さんはどんな反応して……
高良が、大蛇と天狗の方に視線を向けると大蛇は、酒呑童子の例えが上手いと感じたのか少し悔しそうな表情。一方、天狗は額から汗が吹き出し焦っている様子だった。
え、、意外……。
高良は、意外と大蛇がおじさんくさいということと、天狗は結構顔に出やすいということを知ったのだった。
結局、酒呑童子は可愛い例えを言った後満足気に帰ってしまった。
三人は、すぐに獄城に戻り閻魔に状況を報告した。
「なるほどな…。面倒なことになったな…。」
閻魔は状況を聞くと、椅子から立ち上がり部屋の真ん中に立つと、手を広げた。
すると、床に魔法陣が5つ浮かび上がり白い光とともに風が吹いて魔法陣が包みこまれた。
少しすると、光と風が止み魔法陣の上には妖怪がいた。
「うわぁぁぁ!!!?本物の妖怪だ!!!」
「俺らも、本物だわ。」
高良の反応に大蛇が冷静にツッコミを入れた。
「あーごめんね。驚かしちゃったか。」
一番端に居た妖怪が、そう言うと人間の姿に変身した。
それに続いて、他に居た四人の妖怪達も人間の姿に変わった。
「ワイ達は、獄城外に行くとき以外基本、本当の姿になってゴロゴロしたりしてるからさ。」
てことは、獄城の外に出る時はいつも人間の姿をしているってことか。
暗黒のマナー的なやつなのかな?
社会に出る時に、女性がメイクする的な。
でも、稀に本当の姿をして出歩いている妖怪も見かけるんだよなぁ。外の街に行った時にすれ違った下級妖怪とか。
「それはねぇ、上級妖怪しか人間の姿になれないからよ?」
ゑ???
今、、俺の考えてること…、、、
「あたしは、悟。心が読める能力なの。」
「えぇ!!!!すげぇ!!!え、じゃあじゃあ、俺が今、頭に浮かべていることは!?」
「大蛇さんマジ悪人顔過ぎるだろ笑、かしら。」
「すごい、すごい!正解!!!!」
悟が高良の声に寄せて発言すると、高良は興奮しながら悟と戯れた。
大蛇がこの場にいるのを忘れて。
この後、高良がどうなったかは皆様のご想像に任せよう。
「あ、そう言えばワイの自己紹介がまだだったな。ワイは、餓者髑髏。主に時間を操れる能力だ。ほら、お主らも自己紹介しろ。」
そう言うと、餓者髑髏と悟以外の三人が高良に寄って行った。
「おいらは、雷神。名前の通り、雷を操る能力だよ!」
「おいらは、風神…。風を操る能力…。雷神と、双子…。」
双子の割には顔は似てなく、どちらも幼い顔をしているが、背丈は高良と同じくらいだった。
「僕は、水虎。水を操る能力!よろしくね!」
水虎は、中性的な顔をしていた。
吸い込まれるような水色の瞳で、透き通るような肌だ。
「僕」って言ってるけど、男と女どっちだ…?
声も、低すぎず高すぎずだし…。
「水虎は、女だよ。僕っ娘てやつね。」
また悟は、高良の心を読みウフフと笑っていた。
「勝手に心、読まないでください!!!」
「あらあら、ごめんなさいね。」
なんだこの、おばあちゃんと会話してる感じは。
そうこうしていると、閻魔が咳払いをし話し始めた。
「自己紹介は、ここまでにしといてお主ら五人に頼みたいことがある。外の街の輩が、明後日の大禍時に閻魔街へとやって来るらしい。宣戦布告を受けた。だから、お主らにはその対処にあたってほしい。」
「「「「「承知致しました。」」」」」
五人が息ぴったりに返事をすると、また風が巻き起こって高良が気付いたときには、五人は消えていた。
「さてと、俺らも準備するか。では、閻魔様私共も、これで失礼します。」
大蛇はそう言って、高良を自室へと連れて行った。
今日は、色んな人に会ったな……!
凪に会ったら、紹介したいな!!!
次回 大禍時
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