第6話 【噂】
「さっそく、門番の所から行こう!」
高良は、軽快に歩き出し大蛇は、トボトボと高良についていった。
「あの、最近ここで変わったことはないですか?」
そういうと、鬼はギロリと高良を見て、高良の3倍位ある大きな体を縮ませ、かがみこんだ。
「坊や、昨日奪衣婆さんと居たやつかい?何しにここへ来たんだ?」
見た目とは裏腹に、優しい口調で話しかけられた高良は、少し驚いた。
「このガキ、いろいろあってな。今は、閻魔様の秘書(仮)だ。そんで俺が世話係みたいなのをやらされてる。ウケんだろ。」
「大蛇が、世話係か…。心配なものだ。」
「んだと!!?」
二人は仲良さそうに話していた。
大蛇さんって、顔広いのかな?
奪衣婆さんとも知り合いみたいだったし。
やっぱり、上級妖怪だからなのかな?
高良が、そっちのけにされているのに気付いた鬼は咳払いをした。
「そういや、最近の調子を聞きたかったんだよな?特に変わったことはないが一つだけ気になることを聞いてな。」
「何があったんですか?」
鬼は、神妙な顔つきで話しだした。
「よみしろ鏡ってのがあるらしくてな。」
「よみしろ鏡?」
鬼の話によると、門番の仕事をしている際、商人たちが「よみしろ鏡」というものが今巷で有名になっている。
「よみしろ鏡」はこの世では3つしかなく、一つは閻魔様が持っているけど、残りの2つは行方不明のため、それを狙って沢山の妖怪が探し回っているらしい。
「なるほどな。そのよみしろ鏡ってモンはどんな性能なんだ?」
「そこまでは分からんな。」
よみしろ鏡……。なんか、かっけぇ!!!
どんな、性能なんだろ。「よみしろ」って言うくらいだから、人の体を借りるとかそんな感じか?
「んじゃ、俺達は行くわ。じゃあな。」
大蛇と、鬼が話を終えたのに気づき高良は鬼に一礼して大蛇の後に続いた。
「よみしろ鏡ってモンも気になるが、まずは金を貯めるぞ、ガキ。」
高良は、顔をしかめて
「あの、ガキガキって言ってますけど、俺には高良っていう立派な名前があるんですよ!?名前で呼んでください!」
「めんどくせぇガキだな。」
そういって、大蛇は歩き始めた。
ほんっとに、優しくないな。でも、なんだかんだ俺の世話もちゃんとしてくれるし、悪い人ではないのかな…。
そういえば、大蛇さんって今まで何をしていたんだろう?
今度教えてもらおう!
高良と大蛇は、次の関所へと向かった。
「次の関所は、閻魔街の出入り口のところだな。」
出入り口か…。ん?てことは、閻魔街の他にも街とかあるってこと?閻魔街の外はどうなっているんだろう…。
「大蛇さん、閻魔街の外ってどんな感じなんですか?家とか、街はあるんですか?」
「あぁ、あるぞ。けど、一人で出歩くなよ。行動すんのは、俺と一緒のときだけだからな。一人で歩いてると、襲われるぞ。」
閻魔街の外は、家も街もあるがとても治安が悪く下級妖怪同士が殺し合いをして、上級妖怪を目指していることが多い。それに加え、女子供は売買されたりするため一人で歩くのは危険なのだ。
といっても、悪い妖怪ばかりいるわけではない。
平和主義の妖怪たちは、森や町外れのところでひっそりと暮らしているとか。
だから、大蛇さんは口が悪いのか…。
外には、どんな妖怪がいるんだろう。
良い妖怪なら、会ってみたいな。
次回 外の街
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